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第13戦サンマリノ、14年ぶりにGP復帰を遂げた逆回転ミサノ
インテリマーク編集部
2007年8月30日

シーズン残り3分の1となった2007年度MotoGPの終盤戦、第13戦目となるサンマリノ・リミニ・リビエラGP(The San Marino and Rimini Riviera GP)が、イタリアのミサノ・サーキットにて、今週の8月31日(金)よりレースウイークの1日目を迎える。決勝レースは日曜日の9月2日だ。
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ここでは、2006年末から5ヶ月間に渡り大改修の工事が行われ、新しいサーキットとして生まれ変わり、14年ぶりにGPカレンダーに今年からの復帰を遂げたミサノ・サーキットの歴史と特徴、ならびに前回のブルノ合同テストから今回のサンマリノ・リミニ・リビエラGPまでの新着トピックなどを紹介する。


■新生ミサノのコース学習用に走行時間を延長

今回のサンマリノ・リミニ・リビエラGPでは、ほとんどの現役ライダーが走行を経験した事のない新生ミサノ・サーキットのコース学習を目的に、各クラスのフリー・プラクティス・セッションが通常よりも長く取られている。
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■MotoGPクラスは初日に3回のフリー・プラクティスを実施

MotoGPクラスは1時間のフリー・プラクティスが初日の金曜日に1つ余分に追加されており、この日は午前にFP1を1回、午後にはFP2とFP3の2回という、合計3回のセッションが1日に行われる予定だ。なお、2日目以降は通常のレースウイークと同じスケジュールとなる(2日目はFP4と予選、3日目はWUPと決勝)。

■タイヤルールの31本の持ち込み制限に追加の3本を許可
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この事から、MotoGPクラスはタイヤ・レギュレーションにおける通常のスリックタイヤ持ち込み可能本数である31本の上限に、フロントタイヤが1本(合計15本)、リアタイヤが2本(合計19本)追加され、レースウイーク中に合計34本のスリック・タイヤが使用可能となる。

■小排気量クラスは初日のフリー・プラクティスを延長

また、小排気量クラスは初日のFP1の時間が延長され、250ccクラスは通常よりも30分長い1時間30分、125ccクラスは15分長い1時間となる。


■マルコ・メランドリはミサノから復帰
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前回のチェコGP初日のフリー・プラクティス中に突然首と左肩に激痛を訴えてレースを欠場、その後の精密検査で5番目と6番目の首の骨の間が椎間板ヘルニアだと診断されたマルコ・メランドリは、イタリアの専門医による診察を受けた結果、今回のレースには無事に出場できる事が判明している。

手術の必要はないと診断されたメランドリは、この2週間はリハビリをして過ごしており、今週のレースウイークまでに完治は望めないものの、バイクに乗る直前まではリハビリを継続し、チームのホーム・グランプリでできる限りの好成績が狙えるように体調を整えておきたいとしている。


■フィアット・ヤマハは新型エンジンの投入を延期
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ミサノをターゲットにブルノ合同テストで新型エンジンのテストを繰り返したフィアット・ヤマハ・チームだが、合同テスト中にバレンティーノ・ロッシが「マシンはあまり速くなっていない。まだ開発を進める必要がありそう」と述べるなど、あまり大きな効果を得る事ができなかったヤマハは、新型エンジンの投入を今回のミサノでは見合わせている。
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日本ではヤマハの技術陣がエンジンの改良を急いでいる様子だが、フィアット・ヤマハのチーム監督であるダビデ・ブリビオは「新エンジンは現在日本に戻され、さらなる改良が加えられているが、次戦以降のできる限り早い時期にレースに投入される事を願っている」とコメントしている事などから、今後の実戦投入のタイミングはまだ未定とされているようだ。


■グランプリから遠ざかっていたミサノ

イタリアの熱心なMotoGPファンの願いがようやく叶い、今年からサンマリノGPの名称でMotoGPに復帰する事になったミサノ・サーキットは、最高峰500ccクラスの時代にはイタリアの2輪ロードレースファンの間では極めて人気の高いグランプリサーキットだった。
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■1993年の事故

1980年から1990年代にかけての、かつてのイタリアGPの開催地だった旧ミサノ・サーキットは、当時の最高峰クラスで圧倒的な強さを誇ったチャンピオン、ヤマハのウェイン・レイニーがレース生命を絶った1993年の事故により、安全面の問題から翌年のGPカレンダーから外され、その後イタリアGPの舞台は現在のムジェロ・サーキットに移り、現在に至っていた。
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■かつてはムジェロで開催されていたサンマリノGP

1990年代前半はイタリア国内で1年に2回のグランプリが開催されており、「イタリアGP」はグランプリの伝統あるミサノ・サーキットで行われ、当時新たにGPカレンダーに加わったばかりのムジェロ・サーキットでは「サンマリノGP」の名称でグランプリが開催されていた。これは今年とは全く逆のネーミングだ。

これは伝統ある「日本GP」の舞台だった鈴鹿が2003年の事故によりGPカレンダーから外され、それまでに日本での2回のグランプリ開催が定着しつつあった当時、「パシフィックGP」の舞台だったツインリンクもてぎが「日本GP」の名称をその後に引き継いでいる今の日本と極めて似た状況だったと言える。

■14年ぶりに叶ったオートバイ好きの地域住民の願い
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レイニーの事故から、今年のMotoGPカレンダーへの復帰までに14年という長い歳月が経過したが、ミサノ周辺のストリートの1つにイタリアのファンからも特に愛された加藤大治郎選手の名前が2004年につけられた事からも、いかに国際的な2輪ロードレースとの関連が深く、イタリアのファンが深い親しみを持つサーキットと土地柄であるかが分かる。今年のミサノのグランプリ復帰は、アドリア海沿岸に住むイタリアの熱心な2輪ロードレースファンが長年にわたり待ち望んだ出来事だ。

■安全面での課題を長期に渡ってクリアした新生ミサノ
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GPカレンダーへの復帰を今年から遂げるまでに、ミサノ・サーキットには多くの改修工事や最新設備導入、ならびに医療施設の充実に向けての莫大な投資が行われてきた。今年からはレイアウトが一部変更され、最大の変更点としてはコースの周回方向が以前とは逆の時計回りになるなど、2006年以前とは全く異なる「新生ミサノ」に生まれ変わっている。
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■旧ミサノ・サーキットの歴史

イタリアのアドリア海沿岸のリミニ県リッチョーネの街に面するミサノ・サーキットは1969年に設立された歴史あるサーキットであり、現在はその運営をリッチョーネの街とは反対側に面するサンマリノ共和国が支援している。ちなみにサンマリノ共和国出身のライダーは、今期はアスパル・チームから250ccクラスに参戦しているアレックス・デ・アンジェリスの1名のみだ。
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ここでは、伝統ある旧ミサノ・サーキットの昨年まで歴史と、新生ミサノに生まれ変わった今年の状況などを以下に紹介する。

■初のレースイベントは1972年

旧ミサノで最初に本格的なレースイベントが開催されたのは設立から3年後の1972年の事だが、この当時はまだサーキット運営は個人により行われおり、ピットやオフィス施設も最小限と呼べるものしかない小規模なサーキットだったようだ。当時のコース長は現在よりも692メートル短い3488メートルだった。
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■グランプリの初開催は1980年、施設拡充の動きは1990年から

1980年にはグランプリの舞台となり、その後の1990年代前半までに急成長を遂げるミサノだが、レセプション・ルーム、プレス・ルーム、各ピットの増設や内部拡張、テクニカル・オフィスなどの大規模な施設が導入され始めたのは1990年以降の事だ。

サーキットの改修工事は1993年まで続き、この時にコース長は4060メートルまで拡張されており、この年からロング・コースとショート・コースの2種類が利用できるようになった。


■カピロッシとバロスは旧ミサノ最後のグランプリに出場

なお、旧ミサノでのイタリアGP最後の年となった1993年に、現在でもMotoGP最高峰クラスの現役ライダーとして活躍中のロリス・カピロッシは250ccクラスで2位、アレックス・バロスは500ccクラスで5位を獲得している。
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■GPカレンダーから外れた後も地道に続いた拡張工事

GPカレンダーから外された1994年以降はSBKミサノ戦のサーキットとして人気を博し、1996年と1997年にはオフィスビルなどの関連施設が第2期拡張工事に入り、1998年にはパドックエリアが40万平方メートルにまで拡張されるなど、グランプリが離れた後も、旧ミサノには着実に近代設備の充実に向けての投資が引き続き行われてきた。
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■充実の医療施設が2005年に完成

2001年には5000シートを誇る初のグランド・スタンドが新設され、2005年には新しいメインエントランスが完成。昨年の2006年には300平方メートルの敷地を持つ医療センターの建設が終わり、MotoGPカレンダーへの復帰に向けて安全面の対策は大きく前進した。
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■旧ミサノは2006年に完全閉鎖、2007年から新生ミサノに

MotoGP復帰への最後の仕上げとして、2006年末に旧ミサノは完全閉鎖されており、5ヶ月間の集中的な大改修を経て、今シーズンの2007年からは新生ミサノに生まれ変わっている。サーキットの正式名称も「ミサノ・ワールド・サーキット」に変更され、MotoGPをはじめとする世界のメジャー・モータースポーツのイベントへの本格的な復帰を、そのネーミングによりアピールしている。
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■超近代サーキットに生まれ変わった新生ミサノ

この5ヶ月間の最後の大改修により、ミサノは全く新しい超近代サーキットへの変貌を遂げている。エントランスが4つに増設され、2万3000の座席が新たに設置された他、プレスルームには320台のワークステーションを設置。近代的な照明システムを導入し、敷地内には17台の発電機も導入されたようだ。レースなどの映像は全てデジタル・レコーダーにより記録されており、サーキット内の情報通信システムは25キロメートルの光ファイバー・ケーブルと50キロメートルの同軸ケーブルにより結ばれ、その全てのデーター通信には万全の障害対策とセキュリティー対策が施されているという。
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■最先端設備はツインリンクもてぎと同等

また、無線LANなどのワイヤレス通信の導入も進んでおり、サーキット内の大部分のエリアからインターネットに接続できる環境も提供されているようだ。ここまでの最先端技術設備を誇るサーキットは、現在において世界でもこのミサノと、日本のツインリンクもてぎの2つのみだという。


■ライダーにとっては未知のコースレイアウト

新生ミサノは最先端技術の導入により超近代サーキットへの変貌を遂げただけではなく、コースレイアウトもライダーにとってみれば、全く未知のものに生まれ変わったと言えるようだ。
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■周回方向が旧ミサノと逆転、時計回りに

見た目にはいくつかの区間のレイアウトが若干変更されただけのようにも見えるが、実際には昨年までは反時計回りだった周回方向が今年からは全く逆となる時計回りに変更されており、近年のミサノを走行した経験を持つSBK出身のライダーにとっても、これまでの知識が活かせない全く新しいサーキットとなっている。コースの全長も2006年当時から120メートル延長され、今年からは4180メートルとなった。

■過去のコースレコードなどの記録はすべて白紙に
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当然、かつての全ての選手権の過去のコースレコードなどの記録は全て白紙に戻されており、今年の6月に行われたSBKのミサノ戦では、今年のファーステスト記録が新生ミサノにおける最初のサーキット・レコードとして取り扱われた。


■新生ミサノでのレース経験を持つMotoGPライダーはウエストのみ
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現役のMotoGPライダーのうち、新しくなったコースでのレース経験を持つのは、今期のイギリスGPからオリビエ・ジャックの後任としてカワサキからMotoGPに参戦を開始するまではWSSカテゴリーに出場しており、ヤマハの600ccマシンで見事に新生ミサノで優勝を遂げたばかりのアンソニー・ウエストの1名のみだ。

■ウエスト「経験が役立てば嬉しい」

ウエストは「今のミサノはすごく良く知っているので有利になると嬉しい」とチェコGPの後に述べ、新生ミサノへの期待感を示した。


■SBK時代の知識が活かせないエドワーズとバーミューレン
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昨年以前の比較的最近の旧ミサノでは、コーリン・エドワーズが4回の表彰台、クリス・バーミューレンが2回の表彰台をそれぞれのSBK時代に獲得しているが、今回この2名は全く新しいサーキットとして新生ミサノのコース学習から始めたいとしている。

■エドワーズ「アイスクリームの店なら分かる」

ちなみにこの2名は今年のミサノで活かせる知識として、エドワーズは「おいしいアイスクリームの店の場所は知ってる」と述べ、バーミューレンは「モーター・ホームをどこに駐車すればいいかは知ってる」とコメントした。



■1993年当時を知るベテランも全く別のサーキットと認識

また、14年前の1993年のイタリアGPをミサノで走った経験を持つロリス・カピロッシとアレックス・バロスも、「周回方向が逆のミサノは全く別のサーキット」としてとらえているようだ。
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■レース以外に新生ミサノを走行した経験を持つライダー

なお、非常に少ない周回数だが、レース以外なら新生ミサノを走行した経験を持つ現役MotoGPライダーは他にもいる。
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写真ミサノのGP復帰前の最後のコース視察として、安全委員会のバレンティーノ・ロッシとロリス・カピロッシは、今シーズンの序盤に市販のオートバイでそれぞれ2周回ほど走行。今年のワールド・ドゥカティー・ウイークの最終日となった7月1日に、ケーシー・ストーナーとロリス・カピロッシがデスモセディチGP7で2周回のデモ走行を実施。前回のチェコGPの1週間前に、グレッシーニ・ホンダのトニ・エリアスとマルコ・メランドリは、チェコGP出場に向けての最終医療テストとしてミサノをCBR600で2周している。

また、フィアット・ヤマハ・チームもドゥカティー・ワールド・ウイークの翌週に開催されたヤマハ・フェスタでミサノ・サーキットを訪れている。この時に本格的な走行を行ったという記録はないが、新生ミサノの入念なコースチェックを行った事はまず間違いないだろう。
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■ロッシは今年6月のSBKミサノ戦を隠密視察
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この他にも、ロッシはSBKのミサノ戦ではヤマハのスタッフ・シャツを着てサーキットに入り、レース中にコース外周をスクーターで移動しながら観察していたが、先に述べた通りこの日のWSSカテゴリーの優勝者が、現カワサキMotoGPのアンソニー・ウエストだった。


■新生ミサノのレイアウトと初の母国GP優勝を狙うドゥカティー
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SBKの世界では、今年を含む過去7年間のミサノにおいて、ドゥカティーが連続勝利を記録している。グランプリの世界では母国イタリアではまだ一度も勝利を経験していないドゥカティーだけに、GPカレンダーに復帰して1年目のミサノでの勝利を確実に狙ってくる筈だ。
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写真■旧ミサノと何ら変わらぬ低速コーナー

コースレイアウト的に見れば、ほとんどのコーナーは1速ギアを使用する低速コーナーであり、コース幅も狭く、決してMotoGPドゥカティーの得意とする類のサーキットとは言えない非常にタイトなレイアウトだが、今年のストーナーは低速サーキットでも速い上に、超高速コーナーの11コーナーを間に挟むバックストレートもある事から、今回もその強さを発揮してくる事は間違いないだろう。


■がたつきのひどくなった新舗装、今回もタイヤ選びが勝利の鍵に
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過去のデータが存在しないため、新タイヤレギュレーションに沿った木曜日のタイヤ選びが難しいと各チームはミサノを前に述べているが、ヨーロッパでの多くの再舗装工事の傾向通り、今回のミサノも路面のがたつきが以前よりもひどくなった様子だ。

■ストーナー「路面は今後も改善が必要」
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今年6月のSBKミサノ戦では、新しく舗装された路面の悪さに多くのライダーが不満を述べていたが、ワールド・ドゥカティー・ウイークでデスモセディチを走らせたケーシー・ストーナーも、その2周回の走行の中で同様の感想を抱いたようだ。

「悪くないコースだが、路面のがたつきがひどくてマシンがかなり不安定だった。今後もコースの改善は必要だと感じた」と、今週のミサノに向けてストーナーは、当時の感想をコメントしている。


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