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バレンシア最終戦、ロッシの悲運とペドロサの歓喜
インテリマーク編集部
2007年11月26日

波乱の2007年MotoGPシーズンの最後を飾るバレンシアGPが、レースウイークの3日間を通して路面温度は低かったものの晴天に恵まれたバレンシア・サーキットにおいて、その最終日となる11月4日、MotoGPクラスの決勝レース当日を迎えた。寒さをものともしない熱狂的なスペインの観客は、レースウイークの3日間を通して延べ23万7千人、決勝当日だけでも13万2千5百人がバレンシア・サーキットにつめかけている。
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ここでは、2007年シーズン最後の戦いとなったバレンシアGPにおけるMotoGPクラス最終戦の詳細内容と結果、ならびに小排気量クラスのレース結果や新着トピックなどを紹介する(シーズン終了直後のレース関係者、ならびに全ライダーの詳細コメントは、こちらの記事を参照の事)。


■ほぼ確定に見えた年間ランキング2位争い
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今シーズンはドゥカティーに移籍したばかりのMotoGPクラス2年目のケーシー・ストーナーが、年間シーズン15戦目となる日本GPにおいて年間タイトルを決めるという圧倒的な強さを誇ったが、それに次ぐ年間ランキング2位の決着が、今年はこの最終戦までもつれ込んだ。

■1ポイントさえ獲得できればロッシはランキング2位をキープ
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しかしながら、前回のマレーシアGPまでに、今期はヤマハとミシュランタイヤの不調に年間を通して苦しんだフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシが241ポイントを獲得してランキング2位、同様にホンダとミシュランタイヤの不調にシーズン前半を苦しんだレプソル・ホンダのダニ・ペドロサは217ポイントを獲得してランキング3位につけており、その差はすでに24ポイントも開いている事から、ペドロサがロッシを逆転する可能性はほぼないに等しいと考えるのが、レースウイーク初日には妥当な状況だったと言える。

■ペドロサの逆転劇は絶望的?
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すなわち、ペドロサが彼にとって地元グランプリとなる今回のバレンシアで優勝を飾り、25ポイントを獲得したとしても、ロッシはレースで15位に入り1ポイントさえ獲得する事さえできれば、このまま年間ランキング2位を維持できる事になる。ペドロサの逆転劇はほぼ絶望的だと、マレーシアGP終了直後は見られていた。


■ロッシの骨折という予想外の事態がレースウイーク2日目に発生
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ところがバレンシアでのレースウイーク2日目、その日の午後に行われた予選において予想外の事態が発生する。全くグリップが得られず絶不調と言えたレースウイーク初日からの復調を示す走りを予選開始直後から見せ始めていたロッシは、その5周目の1コーナーからの脱出加速中にリアを大きく滑らせ、転倒を防ごうとの必死の立て直し努力もむなしく高速転倒。右の手のひらの骨の3個所を骨折する大きな怪我を負ってしまった。

■勢いに乗るペドロサは4連続ポール

その一方で、シーズン最終戦での地元優勝にかけるペドロサは日本GPから続く4連続のポールポジションを獲得。今シーズンの流れに代表される宿敵ケーシー・ストーナーの逃げ切り優勝がこの最終戦でも再現されるのであれば、ロッシは無理せずにレースを欠場する事もあり得ただろうが、バレンシアでのフリー・プラクティスにおけるペドロサのレースタイヤにおけるロングランは不気味なほどに安定していた。
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■最悪の事態に陥ったロッシ

写真こうしてロッシは、問題の1ポイントを獲得しておかなければ、グランプリにデビューしてからの11年間ロッシが維持してきた年間ランキング2位以上のポジションを、12年目にして失う事になりかねない状況に陥ってしまった。

ちなみにロッシは過去11年間、デビューしてから一度もレースを欠場していない超人的記録も保持しており、年間優勝を争っていた昨年のアッセンではフリー・プラクティス中に右手首と左足首を骨折したにもかかわらず痛み止めを打ってレースに出場、8位を獲得している。

■ロッシは17番グリッドに登場

「去年のアッセンの時の痛みを覚えているが、あの時とそれほど痛みの状態は変わらないと思う。ただ、あの時は年間タイトルを争っている最中だったし、明日はランキング2位を狙う戦いなので状況が全く同じとは言えない。いずれにしてももちろんレースには出場したい」と予選後に述べたロッシは、翌日は午前のウォームアップにも参加して体調を確認し、午後の決勝6列目、17番グリッドにその姿を現した。


■三つどもえのランキング4位争い
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その他の年間ランキングでは4位争いも接戦となっている。前回のマレーシアGP終了直後のストーナー、ロッシ、ペドロサ以下のランキングとポイント獲得数は、グレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリが174ポイントのランキング4位、リズラ・スズキのジョン・ホプキンスがメランドリと1ポイント差の173ポイントでランキング5位、同じくリズラ・スズキのクリス・バーミューレンがホプキンスと4ポイント差の169ポイントのランキング6位。
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特にメランドリとホプキンスは毎回レース中のバトル相手となる傾向が強く、またリズラ・スズキの2名も良きライバル関係にある事から、3名のそれぞれがこの最終戦で最初にチェッカーを受け、ランキングの上位に立とうとする意識が強いようだ。


■レース前の怪我人や故障者の情報、デイビス「どうしても無理」

予選で右手のひらを3個所骨折したロッシ以外の怪我人や故障者の状況だが、レースウイーク初日の転倒により右の小指付近の手のひらの骨を数箇所骨折したプラマック・ダンティーンのチャズ・デイビスは、2日目の走行には参加して予選では19番グリッドを確保したものの、3日目の決勝当日は痛みが悪化し、レースへの出場を断念している。
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「このレースに参加できなかった事を本当に申し訳なく思う。ただ、右の手首がひどく腫れて痛みも激しく、どうしても無理だった」とデイビス。

■悪質な腹痛に苦しむチェカ「狙うは完走だけ」

また、怪我ではないが、今回の地元バレンシア戦をもってグランプリでのレース活動を終え、SBKに転向する事が決定しているカルロス・チェカは、レースウイーク初日の晩に耐え難い腹痛を訴えて救急車で病院に運ばれており、病院とサーキットを行き来しながら彼のレース経歴におけるグランプリ最後の週末を過ごしている。
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2日目の予選には参加して9番グリッドを獲得したチェカは、決勝当日午前のウォームアップはキャンセルし、午後のレースはここまでに彼を支えてくれたファンに別れを告げるためだけに出場したいと述べている。「狙うは完走だけ」とチェカ。


■小排気量クラスのバレンシアGPレース結果

ここでは、MotoGPクラスの決勝内容を紹介する前に、簡単に小排気量クラスの最終戦の模様を振り返っておきたい。
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■125ccクラスは年間タイトル決定戦

今回のバレンシアGPでは125ccクラスの年間タイトルが決定している。2007年度のMotoGP125ccクラスのチャンピオンに輝いたのは、昨年まではヒューマンゲスト(チーム・スコット)から参戦してホンダの125ccマシンで戦い、今シーズンからはバンカハ・アスパルに移籍してアプリリアのマシンに乗り換えたばかりのガボール・タルマクシだった。

■レース序盤から快調に飛ばすタルマクシ、つけ狙うファウベル
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前回のマレーシアGP終了時点でランキング2位につけるチームメイトのエクトル・ファウベルから10ポイントの差を奪い、今回の最終戦に挑んだポイントリーダーのタルマクシは、レース開始から2ラップ目にトップを奪い、その後方3番手につけていた逆転タイトルを狙うファウベルが3ラップ目にはその真後ろに迫った。

意地を見せ合う先頭の2台は長い1列の先頭集団から徐々に抜け出し、9ラップ目には後続につけるデルビのルーカス・ペセック、ブルセンス・アプリリアのパブロ・ニエト、ポラリス・ワールドのマティア・パッシーニ、レプソル・ホンダのエステベ・ラバトとブラッドリー・スミス、バンカハ・アスパルのセルジオ・ガデア、KTMの小山知良選手などの集団を4秒後方に追いやり、激しいマッチ・レースを繰り広げる。

■他のライダーが絡まないと逆転できないファウベルはブロック作戦
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ストレート加速でファウベルが前に出て1コーナーでブロックを仕掛けると続く2コーナーから3コーナーではタルマクシがファウベルを奪い返すという攻防戦を2名は繰り返し、ファウベルの露骨にも見えるブロック攻撃にあやうく両者接触という超接近シーンが何度も見られる中、激しいバトルによりペースの伸びなくなったトップ2台に、ファウベルの作戦通り後続の集団が残り4周の20ラップ目までに追いついてくる。

21ラップ目、激しいブレーキングでどこまでも深く1コーナーに2台は飛び込むが、最後のスパートに入ったトップのタルマクシは決してファウベルに前を譲らない。2番手につけるファウベルのすぐ背後には後半の追い上げを得意とするガデアが迫り、ここで先頭集団は3台に。

■やや気を遣うガデアが加わり、最後はアルパル勢3台の争いに
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最終ラップ、激しいライディングを見せるファウベルがタルマクシを1コーナーで交わしてトップに立ち、その後ファウベル、タルマクシ、ガデアの3台は団子状態になりながら同時に加速。ちなみにタイトル圏内にいないガデアは2台の攻防には触れないように、接近しながらもやや引き気味で3番手につけている。

■捨て身のファウベルと転べないタルマクシ
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13コーナーでタルマクシがトップを奪い、続く最終コーナーにタルマクシ、ファウベル、ガデアのバンカハ・アスパル3台が絡むように進入。失うもののないファウベルは激しい動きでインを奪い、転んだら最後のタルマクシは攻め込みすぎる事なく2番手に下がる。3番手のガデアはトップ2台のラインをふさぐことなく慎重に前方を見守った。


■レースの優勝はファウベル、年間チャンピオンはタルマクシ

ストレートを抜けて最初にチェッカーを受けたのは、2008年から250ccクラスに返り咲く事が決定しているエクトル・ファウベル。そして2位でコントロールラインを抜けたのは、この瞬間に自身初となる125ccクラス年間チャンピオンに輝いたガボール・タルマクシだった。最後まで冷静にトップの2台を見守ったセルジオ・ガデアは3位表彰台を獲得。
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表彰台を3名のバンカハ・アスパル勢が独占し、その真ん中にはナンバーワンを強調するランキング2位のエクトル・ファウベル、その隣の2位のポジションには、今期の新チャンピオンに輝き、来年はディフェンディング・チャンピオンとして再び125ccクラスに参戦するガボール・タルマクシの笑顔があった。

■小山選手は9位
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今期をランキング3位で終える事になったKTMの小山知良選手は9位だった。なお、来シーズンはKTMが125ccクラスに2007年と同様のワークス参戦形態を取らないため、小山選手はバルジール・セードルフ・レーシングからKTMサポートのマシンで来年の125ccクラスに参戦する事が決定している。

ちなみに、今期はデルビのマシンを駆りバルジール・セードルフ・レーシング125ccチームで戦ったルーカス・ペセックは、エミー・カフェラテからトーマス・ルティーのチームメイトとして来期は250ccクラスにステップアップする。


■250ccクラス決勝、最終戦を制したのはルーキーのカリオ
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250ccクラスのレース結果は、KTMのミカ・カリオが優勝、2位はマステルMapfreアスパルのアレックス・デアンジェリス、3位はアプリリア・レーシングのアレックス・デボンが獲得している。すでに2年連続のタイトルを決めているホルヘ・ロレンソは7位、ランキング2位のアンドレア・ドヴィツィオーゾは4位。
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■日本勢4名の結果
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2008年はJiRチーム・スコットから4年目の250ccクラス参戦が決定しているコプロン・チーム・スコットの高橋裕紀選手は8位、来年もミカ・カリオと共にレッドブルKTMから5年目の250ccクラスに参戦する青山博一選手は10位。
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来年のSBK行きが一部で噂されるレプソル・ホンダの青山周平選手は17位、カンペテーラ・レーシングの関口太郎選手は19位だった。
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■来期のカンペテーラのシートはポッジャーリが獲得

なお、カンペテーラ・レーシングは来期のライダー・ラインナップとして、チーム2年目となるファブリツィオ・ライと、125ccクラスと250ccクラスの元チャンピオンであるマヌエル・ポッジャーリの2名体制を正式に発表しており、関口太郎選手の名前はエントリーされなかった。
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■小排気量トピック、レプソル・チームは来期からKTMマシン写真
また、その他の小排気量クラスの動向だが、今期までホンダのマシンで小排気量クラスを戦ってきたアルベルト・プーチ率いるレプソル・チームが、2008年からはKTMのマシンを使用する事を正式に発表した。11月19日から3日間の日程で行われた125ccクラスと250ccクラスのヘレス冬季合同テストでは、レプソル・チームがすでにKTMのマシンでの作業を開始している。
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なお、レプソル125ccクラスのライダー体制はエステベ・ラバトと、今年はCEV(スペイン国内選手権)の125ccクラスに参戦していたマルク・マルケスの2名体制。レプソル250ccクラスのタイダー体制はフリアン・シモンの1名となりそうだ。
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ちなみに、今期までレプソル・ホンダの125ccチームに所属していたブラッドリー・スミスは、来期はポラリス・ワールドからアプリリアのマシンで125ccクラスに参戦し、今期をポラリス・ワールド125ccチームで戦ったマティア・パッシーニは同チームのまま250ccクラスにステップアップする事が正式決定している。

■チーム・スコット125ccもKTMマシンにスイッチ

また、コプロン・チーム・スコット125ccもレプソルの小排気量チームと同様に、ホンダのマシンからKTMにスイッチする様子だが、JiRチーム・スコット(250cc)の高橋選手は今年と変わらずホンダのマシンで来年も戦う。


■MotoGPクラスの決勝レース内容
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MotoGPクラスの最終戦に話を戻そう。

18名のライダーがスターティング・グリッドについたレース開始直前の気温は19度、路面温度は25度、湿度は43%の陽射しの注ぐ良好なドライ・セッション。


■決勝グリッド、ポールポジションは地元優勝を狙うペドロサ

スターティング・グリッドの状況は以下の通り。
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バレンシアGP2日目の予選でポールポジションを獲得したのは、本人がどうしても納得いかなかったと述べる今シーズンの最後を、地元勝利で飾る強い意欲に燃えるレプソル・ホンダのダニ・ペドロサ。2番グリッドは今シーズンの圧倒的な強さで新チャンピオンに輝いたドゥカティーのケーシー・ストーナー、1列目最後の3番グリッドは、レースウイークを通してレースタイヤでは全くタイムの伸びない昨年度のチャンピオン、レプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン。
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■2名揃って2列目の快挙を成し遂げたダンロップ

2列目4番グリッドは最高峰クラス2年目にして成長著しく、カワサキでの最後のレースを戦うランディ・ド・ピュニエ。残る2列目の5番グリッドと6番グリッドには、ついに4ストロークGPに向けての2年間の本格的なタイヤ開発の成果が結果として表れ始めたダンロップTECH3ヤマハ勢の2名、シルバン・ギュントーリと玉田誠選手が、ダンロップタイヤにとっては2ストロークマシンが混在だった2002年以来と言える2名揃っての高いグリッド位置をキープした。
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■ギュントーリは自動的にルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得

ちなみにシルバン・ギュントーリは今期のたった1人のMotoGPルーキーであり、すでにルーキー・オブ・ザ・イヤーの獲得は決定している。なお、現役引退を表明したオリビエ・ジャックの後任として今年のイギリスGPからMotoGPクラスに参戦を開始したカワサキのアンソニー・ウエストは500ccでの最高峰クラスフル参戦の経験を持つため、今期のルーキーには該当しない。

■来期は大きくチーム体制が変動する感傷的な3列目以降
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3列目7番グリッドには、年間ランキング4位をメランドリと争い、このレースで5年間のスズキでの活動に終止符を打つ事になるリズラ・スズキのジョン・ホプキンス。8番グリッドには、同じくドゥカティーでの5年間の活動を有終の美で飾りたいロリス・カピロッシ。3列目最後の9番グリッドは、自身のグランプリ引退戦となるこのレースウイーク中、感染性の悪質な腹痛により病院とサーキットを交互に行き来する事になったホンダLCRのカルロス・チェカ。
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4列目10番グリッドは、3年間を過ごしたグレッシーニ・ホンダでの最後のレースとなるマルコ・メランドリ。11番グリッドにはリズラ・スズキのクリス・バーミューレン。4列目最後の12番グリッドには、このレースをもって現役レーサーとしての活動から引退するプラマック・ダンティーンのアレックス・バロス。
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5列目13番グリッドには、移籍して1年目のホンダのマシン・セッティングが思い通りに進まず、予想外の苦しいシーズンを送る事になったコニカミノルタ・ホンダの中野真矢選手。14番グリッドは2年間を過ごしたグレッシーニ・ホンダでの最後のレースを迎えたトニ・エリアス。4列目最後の15番グリッドは、今回が3年間のヤマハのファクトリー・ライダーとしての最後の仕事となるフィアット・ヤマハのコーリン・エドワーズ。
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■連続ポイント獲得が難しくなったウエスト

6列目16番グリッドは、今年は250ccクラスとWSSカテゴリーでのレギュラー・エントリーを経てそのWSSでの活躍が注目を浴び、6月末のイギリスGPからはMotoGPクラスへの昇格を果たすという、本人さえも想定していなかった激動の1年間を送り、MotoGPカワサキに所属してからは一度もレースでポイント圏内を逃していないアンソニー・ウエスト。
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■レースでは順位を2つ上げる必要があるロッシ

6列目17番グリッドは、深刻な右手の怪我をおしてレースへの出場を決断、グリッド位置よりもポジションを2つ上げて1ポイントを獲得する事により年間ランキング2位のポジションをダニ・ペドロサから守りたいフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ。
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■チーム・ロバーツはホンダ勢としての最後の戦い

最後尾の6列目18番グリッドは、チームの独自シャシーに向けて212Vエンジンの供給を受けるホンダから、ついに今シーズンは最後まで改良型エンジンを提供されなかったチーム・ロバーツのライダー、イギリスGPからは兄のケニー・ロバーツ・ジュニアに代わり1人でシーズンを戦ってきたカーチス・ロバーツ。


■レース開始、ホールショットはまたもストーナー
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シグナルが消え、30周という長いレースのオープニング・ラップでホール・ショットを奪ったのは、いつも通りのスタート・ダッシュを2番グリッドから見せつけたドゥカティーのケーシー・ストーナーだった。同じく3番グリッドからの好スタートを見せたニッキー・ヘイデンがストーナーの背後となる2番手につけ、その後ろにはチームメイトのダニ・ペドロサが続く。

■チームメイトを交わしペドロサが2番手に
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2コーナーの左ヘアピンでペドロサはヘイデンを交わして2番手に浮上し、逃げるストーナーの後方につける。ヘイデンは3番手に後退し、その背後にはスタートがうまくいかなかったTECH3ヤマハの2名を交わした4番手のジョン・ホプキンスと5番手のロリス・カピロッシ、ならびに10番グリッドからの好スタートを見せた6番手のマルコ・メランドリが続く。メランドリの後方には7番手のアレックス・バロスと8番手の玉田選手。
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■やはりスタートが課題のド・ピュニエ

シーズン中はスタートが課題と言い続けていたカワサキのランディ・ド・ピュニエは、4番グリッドからのスタートに失敗して1コーナーまでにポジションを5つも落とし、9番手を走行している。


■ハイペースで逃げるストーナー

2ラップ目に突入時点の順位は、先頭からストーナー、2番手にペドロサ、3番手にヘイデン、4番手にホプキンス、5番手にメランドリ、6番手にカピロッシ、7番手にバロス、8番手に玉田選手、9番手にド・ピュニエ、10番手にギュントーリ。
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11番手にトニ・エリアス、12番手にクリス・バーミューレン、13番手に中野真矢選手、14番手にカルロス・チェカ、15番手にアンソニー・ウエスト、16番手にコーリン・エドワーズ、17番手にバレンティーノ・ロッシ。

■チーム・ロバーツは最初からエンジンに点火不良

ロッシまでの長い1列から1秒遅れて、スタート直後からKR212Vのエンジンの点火不良が発生し、いきなりペースが上げられなった最後尾18番手のカーチス・ロバーツが1コーナーを通過。


■ストーナーがいきなり990cc時代のコース・レコードを更新
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序盤からハイペースで逃げの体制に入る先頭のストーナーは、この周回にいきなり990cc時代のカピロッシのサーキット・レコードを上回る1分32秒775の新記録を樹立。この凄まじいペースで後方から追いすがる2番手のペドロサを0.75秒引き離した。

■ヘイデンの背後に迫るランキング4位を争う2名

3番手につけるヘイデンはリアにトラクション不足の問題を抱えて先頭を争う2台のペースにはついて行けない。ヘイデンの後ろ4番手を走行するホプキンスの背後には、ホプキンスから年間ランキング4位の座を最後まで守りたいメランドリが前をうかがっている。
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2番手のペドロサがトップのストーナーとの距離を縮め始めた3ラップ目、5番手のメランドリは前を行くホプキンスへの粘着アタックを開始するが、逃げ続けるホプキンスはそのまま前方3番手のヘイデンに迫り、3台は3位集団を形成。

■ホプキンスがヘイデンを交わして3番手に浮上
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4ラップ目、ここでホプキンスは2コーナー左タイト・カーブの深いブレーキングでヘイデンの前を奪い3番手に浮上。ヘイデンは4番手に後退。続けてメランドリがヘイデンの背後に迫るが、ヘイデンはこれを引き離す事ができずに必死に逃げ続ける。

■激しく順位を入れ替えるヘイデンとメランドリ

続く5ラップ目のホームストレート、メランドリは1コーナー目がけてのブレーキングでヘイデンに並びかけて前を奪うが、続く2コーナーのタイトカーブ進入では再びヘイデンがメランドリを抑えて4番手に復帰。メランドリは5番手からヘイデンを追い続ける。

■ホプキンスは3位単独走行に突入
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メランドリの追撃をいち早く交わして3番手に抜け出したホプキンスは、後方で繰り返し4番手のポジションを奪い合うヘイデンとメランドリを大きく引き離し、2.5秒前方のストーナーとペドロサを目指しての3位単独走行に突入。


■ペドロサがストーナーのコース・レコードを更新

ここでペドロサは2ラップ目にストーナーが記録したサーキット・レコードを、1分32秒748のタイムで早くも更新。先頭のストーナーはペースを落とさず逃げ続けるが、真後ろに迫ったペドロサとの間の距離はすでに存在しない。

■逃げ切れないストーナー
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この時点の順位は先頭からストーナー、2番手にペドロサ、その2.8秒後方に3番手のホプキンス、さらに1.5秒後方は激しく4番手を争うヘイデンとメランドリ、メランドリの0.5秒後方には6番手にカピロッシ、7番手にバロス、8番手にド・ピュニエ、9番手にギュントーリ。
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10番手には玉田選手とその真後ろに迫った11番手のバーミューレン、その背後には12番手のトニ・エリアスと13番手の中野選手が続き、さらに2.5秒後方に14番手のエドワーズ、腹痛が再発して苦しみだした15番手のチェカ、16番手にウエスト、17番手にはロッシ、その2.5秒後方には18番手のカーチス・ロバーツが続いた。

■ストーナーを後方に追いやるペドロサ、追いすがるストーナー
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6ラップ目、ついにホームストレートでペドロサがストーナーに並びかけ、1コーナーの進入を奪いトップに浮上。ひるんだストーナーは続く2コーナーまでのストレートでペドロサから引き離されるが、必死にペドロサの背後に迫ろうと2コーナー立ち上がりで猛加速を見せる。


■ロッシを前に行かせるペースの伸びないウエスト

ペースを全く落とさないトップのペドロサが2番手のストーナーの0.5秒前を行く8ラップ目、レースウイークを通してバレンシア・サーキットの攻略に苦しみ、ペースが伸びないまま16番手を走行していたカワサキのアンソニー・ウエストは、背後に迫ったロッシに足でサインを出して前に行くよう指示。
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ウエストを交わしたロッシは16番手に浮上し、年間ランキングの2位を保持する上で必要な1ポイント圏内まであと1つに迫った。

■不屈の闘志でロッシを抑える腹痛のチェカ

トップのペドロサが2番手のストーナーを1.1秒引き離した10ラップ目、バレンティーノ・ロッシは腹痛のカルロス・チェカを交わして念願のポイント圏内となる15番手に浮上するが、グランプリでの最後の戦いに不屈の闘志を見せるチェカは続く11ラップ目にこれを抜き返し、再びロッシは16番手に後退。
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■カーチス・ロバーツがレースの継続を断念

インターネットで募った1万5,502人のファンの名前が刻まれたKR212Vもむなしく、エンジンの不調がさらに悪化して周回ごとにペースを落としていたカーチス・ロバーツは、ここで今シーズンの戦いにピリオドを打つ事を決断。ピットガレージにマシンを戻してバイクを降り、リタイアした。
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■カーチス「ホンダはうちのエンジン以外は上手に仕上げたね・・・」

シーズン中盤からホンダに改良型エンジンの提供を求め続けるも、今回の最終戦まで今や旧型となった冬季のIRTAテストと同じ仕様の212Vエンジンで戦う唯一のライダーとなったカーチス・ロバーツは「何もかもがうまくいかなかった。エンジンがひどい点火不良を起こして、オープニングラップの最中から状況はどんどん悪くなっていった。スピードもどんどん落ちてくるし、あそこまで遅くなるとこのサーキットでは最悪」と述べ、最終戦を完走できなかった事を悔しがった。
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「ホンダは彼らのバイクにいい仕事をしてきたらしい。うちのは除くけど」とカーチス。

■来期に向け、ドゥカティーとの契約成立を願うチーム・ロバーツ

また、午前のウォームアップでは14番手タイムを記録していただけに残念だと述べるチーム・ロバーツ監督のチャック・アクスランドは、「いずれにしても、これで終わり。将来的に良い状況が期待できるようになる事を願うのみ」とコメントし、現在ドゥカティーなどと交渉を進めている来期のエンジンやマシン、ならびに念願だったライダー2名体制実現に向けての期待をのぞかせている。


■ド・ピュニエの追撃を抑えるカピロッシ
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トップのペドロサとストーナーの2台が1分33秒1のペースを維持し、3番手のホプキンスとの差を4秒まで広げた12ラップ目、バロスに交わされて7番手に後退してきたカピロッシに8番手のド・ピュニエが6コーナー付近で並びかけるが、続く7コーナーから8コーナーの左カーブでカピロッシはこれを抑えて7番手をキープ。

■メランドリとヘイデンは意地の争い
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メランドリはヘイデンを交わして4番手に浮上したが、前方のホプキンスからはすでに4秒近く距離を空けられている。この時点で若干メランドリよりもペースの速い5番手のヘイデンは再びメランドリの背後に忍び寄る。

レース中盤に、入りややリズムをつかんだエドワーズは中野選手と玉田選手の追撃を開始。

■順調にポジションを上げ始めるチェカ
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14ラップ目、腹痛を抱えながらもレース中盤にリズムがつかめるようになったとするチェカは、今年1年を通して繰り返しレース中盤に発生するフロントまわりの不調によりポジションを下げてきた中野選手を交わして14番手に浮上。チェカはそのまま前方を行く玉田選手も射程圏内に捕らえる。


■中野選手から前を奪い、ロッシがポイント圏内に突入

ポイント圏内最後の15番手となった中野選手の後ろには、1ポイント獲得のために右手の骨折をおしてレースに出場したバレンティーノ・ロッシが迫る。
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ロッシは8コーナーから続くシケインの進入にかけて中野選手を交わすとこのレース2度目のポイント圏内到達を果たし、エドワーズとチェカに交わされて14番手を走行する玉田選手の真後ろに近づいた。

■やっと玉田選手を交わし、さらに安全圏内を狙うロッシ

15ラップ目にはなかなか交わせなかった玉田選手を16ラップ目にようやく交わしたロッシは、年間ランキング2位のほぼ安全圏内と言える14番手のポジションに到着。しかし続く17ラップ目に玉田選手は1コーナーでロッシを抜き返し、それでは困るロッシは2コーナーで再び玉田選手を交わして14番手に復帰。「さらに前を狙う事にした」というロッシは前方を行くチェカとエドワーズも交わすべく猛チャージに入った。

■膠着状態が続くメランドリとヘイデン
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4番手を行くメランドリと5番手のヘイデンは膠着状態の接近戦を演じているが、ペースに伸び悩むメランドリはやや逃げ切れないような素振りを見せている。


■ロッシがコースアウト、努力が振り出しに・・・

18ラップ目、14番手を走行していたロッシが1コーナーを曲がりきれずにコースアウト。そのままコースには復帰したものの、苦労して交わした筈の玉田選手と中野選手がその横を通過し、振り出しとも言えるポイント圏外の16番手に再び後退してしまった。
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19ラップ目の順位は先頭からペドロサ、1.5秒後方の2番手にストーナー、その7.6秒後方に3番手のホプキンス、さらに4.1秒後方に4番手のメランドリと5番手のヘイデン、ヘイデンの2.1秒後方には6番手のカピロッシ。

7番手にはド・ピュニエ、8番手にバーミューレン、9番手にバロス、10番手にギュントーリ、11番手にエリアス、12番手にエドワーズ、13番手にチェカ、14番手に中野選手、15番手にはリアに振動を抱えて攻め込む事ができなくなった玉田選手。

■玉田選手の7秒後方に後退したロッシ

この時点でバレンティーノ・ロッシは16番手のままだが、コースアウトしてから1周回のうちにロッシは極端にペースを落とし、15番手を行く玉田選手との距離、すなわち年間ランキング2位までの距離が7秒にまで開いてしまった。


■ロッシがレース続行を断念
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ヘイデンとメランドリが2コーナーから5コーナーにかけて横並びのままコーナリングを続ける激しい攻防戦を見せ、ヘイデンが4番手をメランドリから奪い返した20ラップ目、ここでロッシが走行を断念した。

■ロッシのスローダウンはエンジンまわりのトラブル

ピットレーンを抜けたロッシはマシンをガレージにとめるとそのままバイクを降り、ヘルメットの中から血の気のひいた表情を見せ続けている。エンジンの不調によるリタイアだった。

■ロッシ「これはもう運の問題じゃない」

「言葉もない。これは単に運が悪いとかそういう問題じゃない。今日からはそれがはっきり言える。今日はグリッドに並んでから自分のできる事は全てやったつもり。年間ランキング2位のポジションを確保しようとしたし、それが可能だと思ったから」と、負傷した右手の痛みに耐えて走ったロッシは憤りを隠しきれない。

「14番手に到達した時には『今日の任務は達成した』と自分に言い聞かせたが、バイクに問題が発生してピットに戻る羽目になった」とロッシ。
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■リン・ジャービスがロッシに謝罪

今回の事態に対し、ヤマハ・モーター・レーシングの責任者であるリン・ジャービスは、ロッシに向けて以下の謝罪の言葉を表明した。

「厳しかったシーズンの最後を非常に残念な結果で終える事になってしまった。私たちのマシンがバレンティーノの期待を裏切った事を本当に申し訳なく思う。骨折した手のままの今日の彼の走りには、ファイティング・スピリットとレースにかける情熱が溢れてた」とジャービス。

■ブリビオ監督「悲しい出来事」

フィアット・ヤマハのチーム監督であるダビデ・ブリビオも同様に、ロッシへの謝罪の言葉を以下の通りコメントしている。

「もっといい結果でシーズンの最後を締めくくれる事を願っていた。手を骨折しながらも大変な努力でレースに挑んだバレンティーノには深くお詫びしたい。不幸にしてマシンの技術面での問題が発生し、彼のランキング2位を維持するための戦いを中断させる結果に終わったのは、私たちにとって大変に悲しい出来事だった」とブリビオ監督。

■エンジンは日本に持ち帰り調査を継続

また、エンジン・トラブルの原因についてブリビオ監督は「バレンティーノはマシンに何か問題が発生したと感じており、エンジンが正常に動作しなくなったと訴えている。最初の分析状況では問題を特定できていないので、今後はエンジンを日本に送り返して、さらなる調査を続ける事が決定している」と説明した。


■ストーナーを2秒引き離したペドロサ
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カーチス・ロバーツとバレンティーノ・ロッシがリタイアし、コース上に16名のライダーが残った21ラップ目、トップの2名は1分33秒2というハイペースをいつまでも崩さないが、先頭のペドロサと2番手のストーナーとの差は約2秒まで開いた。周回ごとにコンマ1秒ずつストーナーはペドロサから引き離されていく。

■力尽きるヘイデン
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22ラップ目のホームストレート、リズムをやや取り戻してヘイデンに並びかけたメランドリは1コーナーのブレーキング競争でその進入を奪い4番手に再浮上。「できる限り長くポジションを維持しようと頑張ったが最後まで十分なペースには到達できなかった」とする5番手のヘイデンは、しばらくメランドリの背後に食い下がるものの、ゆっくりとペースを落としていった。

■怒濤のハイペースを崩さないペドロサ
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独りぼっちの寂しいレースを続ける3番手のホプキンスの12秒前方では、ストーナーを寄せ付けない渾身の走りを見せるペドロサがコーナーの縁石に乗り上げてマシンをぐらつかせるが、ペドロサは一向に気にする様子もなく次のコーナーに向けてアクセルを開ける。

■バロスが8番手に浮上
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25ラップ目の8コーナー、ド・ピュニエはバロスに交わされて9番手に後退。8番手に浮上したバロスの背後に食い下がるようにド・ピュニエは続くシケインを切り返していく。


■後退を続けるヘイデンに襲いかかるカピロッシとバーミューレン
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26ラップ目、ペースがさらに伸びないヘイデンは2コーナーから3コーナーにかけてカピロッシに交わされ6番手に後退。さらに続く11コーナーでは7番手のバーミューレンにも並びかけられるが、12コーナーの進入でヘイデンはこれを抑える。ヘイデンの激しいコーナーへの飛び込みにバーミューレンがややひいた形だ。

27ラップ目のホームストレートでバーミューレンは再びヘイデンに並びかけ、再びヘイデンが1コーナーでこれを抑えるが、2コーナーへはバーミューレンが難なく先に進入。バーミューレンは6番手に浮上、ヘイデンは7番手に後退した。

■ヘイデンはバロスの射程圏内に
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残り2周の29ラップ目、まわりより1秒ペースの遅くなったヘイデンの0.6秒後方にはレース人生最後の追い抜きを狙うバロスが迫る。この時点の順位は先頭からペドロサ、2番手にストーナー、3番手にホプキンス、4番手にメランドリ、5番手にカピロッシ、6番手にバーミューレン、7番手にヘイデン、8番手にバロス、9番手にド・ピュニエ、10番手にエリアス、11番手にギュントーリ、12番手にチェカ、13番手にエドワーズ、14番手に中野選手、15番手に玉田選手、16番手にウエスト。

■ペドロサのペースについていけないストーナーがミス
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ここで2番手のストーナーは最終コーナーの縁石に乗り上げてミスを犯し、タイムを大きくロスしてしまう。
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■バロスを抑えきれないヘイデン

力尽きたヘイデンがついにバロスに交わされて8番手に後退し、それ以外に順位変動が発生しなかった最終ラップ、30周回を走りきったライダーたちが今年最後のコントロールラインを目指す。
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■ペドロサがポール・トゥ・ウイン!逆転の年間ランキング2位を獲得

2007年最終戦のバレンシアGPで最初にチェッカーを受けたのは、地元の観衆の期待に100%の形で応え、ポール・トゥ・ウインで今期2度目の優勝を飾ったレプソル・ホンダのダニ・ペドロサだった。この優勝により25ポイントを獲得したペドロサは、フィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシがリタイアに終わった事から、1ポイント差で逆転の年間ランキング2位を獲得している。一方、失意のロッシは年間ランキング3位で2007年シーズンを終える事になった。
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■2位はストーナー、3位表彰台のホプキンスも年間ランキングを逆転

最初から最後まで信じられないペースだったと驚く2007年の新チャンピオン、ドゥカティーのケーシー・ストーナーは、ペドロサから5.4秒遅れてチェッカーを受けて2位を獲得。さらに15秒遅れて高々とウイリーをしながらコントロールラインを抜けたリズラ・スズキのジョン・ホプキンスは今期4度目の表彰台となる3位を獲得し、メランドリから年間ランキングの4位を奪い返す事に成功している。このレースを4位で終えたメランドリは惜しくもホプキンスから2ポイント差の年間ランキング5位となった。
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■優勝)ペドロサ「勝ちたくて仕方がなかった」

昨年のMotoGPデビュー・イヤーをランキング5位の好成績で終え、2年目の今年はさらに高いランキング2位でシーズンを終える事になったダニ・ペドロサは、パルクフェルメに戻るまでは自分のランキングが上がった事を知らなかった様子だ。レプソルのスタッフにその事実を聞かされたペドロサは驚きの表情を見せている。
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「この結果は本当に嬉しい。このレースは本当に勝ちたくて仕方がなかったので最高の気分」とペドロサ。

「レースの序盤はフロントのグリップ不足に少し苦しんだが、レースの後半に入ってからはすごく調子が良くなった。今日のペースはとても速く、ケーシーがすごい勢いで追いかけてきたので、最後までリラックスしたり手を抜く暇が全くなかった」

「パルクフェルメに到着するまで年間ランキングが2位になった事を知らなかったが、これは嬉しい驚きだった。ほとんど不可能だと思っていたので、期待すらしていなかった」

「観客もこのレースウイークをすごく楽しんでくれたと思うし、自分のホームでファンに最高の結果を見せる事ができて誇らしく思う。とにかく嬉しい」


■2位)ストーナー「今回はペドロサが勝って嬉しい」

ドゥカティー移籍1年目の今シーズン、最終戦は2位に終わったものの、18レース中に10回の勝利を含む14回の表彰台という圧倒的な強さで2007年ワールド・チャンピオンに輝いているケーシー・ストーナーは、今シーズン中にただ1人全てのレースでポイントを獲得したライダーでもある。
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ランキング2位のペドロサと125ポイントの大差となる367ポイントを今年1年で獲得したストーナーは、今回のバレンシアではペドロサの勝利が嬉しかったとコメントしている。

「今回のペースが33秒台の前半になるとは思っていたが、こんなに速いペースが最後まで続くとは予想もしなかった」とストーナー。

「全てが順調と思っていたが、ダニが抜いてきてすぐに差を広げられてしまい、距離を縮める事ができなかった。同じ速度でついて行く事はなんとかできたが、そこからダニがコンマ数秒ペースを上げてきてからついて行けなくなった。ダニはミスを全然犯さなかったし、完全に彼の勝利」

「ホームのグランプリで勝つことがどれだけ素晴らしい事か、今は自分でも良く分かっているから、彼の勝利を嬉しく思う。特にこのクラスでそれを達成できるのは格別」

「今年は素晴らしい1年間だったし、今シーズンについて何一つ文句なんて見つからない。来年は他がもっと強くなる事は間違いないから、自分が持てる力の全て駆使して、またトップが狙えるように来年も頑張るつもり」


■3位)ホプキンス「スズキに最大級の感謝」
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今シーズンはグランプリ・デビューからの念願だった表彰台を4回も獲得し、今回の3位の成績により、スズキでの5年間の活動を、ペドロサ、ストーナー、ロッシに次ぐ年間ランキングの4位という高い結果で終える事ができたジョン・ホプキンスは、リズラ・スズキの全員のここまでのサポートに心から感謝したいと、やや感傷的になりながら以下の通りコメントしている。

「スズキのメンバー全員に、自分からの最大級の感謝の気持ちを伝えたい。スズキはMotoGPでの自分を生き返らせ、素晴らしいレースキャリアを与えてくれた。どうやってこの感謝の気持ちを全て表したらいいのか分からない」とホプキンス。

「スタートがうまくいって、しばらしくしてニッキー・ヘイデンを追い抜いたが、その後はひどく寂しいレースになり、残りのレースはひたすらタイムを気にして後続に誰か迫っていないかを確認するというレース内容だった」
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「レース残り数周の時はかなり感傷的な気分になり、集中力を切らさないように走るのが本当に大変だった。ママも姉もフィアンセも、彼女の家族も揃ってここにレースを見に来てくれていたので、チェッカーを受けた時には信じられないような最高の気分だった。1年を締めくくるのには最高の場面だったと思う」

「リズラ・スズキのために、本当は表彰台の1番高いところに立ちたかった。特に自分のクルー全員のためにも。でも、今回はダニと彼のホームのファンのための場所だったらしい。素晴らしい5年間を過ごさせてもらった。この気持ちの全てをチームの全員と一緒に分かち合って、今晩はみんなとただ楽しく過ごしたい!」


■中野選手「今年は結果を残す事ができなかった」

今回の最終戦を14位で終え、年間ランキングは最終的に17位という厳しい1年を過ごしたコニカミノルタ・ホンダの中野真矢選手は、レース後に以下のコメントを残している。

写真「今回のレースもすごく難しかったし、今シーズンの流れを集約したような内容だった」と中野選手。

「今年はRC212Vのフロントまわりの感触が得られず苦しんできた。これは自分のライディング・スタイルにとってはとても重要な部分なので、問題は大きかった。今シーズン中に何回か転んだのはそれが理由だが、最後まで大きな怪我もなくシーズンを終えられて本当に良かったと思う」

「厳しい1年間を通して自分のモチベーションを持続させようと頑張ってくれたルカ(モンティロン)とジュリオ(ベルナルデッレ)、ならびにチームの全員に感謝したい。ここは非常に優秀なチームだったが、残念ながら今年の自分たちは結果を残す事ができなかった」

■ベルナルデッレ「シンヤには受け入れがたい1年だったと思う」

また、中野選手をテクニカル面で支えてきたコニカミノルタ・ホンダの技術責任者であるジュリオ・ベルナルデッレは、「1年を通して自分たちの力はトップ集団と戦えるだけの十分な高いレベルにあったとは言えない。これは私たちにとって非常に大きな問題だった。チームのパッケージ性能に制約され、改善を進めるのは非常に難しい状況だったし、今日のレース内容も状況は何一つ変わっていない。シンヤには本当に感謝したい。彼のようなライダーにとって、このようなシーズンは本当に受け入れがたいものだった筈。私たちは個人としては、非常に素晴らしい人間関係を築く事ができて幸いだった」とコメントし、苦しかった1年間の胸の内を明かしている。


■玉田選手「自分が望んでいた結果には到達できなかった」

写真今回の予選では2列目6番グリッドというダンロップタイヤの開発成果を高く示す結果を残し、レースを15位で終えた玉田誠選手は、ダンロップタイヤとTECH3ヤマハチームに、今シーズンを通しての感謝の気持ちをコメントしている。

「今日のレースの内容にはあまり満足できていないが、このチームで走る機会を与えてくれた方々とダンロップに深く感謝したい」と玉田選手。

「自分が本当に望んでいたような結果を残す事はできなかったが、チームのメンバーやダンロップは決して諦める事なく、何かを向上させていこうとする懸命な姿勢を最後まで崩さなかった。今年は彼らに、これ以上はあり得ない程のサポートを頂いた。彼らの今後の大きな活躍を心から願ってやまない」

■ポンシャラル「人間関係では過去最高のチームだった」

また、TECH3ヤマハのチーム・オーナーであるエルベ・ポンシャラルは、「私たちのライダーに感謝の気持ちを伝えたい。1年を通してピットガレージの雰囲気は本当に素晴らしいものだった。ライダーとチームの間にトラブルは一度もなく、私の意見としては、2名のライダーを抱えたこれまでのチームの歴史上、間違いなく2007年は人間関係の面では最高の1年間だった。彼らがチームを離れる事は大変に残念。マコト(玉田選手)の活躍が来年も見られる事を深く願っている」と述べ、玉田選手に向けてのエールを送っている。

■シーズンを終えての全関係者の詳細コメント
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その他、各チーム関係者のシーズン終了時の挨拶、ならびに今期を限りに引退するライダーたちのコメントなど、レース終了後の詳細コメント全文はこちらの記事を参照の事。


■バレンシアGP決勝レース結果
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以下に、バレンシアGPの決勝レース結果を示す。

1) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 46分43秒533(30周)
2) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP7 46分48秒980(30周)
3) ジョン・ホプキンス USA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 47分03秒937(30周)
4) マルコ・メランドリ ITA ホンダ・グレッシーニ RC212V 47分08秒360(30周)
5) ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP7 47分09秒337(30周)
6) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 47分09秒395(30周)
7) アレックス・バロス BRA プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 47分13秒003(30周)
8) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 47分13秒866(30周)
9) ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 47分14秒428(30周)
10) トニ・エリアス SPA ホンダ・グレッシーニ RC212V 47分14秒563(30周)
11) シルバン・ギュントーリ FRA ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 47分22秒296(30周)
12) カルロス・チェカ SPA ホンダ・LCR RC212V 47分26秒039(30周)
13) コーリン・エドワーズ USA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 47分30秒105(30周)
14) 中野真矢 JPN コニカミノルタ・ホンダ RC212V 47分33秒753(30周)
15) 玉田誠 JPN ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 47分40秒412(30周)
16) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 47分58秒902(30周)
-) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 30分32秒477(19周)
-) カーチス・ロバーツ USA チーム・ロバーツ KR212V 16分15秒099(10周)

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