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第11戦アメリカ、米国開拓を急ぐMotoGPビジネス
インテリマーク編集部
2007年7月20日

アメリカ現地時間の7月20日午前10時、日本時間の7月21日午前2時より、夏休み前の最後のMotoGPラウンドとなる第11戦アメリカGPが、カリフォルニア州のモンテレーにあるラグナ・セカ・サーキットで開催される。
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■夏休み前の最後の戦い

今回の3日間のアメリカGPを終えると同時にMotoGPシーズンは夏休みに入り、4週間後の8月19日にブルノ・サーキットで開催されるチェコGPまで、MotoGPのレース活動は一切行われない。なお、125ccクラスと250ccクラスの小排気量カテゴリーは前回のドイツGPを終えたところで一足早く夏休みに入っており、毎年アメリカGPはMotoGPクラスのみのレースとなるが、代わりに米国選手権であるAMAのラグナ・セカ戦と同時に開催される。
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ここでは、真夏のストーブリーグ情報を含む前回のドイツGP以降の新着トピックや、アメリカGPの舞台となるラグナ・セカ・サーキットの特徴や今年の改修情報、ならびに各チームのアメリカGPに向けての動きおよび昨年のレース内容などを紹介する。


■ロバーツ・ジュニアが母国GP欠場を表明

チーム・ロバーツは、イギリスGP以降はレースへの出場意欲を見せず、ここまでの3戦を欠場しているケニー・ロバーツ・ジュニアが、母国アメリカGPにも出場しない事を公式に発表している。
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ロバーツ・ジュニアは、チームの新型シャシーが初投入される今回の母国GPからレースに復帰する予定が以前から伝えられていたが、今シーズンを継続する事へのモチベーションが低下していると噂されるロバーツ・ジュニアのアメリカGP欠場をチームは7月19日に公式発表しており、少なくとも今回は、チーム・ロバーツの新型KR212Vに乗るのは弟のカーチス・ロバーツの1名のみとなった。


■アメリカ出身ライダーの多い今年のラグナ・セカ

ロバーツ・ジュニアの欠場という残念なニュースはあるものの、今年のアメリカGPは近年になくアメリカ人ライダー、ならびにアメリカ国内選手権であるAMAの出身者が多い。
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現在のアメリカ出身のレギュラー・ライダーだけでも、2年連続のアメリカGPの覇者であるレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン、フィアット・ヤマハのコーリン・エドワーズ、リズラ・スズキのジョン・ホプキンス、チーム・ロバーツのケニー・ロバーツ・ジュニア、その弟のカーチス・ロバーツの5名を数える。

さらに今回は、2名のラグナ・セカに詳しいAMAライダーもアメリカGPにスポット参戦する事から、地元観衆の声援も例年以上に盛り上がりそうだ。


■2名の現役AMAライダーが参戦

今週末のアメリカGPにスポット参戦する地元で人気の現役AMAライダーのうちの1名は、アッセンで左大腿骨を骨折したトニ・エリアスの代役としてグレッシーニ・ホンダから出場するアメリカ在住のカナダ人であるミゲール・デュハメル(写真下の#17)、さらにもう1名は、3台目のカワサキとしてスポット参戦するニッキー・ヘイデンの弟のロジャー・リー・ヘイデン(写真下の#95)だ。
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■エリアスの代役を務めるデュハメルは15年ぶりのグランプリ

グレッシーニ・ホンダが起用したラス・ベガスに住居を構える39歳のミゲール・デュハメルは、現在もAMAスーパーバイク選手権に参戦中の実績あるベテランライダーであり、Daytona200では過去に5回の勝利を記録、1995年にはAMAスーパーバイク・カテゴリにて年間タイトルを獲得、2004年と2005年に AMAフォーミュラ・エクストリーム・カテゴリで連覇を達成している。

なお、デュハメルは1992年に当時の世界グランプリ最高峰クラスの500ccに参戦した経験があり、15年ぶりのMotoGP出場に興奮しているという。
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■カワサキからのワイルドカード参戦はニッキー・ヘイデンの実弟

また、カワサキがワイルド・カードライダーとして今回起用した24歳のアメリカ人である現役AMAライダー、昨年度MotoGPチャンピオンのニッキー・ヘイデンの弟であるロジャー・リー・ヘイデンは、AMAスーパースポーツ・カテゴリーで2004年と2005年にランキング2位を獲得し、2006年にはランキング4位、2007年の現在はランキング2位につけている。2006年はAMA最高峰のスーパーバイク・カテゴリにもデビューを果たし、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。


■ラグナ・セカでMotoGPと同時開催されるAMAについて
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現在ロジャー・リー・ヘイデンとミゲール・デュハメルが年間参戦しているAMAについて簡単に紹介すると、AMAはアメリカ国内2輪ロードレース選手権であり、SBK(世界スーパーバイク選手権)に近いレギュレーションのAMAスーパーバイク・カテゴリー、その他にはスーパー・ストック、スーパー・スポーツ、フォーミュラ・エクストリームなどのカテゴリーで年間シーズンが争われている。

■MotoGPクラスのアメリカ人ライダーのほとんどはAMA経験者

AMAは1970年代から人気を博した選手権であり、エディー・ローソン、ウェイン・レイニー、フレディー・スペンサー、ケビン・シュワンツなど歴代の世界GPチャンピオンを輩出している事でも有名だろう。なお、現在のMotoGP世界チャンピオンであるニッキー・ヘイデンや、SBKチャンピオンを経てMotoGPに参加したコーリン・エドワーズ、現在のランキング4位につけるジョン・ホプキンスなど、最高峰クラスのアメリカ人ライダーの多くはAMA経験者だ。チーム・ロバーツのカーチス・ロバーツは2005年までAMAを何度も行き来している(写真下は、昨年はTECH3ヤマハでMotoGPを戦っていたジェームス・エリソン)。
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■ニッキー・ヘイデンは2002年のAMAチャンピオン

ニッキー・ヘイデンは1999年のAMAスーパースポーツ(600)のチャンピオンであり、2002年にはAMA最高峰のスーパーバイクで年間タイトルを獲得してからMotoGPのレプソル・ホンダ・チームに移籍している。コーリン・エドワーズは1992年に過去のAMA250ccクラスで年間タイトルを獲得し、その後SBKに移るまでにAMAスーパーバイクのレースで3回の優勝を獲得した。

■ヘイデンとエドワーズは2002年にラグナで対決

ちなみにニッキー・ヘイデンはAMA時代の2002年にSBKラグナ・セカ戦にスポット参戦を果たしており、その年のSBKチャンピオンとなるコーリン・エドワーズと戦っている。この時の結果はレース1の勝利者がトロイ・ベイリス、2位がルーベン・ザウス、エドワーズは3位でヘイデンは4位、レース2の勝利者はエドワーズ、2位がベイリス、3位がニール・ホジソン、ヘイデンは転倒して13位だった。

■ホプキンスとカーチスもAMA下位カテゴリのタイトルホルダー
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ジョン・ホプキンスは2001年のAMAフォーミュラ・エクストリームの年間チャンピオンであり、カーチス・ロバーツは1999年にフォーミュラ・エクストリームで年間タイトル、2000年にはスーパースポーツ(600)とフォーミュラ・エクストリームのダブルタイトルを達成し、2003年にはAMAスーパーバイクの年間ランキング3位につけた。


■ロジャー・リー・ヘイデンは現在ダブル・エントリー中

AMAではレースウイーク中に2回のレースが行われるが、日曜日にまとめて2回のレースを行うSBKとは異なり、レースは土曜日と日曜日の2日間に分けられている。このため、比較的容易に複数カテゴリーへの同時エントリーが可能となり、多くのライダーが1970年代のグランプリのようにAMAではダブル・エントリーを果たしているが、今回カワサキからMotoGPに出場するロジャー・リー・ヘイデンもその1人だ。

■当日のAMAスーパーバイク・カテゴリは欠場

ロジャー・リー・ヘイデンは現在AMAのスーパーバイクとスーパースポーツの2カテゴリーにカワサキから参戦しているが、さらにMotoGPに参戦するとレーウイーク中は終日休みなくコースを走り続けなければならなくなるため、今回のラグナ・セカではスーバーバイク・カテゴリは欠場し、MotoGPとスーパースポーツの2カテゴリにのみ出場する。


■グレッシーニ・ホンダから参戦のデュハメル「信じられない」

写真AMAで通算87勝の実績を持つミゲール・デュハメルは、今回の15年ぶりのGP出場について以下の通りコメントしている。なお、デュハメルも今回のラグナ・セカではMotoGPとAMAスーパーバイクの両方に出場する。

「いまだに信じられません。このチャンスを本当に長い事待っていました。さらに主力チームのグレッシーニで戦えるなんて本当に素晴らしい事です。」とデュハメル。

「トニ・エリアスは本当に気の毒ですし、彼が一日も早く回復してサーキットに戻れる事を祈っています。でも、今の自分は本当に今回のグランプリが楽しみでなりません。今週に向けて多くの体力トレーニングをこなしてきましたが、おかげでさらに意欲も高まっています。」


■カワサキのロジャー・リー「ニッキーと戦っていた頃の夢が叶った」

また、昨シーズンのMotoGP最終戦のバレンシアで中野選手のカワサキNinja ZX-RRを試乗した経験を持ち、今回のワイルドカード出場に向けて2週間前に大分県のオートポリス・サーキットで現行のNinja ZX-RRに乗ってきたばかりのロジャー・リー・ヘイデンは、すごく楽しみだしプレッシャーも感じていないとコメントした。
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「先週のテストはすごくうまくいきましたし、Ninja ZX-RRからはすぐに好感触が得られました」とロジャー・リー・ヘイデン。

「もう少し慣れる時間は必要でしょうが、自分を日本に連れて行ってくれたカワサキの心遣いには本当に感謝しています。おかげでレースをする前にバイクに馴染んでおく事ができました。」

「自分が普段乗っているバイクに比べるとサイズはかなり小さくて、エンジンはすごい高回転でしたが、とても扱いやすく、乗り換えは非常にすんなりいったと思っています。」

「MotoGPバイクでラグナ・セカを走り、レースをするという夢がやっと叶います。これはニッキーとレースで戦っていた頃からの夢でしたからね。今は特にプレッシャーを感じたりはしていませんし、貴重な経験ができれば満足だと思っていますが、ポイントを獲得できたりしたらさらに最高でしょうね。」

「かなりたくさんのアメリカ人が今回はグリッドに並ぶ事になりそうですから、地元の観衆にとっては応援しがいのあるレースになりますね。それに自分の家族や友人も応援に来てくれるでしょうから楽しみです。」

■ニッキー・ヘイデン「まだ特にアドバイスはしていない」

写真なお、ロジャー・リーの兄のニッキー・ヘイデンは、今回の弟の出場について「特にロジャー・リーにアドバイスとかはしていません。レースウイークに入ったらお互いに何かを話し合うと思いますが、ロジャーは自分自身のやり方で物事を進めたいタイプなんです。彼は日本でテストしてきたみたいですが、ほとんど雨だったみたいですね。今は一緒に走るのがとても楽しみです。他のAMAライダーも参加するみたいですから、アメリカのファンにとってもいい事だし、彼らにとってもすごくいいチャンスになるでしょうね」とコメントしている。

■バルトレミー「アメリカ市場は重要」

今回のロジャー・リー・ヘイデンの起用について、カワサキのコンペティション・マネージャーであるミハエル・バルトレミーは以下の通り説明している。

「当初はワイルド・カードのライダーを今シーズン中に走らせる計画は持っていませんでしたが、カタルーニャのレース後にその可能性を検討する機会があり、急遽3台目のバイクをラグナ・セカで走らせる事になりました。」とバルトレミー。
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「カワサキにとってアメリカは非常に重要な市場なんです。ラグナ・セカが2005年にGPカレンダーに復帰してから初となるアメリカ人のワイルドカード・ライダーを、今回起用する決断にカワサキが至った理由はそれです。」

「私たちがロジャー・リーを選んだのは、彼が長期に渡りカワサキ・ファミリーの重要なメンバーの一員として、アメリカ国内選手権をカワサキと共に戦っているからです。」

「彼がMotoGPバイクを経験できる時間は限られますので、レースでの成績については特に目標を設定していませんが、彼が可能な限りの好成績を確保するのは間違いのない事でしょう。それに私たちは、彼が地元観衆の前でNinja ZX-RRに乗って戦えるこの機会を楽しんでくれるように望んでいます。どうなるか、結果は誰にも分かりませんよ。」

■3台体制をにおわせていたカワサキだが・・・

またこのコメントの最後に、バルトレミーは来期に噂されるカワサキの3台体制について以下の通り述べた。

「今回を最初の事例として、私たちは今後もワイルドカード・ライダーの起用を頻繁に行う事になるかもしれませんし、もしくは来シーズンを3台のレギュラー体制で戦う事になるでしょう。」

■大きく当ての外れたカワサキ

なお、バルトレミーが上記の3台体制についてのコメントを残したのはジョン・ホプキンスの来期のカワサキへの移籍を発表した7月12日の前日だが、バルトレミーの計画は当時の思惑通りには進んでいないようだ。


■カワサキとカピロッシとの交渉は決裂
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7月12日の発表でバルトレミーは、ホプキンスの来年のチームメイトはMotoGPの優勝経験者であり、その人物との契約も締結間近と述べ、アメリカGPのレース後から数日間のうちに名前を発表できるだろうと、当時に交渉中だったとされるロリス・カピロッシの獲得が確実である事をにおわせていたが、7月18日までにこの交渉は決裂したようだ。

■カピロッシはスズキへの移籍が決定?

イギリスのロードレース誌であるMCN(www.motorcyclenews.com)は7月18日の報道の中で、ロリス・カピロッシがホプキンスのカワサキ移籍により空席のできたリズラ・スズキと来期契約を済ませた事を報じており、この事からカピロッシとカワサキの交渉が締結には至らなかった事と、カピロッシが来期はスズキでGSV-Rに乗る事が判明したとしている。

より最新の図はこちらの記事を参照の事)
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また、MCNは同記事の中で、現リズラ・スズキのクリス・バーミューレンがヤマハ・モーター・レーシングのマネージング・ディレクターであるリン・ジャービスと接触した事も伝えており、フィアット・ヤマハとホルヘ・ロレンソとの来期交渉がほぼ契約完了に向かった事で、ダンロップは否定しているものの、ミシュランに履き替える事が噂されるヤマハのサテライトであるTECH3周辺の動きが活発化している様子だ。

ちなみにバーミューレンはスズキに残留の気配だという。


■来年の2008年からMotoGPはアメリカで2回開催

カワサキとグレッシーニ・ホンダが揃って現役AMAライダーをラグナ・セカに起用したのは、バルトレミーのコメントにもある通り、MotoGPビジネスにとってアメリカは重要な市場であり、MotoGPの商業権利を握るDORNAが、かつてのグランプリ人気を再燃させたい最も重要な顧客として睨んでいる事も理由の1つだ。
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■DORNAとインディアナポリスがMotoGP開催の決定を発表

この動きの中で7月16日にDORNAは、来年の2008年はラグナ・セカに加えて、アメリカでのグランプリ開催地を1箇所増やす決定を発表している。DORNAと2008年からの複数年のグランプリ開催契約を結んだのは、インディー500などの世界最大級の4輪レースが毎年行われる事でも有名なインディアナポリスだ。

■インディアナポリスで2輪ロードレースが開催されるのは1世紀ぶり

インディアナポリスは開設当初の1909年は2輪のロードレースコースとして使用されていたが、その後は4輪のレースのみが開催されており、2輪ロードレースがインディアナポリスに戻るのは来年のMotoGP開催でほぼ一世紀ぶりとなる。

■コースレイアウトに自信を示す運営サイド

MotoGPのレースは有名なオーバルコースではなく、そのオーバルの内側に新設された16のコーナーを持つ反時計回りの全長4,186メートルのコースで行われる。インディアナポリスの運営側は「MotoGPのファンなら、MotoGPがどれだけスリリングなレースかを良く理解しているが、このコースならサイド・バイ・サイドの白熱したレース展開が期待できる。抜き所も多く、ライダーの技量が勝負のサーキット」とコメントしており、最近のF1系サーキットとは異なる2輪レースに適したコースレイアウトである事に自信を示している。

■ラグナセカもインディアナポリスのMotoGP参加を歓迎
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また、現在唯一のアメリカでのMotoGP開催地であるラグナ・セカの運営陣も、今回のインディアナポリスのMotoGPへの参加表明を喜び、「MotoGPの復興に力を注いでいる自分たちにとっても、アメリカで2回グランプリが開催されれば有益であり心強い。インディアナポリスがMotoGPの活動に加わる事を歓迎する」との声明を発表した。

■インディアナポリスでは小排気量のレースも開催

なおインディアナポリスは、MotoGPとAMAを同時開催するラグナ・セカとは異なり、通常のヨーロッパでのグランプリと同じく125ccと250ccの小排気量カテゴリーも行われる。

インディアナポリスでの最初のMotoGPレースは2008年の9月14日が予定されているが、夏の砂漠の炎天下の中で3年目を迎えるラグナ・セカの日程が、カタールなどと同様に涼しい時期に移動するかどうかは現在のところ不明だ。


■ラグナ・セカ・サーキットについて

マツダ・レースウェイ・ラグナ・セカ・サーキットが建設されたのは1957年の事であり、現時点においてFIMとFIA(グレード2)から認定を受けるアメリカ国内では唯一のサーキットだ。
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運営は開設当初からモンテレー半島スポーツ・カー・レーシング協会によって行われている。モンテレー半島スポーツ・カー・レーシング協会は非営利団体であり、ラグナ・セカへのイベント誘致を支援しているボランティア組織に対して、各レース・シーズン中の利益を寄付しているという。


■MotoGPカレンダーへの復帰はヘイデンが優勝した2005年から

かつてのWGP(MotoGP)は1988年から1994年の間の6回行われ、その後11年間はGPカレンダーから外されていたが、2005年の大改修を経てGPカレンダーに復帰し、今年はそれから連続3年目のGP開催となる。

■3年間続いた大規模な改修工事

ラグナ・セカは2年前の2005年に200万ドル(約2億4千万円)の費用を投じて改修され、MotoGPカレンダーへの復帰を果たしたばかりだが、MotoGPクラスの安全面を考慮して昨年の2006年にはさらに500万ドル(約6億円)の大規模な追加改修が行われている。
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この2006年の最も大きな改修となったのが1コーナー周辺であり、安全委員会がGP復帰初年度の経験から最も懸念した1コーナーのランオフエリアは以前よりも拡張され、丘の側面が削り取られている。同時に、かつてそこにあったメディア・センターが撤去され、代わりに最新のホスピタリティー施設がそこに用意された。

■全ライダーから一斉に苦言を呈された2年目の舗装工事

また1コーナーのみではなく、この時にランオフエリアは3コーナー、4コーナー、6コーナー、それと7コーナーにも追加されており、6コーナーには両サイドにランオフエリアが加えられ、7コーナーからコークスクリューにかけての丘の高さも若干削られている。アスファルトも全面的に再舗装がなされた。
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■今年の路面は再び新品に

さらに今年は、昨年に不評だった再舗装を改めて舗装し直すなどの工事に100万ドルが投資されており、3年間で合計800万ドル(9億7千万円)が費やされた。なお、これらの費用のほとんどはヤマハが出資している。


■灼熱地獄と化す真夏のラグナ・セカ

カリフォルニアの砂漠地帯にあるラグナ・セカは、この時期には気温が40度近くまで上昇する事があり、日程が昨年と全く変わらない今年も晴天に恵まれた場合には耐久レースさながらの灼熱地獄のレースとなる可能性がある。
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■昨年は路面温度が高すぎて予選タイヤが機能せず

昨年の予選は気温が38度、路面温度は65度近くまで上昇した事から予選タイヤが正常に機能しないという事態に各チームが追い込まれ、2005年のポールタイムを上回るライダーは一人も現れなかった。ちなみにその悪条件の中でポールポジションを獲得したのは、SBK時代にラグナ・セカではダブル・ウインを達成した悪条件の帝王、リズラ・スズキのクリス・バーミューレンだった。

■耐久レースと化した昨年のレース
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スプリントレースには高温すぎる温度条件がレース当日には軽減される事を多くのライダーは望んでいたが、皮肉にもこの年の決勝当日の気温は予選当日よりも高い39度となり、路面温度は60度以上を記録。この高温の影響でタイヤとマシンのトラブルがレース中に各チームで続発している。

■2004年のカタールよりも厳しい条件に

高い温度とレース初日は路面が砂まみれになっているなど、真夏に行われていた開設当初の砂漠のカタールGPに近い劣悪な走行条件に加え、昨年は2年目の再舗装が一部でがたつき、樹脂を混ぜたアスファルトがグリップしないなど、ライダーに大きな不評を買ったラグナ・セカは、FIMとレース安全委員会から改善要請を受け、先に記した通り今年も大規模は舗装改修工事を改めて終えている。


■コースレイアウトの特徴

11のコーナーを持つ全長3,602メートルの小さなコースは、広々とした地形の上に構築されており、観客がレースを見るのには理想的な地形のサーキットとされているが、マシンを調整するメカニックにとってはまったくセッティングによるごまかしの効かないサーキットだと言う。
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また、ラグナ・セカは迫力ある流れの良いコーナーの数々を短いストレートで接続したレイアウトのサーキットであり、ニッキー・ヘイデンが得意とする上り勾配の加速エリアなどでは走行中に前輪が浮いてしまうため、効率的にマシンをスピードに乗せるためには慣れとこつが必要とされる。

写真■あまり高速ではないがテクニカル

あまり高速ではなく、ロングストレートが少ない事から、特性としては前回のドイツのザクセンリンクに近いサーキットとされているが、タイヤへの負担は左ロングカーブばかりが連続するザクセンリンクほどではないようだ。

■有名なコークスクリュー「Turn8」

コースのどの部分でも激しいバトルが展開されるナグナ・セカのレイアウトの中でも、最も迫力があり有名なのが、アップヒルの高速ストレートの終端に突然現れる「コークスクリュー」と称される下り勾配の激しいクランクコーナー、昨年のMotoGPドキュメンタリー映画のタイトルにもなった「Turn8」、すなわち8コーナーだ。

■アメリカ人トップライダーのみが知るシークレットライン

過去2年間、ニッキー・ヘイデンをはじめとするアメリカ勢は、ストレートからコークスクリューにかけてのライン取りのノウハウをあまり他のライダーに見せなかったと言われており、ラグナ・セカの走行経験が少ないライダーにとって、速度を落とさずに効率的なラインを取るのは非常に難しく、地元出身ライダーのみが知るシークレットラインが存在する。
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実際、アメリカGPで速いヘイデンとエドワーズのレース中におけるここ一番でのコーク・スクリューへの飛び込みの勢いは他のライダーに比べて激しく、ライン取りも大きく異なるので、レース観戦の際には見逃せない部分だ。


■ニッキー・ヘイデンのコース紹介

今回のアメリカGPに向けて、『ニッキー・ヘイデンと共にラグナ・セカと走ろう』と題し、レプソルYPFがニッキー・ヘイデンのコース解説を公開しているので、ここにその全文を紹介する。
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「1コーナーは5速ギアで飛び込む逆バンクの高速カーブです。2コーナーでは素速く2速に落とします。速すぎるくらいのシフトアップで丁度いいくらいです。バイクはできる限り内側にもっていって、パワーを可能な限り抑えて走ります」とヘイデン。

写真「3コーナーは、オープニングラップで通過する時にはタイヤが温まっているか注意が必要です。フラットになっていて滑りやすく、タイムが稼ぎにくい場所なので、無理をせずにできるだけスムーズに抜けて次のコーナーに備えるべき部分です。」

「4コーナーは見た目よりも速度が出る高速カーブですね。次のストレートにつながるのでライン取りが重要です。5コーナーは上り斜面になっていて、ここの進入のブレーキング・ポイントは抜き所です。次のコーナーに向けてどれだけ素速く準備ができるかが重要になります。」

「6コーナーのブレーキングはバイクの荷重が移動してマシンが軽く感じます。7コーナーに向けては途中が山なりになっているのでバイクを安定させるように注意を払い、一旦斜面を下ってから上り勾配に向けて加速します。」
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「8コーナーのコークスクリューは、世界のどこのサーキットにもこんな場所はないという部分です。高速で飛び込みますから、何が起こっても不思議じゃありませんよ。」

「コークスクリューへのチャレンジも面白いのですが、9コーナーのレイニー・カーブは自分にとってはラグナ・セカの中で一番好きなコーナーです。下りになっていて、正しいラインが取れればいい脱出加速が得られます。」
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「10コーナーは次の最終コーナーにつながるカーブですから非常に重要です。抜き所としても最高の場所ですね。フロントフォークがしっかり機能するようなラインの選び方が必要です。」

「最後の11コーナーで必要なのはとにかくブレーキングです。そしてリアタイヤをしっかり路面に接地させる事です。でこぼこしている上にブレーキを握りっぱなしにするので、ラグナ・セカの中では一番転倒の危険性が高い場所と言えますね。色んなライダーがここにひっかかって驚きながら転びますが、自分も何回かここでは転倒の経験があります。あとはフロントをしっかり接地させるように心がけて、ひたすら1コーナーの進入に向けて加速するだけです。」


■ラグナ・セカを走る上で求められるセッティング

ラグナ・セカで必要とされるセッティングは、連続コーナーに適応できるシャシーの安定したバランスと、縁石の少ないコーナーに自信を持って飛び込める不安感のないフロントまわりの構築だという。
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また、マシンを傾けた状態で十分なトラクションが得られるようにする必要があり、ブレーキング時のサスペンションの安定性が不可欠となる。

なお、今年は舗装がまたも新しくなっているので、初日のフリー・プラクティスでその特性を素速く把握し、妥当なタイヤ選びとセッティングの方向性を早期につかむ事がレースに向けての重要な鍵となりそうだ。


■各チームの概況やコメント

以下に、ラグナ・セカに向けての各チームの概況を紹介する。
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■連覇を狙うレプソル・ホンダとニッキー・ヘイデン

ラグナ・セカに向けて最も自信と期待を持って挑むのは、昨年のアメリカGPでワンツー・フィニッシュを飾ったレプソル・ホンダ勢だろう。ラグナ・セカがMotoGPに2年前に復帰して以来、ニッキー・ヘイデン以外に優勝を飾ったライダーはおらず、当然ヘイデンは今年のラグナ・セカでのアメリカGP3連覇を、ダニ・ペドロサは前回のドイツに続く2連勝を狙っている。
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■ヘイデン「優勝を狙うだけ」

新型シャシーに好感触を示し、前々回のカタルーニャと前回のドイツで3位表彰台を連続して獲得しているヘイデンは、昨年のレースを振り返り以下のようにコメントしている。

「今回も死ぬほど楽しむつもりです。今回は去年のようなプレッシャーはありませんね。あの時はポイントリーダーだったから勝たなければいけなかったし、少なくともライバルにダメージを与えておく必要があったんです。」とヘイデン。
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「もう他のライダーも2年間このサーキットを経験してきたので自分の優位性はもうありませんが、全力を出して母国3連覇を達成します。最近バイクの改善がすごく進み、シーズンの序盤と比べてかなりの好感触が得られています。今の自分に失うものはありませんから、今週はひたすら優勝だけを狙っていきますよ。」

■ペドロサ「去年は死にそうに暑かった」

写真ドイツで今期初の優勝を自身とホンダにもたらし、昨年は2位表彰台を獲得したダニ・ペドロサは、昨年の灼熱のレースと同じような気温にはなって欲しくないと語った。

「去年はラグナ・セカを初めて経験した事を考えればすごくいい成績だったと思います。ただ、ものすごく暑かったですね。前回のザクセンリンクと比べても状況はさらに最悪でした。本当に死にそうな感じでしたから、今年はあんな温度条件にはなって欲しくないです」とペドロサ。

「今年はまた路面が新しくなっているので、プラクティスで色々考える事が増えそうですね。でも、前回はミシュランがここで素晴らしい仕事をしてくれましたし、エンジンとかマシンのセッティングに挑戦しがいのあるサーキットですからラグナは好きです。低速カーブもいっぱいありますしね。」


■新型パーツの性能をさらに引き出したいホンダ・サテライト勢

またエンジンまわりを強化する新型パーツ類や、新型シャシーを前回のドイツから提供されたホンダのサテライト勢は、今回のアメリカGPでさらにその性能を引き出し、高い結果が狙えるようにしたいとしている。
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■マルコ・メランドリ「そろそろシャンパンが飲みたい」
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昨年のアメリカで3位表彰台を獲得したグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリは、「ホンダのおかげでドイツでは大きく改善が進み、すごく高いレベルで戦えるようになりました。路面温度などの気象条件に注意は必要ですが、バイクとブリヂストンタイヤはアメリカでも大丈夫だと信じています。そろそろまたシャンパンが味わいたいですね」とメランドリ。

■メランドリのヘルメットは今年も星条旗カラーに

アメリカという国が大好きだというメランドリは、今回も昨年と同様に星条旗カラーのスペシャル・ヘルメットでラグナ・セカに登場する。


■チェカ「新型シャシーのセッティングへの理解を深めたい」

マシンの外観はメランドリのマシンほどにワークスバイクには近づいていないものの、ドイツから新型シャシーを提供されたホンダLCRのカルロス・チェカは、「ホンダから提供された新しいシャシーは以前のものよりずっといいし、ドイツではドライ用のベースセッティングも見つけました。今週はラグナ・セカの特性にあうようにセッティングに調整を加えていきます」と述べ、予選とレースの両方で転倒したドイツでは結果に反映できなかった新型パーツのセッティングへの理解を、アメリカでさらに深めようとしている。
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■パーツ供給を待つコニカミノルタ「パートナーに期待」

なお、前回のドイツではHRCの新型パーツを提供されなかったコニカ・ミノルタ・ホンダ・チームだが、スポンサーとの来期交渉が始まる前にいい成績が残したいと、リタイアに終わったドイツGPの前に語っていたチーム・オーナーのジャンルカ・モンティロンは「今回が夏休みの前にいい結果を残す最後のチャンスです。また夏休み以降はテクニカル・パートナーのサポートにも期待が持てますし、きっといい後半戦が過ごせると信じています」とコメントしており、一日も早いホンダからの新型パーツの供給を願っている様子だ。
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■中野選手「いいセッティングさえ見つかれば」

昨年はカワサキのマシンがレース中にメカニカル・トラブルを起こしてアメリカGPを完走できなかったコニカミノルタ・ホンダのライダーである中野真矢選手は「ラグナは挑戦しがいのあるコースレイアウトですし、いつも楽しんで走る事ができる好みのサーキットです。結果はあまり残せていませんが、ラグナ・セカは好きなので、セッティングさえ見つかればいい走りができる筈です」とコメントした。
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■新型シャシーの到着を喜ぶチーム・ロバーツ

写真また、もう1つのホンダ勢、ホンダの800ccエンジンの供給を受けているチーム・ロバーツのカーチス・ロバーツは、兄の欠場を受け1人で戦う事になった母国GPに向けて、仕上がってきた新型シャシーに期待感を示している。

■カーチス・ロバーツ「夢膨らむ新型シャシー」

「新しいシャシーが間に合いました。エンジンの配置が以前とは変わりますので、これにより吸気系やラジエーター、車体などのすべてに変更が必要でした。」とカーチス・ロバーツ。

「設計チームは日夜働き続けて素晴らしい仕事をしました。後は箱の中から取り出してシェークダウン(慣らし)を始めるだけです。ミシュランは自分たちのマシンに適したフロントタイヤを見つけてくれましたので、この新型シャシーと組み合わされば希望通りの走りが実現できるようになる筈です。かなり期待が持てますね。」


■昨年度の苦手なサーキットは一切気にしない今年のドゥカティー
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昨年はラグナ・セカでは苦しいレースウイークを過ごしたドゥカティー勢だが、現在は3つの分野で年間ランキングのトップを走るドゥカティー・マルボロ・チームは、今年は全てが違う状況だと考えている。

■ストーナー「他のライダーが速くてもドゥカティーは好調」

写真ロッシのドイツでの転倒リタイアにより32ポイントの優位を奪った現在のポイントリーダーであるケーシー・ストーナーは、「ここはすごく他と違うサーキットなので気分的にもリフレッシュされますね。かなり砂っぽくてグリップはベストとは言えませが、それでも楽しんで走れます。アメリカGPの雰囲気はすごく好きです。去年は誰にでも声援を送ってくれるアメリカのファンに感銘を受けましたし、彼らはいい時間をサーキットで過ごしているなと思いました」と述べており、昨年初めて経験したラグナ・セカの雰囲気がとても気に入った様子だ。

今回のレースについてストーナーは「ラグナではたくさんのライダーが速く走ると思いますが、ドゥカティーもきっと好調ですよ。今シーズンのここまでのどのサーキットでもそうでしたからね」と、アメリカに向けても大きな自信を示している。

■カピロッシ「今年は全ての状況が大きく異なる」

また、前回のドイツでやっと表彰台に返り咲いたストーナーのチームメイトのロリス・カピロッシは、今回のアメリカではムジェロから投入された最新仕様のエンジンに、ザクセンリンクの時と同じセッティングを試したいとしている。
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「ドイツでは新しいエンジンとマシンの重量バランスのセッティングにいい方向性を見つけられたと思います。最新仕様のエンジンはすごくいい感触ですし、自分のライディング・スタイルにも合っています。ラグナでは2台のバイクにドイツの時と同じセッティングを試すつもりです。」とカピロッシ。

「去年のラグナは最悪でしたが、今年は全ての状況が大きく違います。バイクもタイヤも、とても良くなりましたから自信が持てますね。」

「このレースが終わったら、モナコに戻ってイングリッド(夫人)とリカルド(長男)と一緒に、本当に何もせずにのんびり過ごすつもりです。リカルドは自分の人生をいい方向に変えてくれましたし、自分が父親である事に喜びを感じています。彼はとてもいい子で、夜は一晩中ぐっすりと寝てくれますし、自分たちは本当に幸福です。」


■打倒ニッキーを誓うフィアット・ヤマハの2名

前回のドイツでは4位を獲得し、ホームGPに向けて勢いにのるフィアット・ヤマハのコーリン・エドワーズは、2005年の2位よりも高い成績を今年は獲得すると述べるなど、エンジンは全開モードだ。
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なお、ラグナ・セカを心待ちにするエドワーズのチームメイトのバレンティーノ・ロッシは、前回のドイツを転倒ノーポイントで終えた事に今なお落ち込んでいるが、その分余計にアメリカGPにかける意気込みは高まっているという。

■エドワーズ「狙うは2005年の上の成績」

好調だった2005年とは異なり、昨年のエドワーズはレースウイークを通してインフルエンザと胃炎に悩まされており、吐きそうになりながら路面温度が60度以上になった灼熱のラグナ・セカを走りきり、なんとか9位を獲得している。
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「ドイツではいい週末を過ごしました。嫌いなザクセンリンクでの4位は自信につながりましたし、ラグナは最高に好きなサーキットですからいい勢いに乗ったまま戦えますよ。2005年よりも上の成績を狙います」とエドワーズ。

■ロッシ「残念なドイツの後だから今年は勝ちたい」

写真今期のMotoGPカレンダーのサーキットの中で、ラグナ・セカはバレンティーノ・ロッシが今までに優勝を経験していない3つのサーキットのうちの1つだ。昨年は高い気温の中で行われたレース中にマシンとタイヤのトラブルに見舞われ、たった4周を残してレースをリタイアしたロッシは、先週のドイツの失望の後だけに、今回は優勝したいとコメントしている。

「去年のラグナ・セカは完走できずにがっかりでした。ここでは一度も勝った事がありませんが、残念なドイツの後ですから今年は勝ちたいですよ!」とロッシ。

「またすぐレースウイークに入るので、日曜日のレースについてくよくよする暇が今回はなくて良かったです。バイクとタイヤの調子はすごく良くなってきているので、今年はいい戦いができる筈です。レースには最高の場所ですし、舗装状態さえ改善されていれば、いいレースウイークが過ごせると思います。」

「今は毎回のレースで可能な限り多くのポイントを取る事が重要です。シーズンの終盤も戦い続けていられるようにね。」


■もうマシントラブルに不安のないカワサキ

マシントラブルが昨年と比較して飛躍的に減少した新生カワサキのNinja ZX-RRは、高温との戦いになりそうなラグナ・セカでも、今年は不安がなさそうだ。
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昨年のカワサキは、中野選手が16ラップ目にマシントラブルを喫してリタイアし、ピットの中で怒りを隠す事ができなかった程の悔しいレースを経験しているが、ランディー・ド・ピュニエは灼熱地獄と化したレースを走りきる事に成功して12位を獲得している。

なお、今期の途中からMotoGPクラスに加わったアンソニー・ウエストにとってラグナ・セカは今回初めて経験するサーキットだが、本人はコース学習の速さに自信があるという。

■ド・ピュニエ「今年の課題はコークスクリュー」

前回のドイツの最終ラップでマシン・トラブルに見舞われた事に落胆するド・ピュニエだが、マシンの仕上がり自体は高かったので、今回のアメリカでいい結果が期待できるとコメントしている。
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「先週の結果は残念でしたが、マシンの仕上がりは高く、速度も出ていたので今週は期待ができます。」とド・ピュニエ。

「去年のラグナ・セカはかなり厳しいレースウイークでした。ザクセンリンクに似た感じで狭くて小さいし、特にコークスクリューが難しかったです。今週はコークスクリューの区間でタイムが上げられるようにしたいですね。去年はあまり速く走れませんでしたが、今年はブリヂストンの調子がいいのでいい結果が残せると思います。去年ほどには暑くならなさそうだからエンジンにも自分にとっても有り難いですね。」

■ウエスト「8位以上も不可能じゃない」

レース毎に自己最高位を1つ上げる事を目標としているアンソニー・ウエストは、前回のドイツGPでは8位を獲得している事から、今回の目標は7位という高い成績になる。ウエストは、目標が達成できるかどうかは分からないが、不可能ではないとコメントしている。
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「アメリカは初めてですから興奮していますが、コースの攻略は大変でしょうね。でも、レースはとても楽しみです。」とウエスト。

「今シーズンはWSSカテゴリで走った時に初めて走る3つのサーキットで好成績を獲得しているので、きっとここでも大丈夫でしょう。最高位をさらに上げられるかどうかは分かりませんが、できれば8位以上は狙いたいですね。ラグナ・セカは普段とは異なるメンバーが上位につける事が多いので、不可能ではないと思います。」


■ラグナに高い期待のリズラ・スズキ勢

リズラ・スズキのジョン・ホプキンスとクリス・バーミューレンは、今回のアメリカGPには2名揃って高い期待を持って挑むようだ。
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現在ランキング4位のホプキンスにとってカリフォルニアは自分の出身地であり、バーミューレンはSBK時代の2005年にラグナ・セカでダブルウインを達成、さらに昨年の2005年には悪条件の予選でポールポジションを獲得している。

■ホプキンス「表彰台の一番高いところに立ちたい」

昨年のラグナ・セカでは6位を獲得しているジョン・ホプキンスは、地元の友人や家族が昨年と同じく応援に駆けつけてくれる事を心から楽しみにしている様子だ。
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「ラグナ・セカが楽しみで待ちきれません。ホームGPは素晴らしいですからね。ここで走るのは大好きですし、いつも特別な気分になれるんです。」とホプキンス。

「ホームのレースは今年は1回きりですから、地元のファンと一緒に全ての友人と家族が応援に駆けつけてくれるんです。レースには最高のサーキットですから、リズラ・スズキのマシンでいい走りを見せて、表彰台の一番高いところに立ちたいですね!」

■バーミューレン「本当なら去年は表彰台だった」

昨年はポールポジションからスタートしてレースの序盤には圧倒的なリードを奪ったクリス・バーミューレンは、中盤に燃料循環系のマシントラブルに見舞われて断続的なガス欠状態となり、結果は悔しい5位だった。
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「MotoGPでの最初の表彰台を、本当は去年のラグナ・セカで取れるところだったんですけどね。バイクとタイヤの調子はすごく良かったのに、途中で小さなトラブルが発生して走るのが困難になったんです」とバーミューレン。

「ここはSBK時代にもいい成績を残してきたサーキットですから楽しみです。トップ集団で戦えると思っています。」


■ダンティーン「ドイツは予想外だった・・・」
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写真プラマック・ダンティーン・チームのオーナーであるルイス・ダンティーン監督は、アレックス・ホフマンとアレックス・バロスの2名のライダーが揃って右手に重傷を負ってしまった前回のドイツGPについて「2名が揃って怪我をするなんて予想外の展開でした。彼らが高いレベルで戦えるようになるのをずっと待っています」と、残念な気持ちを述べている。

■ホフマン「右手は回復するから大丈夫」

ドイツGPの1週間前にプライベートなアクシデントで右手のひらを骨折しながらも、レースでは9位を獲得したアレックス・ホフマンは「アメリカにまた来られて嬉しいですね。すごく面白いコースですし、独特のいい雰囲気ですから待ちきれない気分です。去年はタイヤにハンデがあったのにいいレースができましたから、今回のレースには自信が持てます。右手も回復するでしょうから、ブリヂストンとドゥカティーで高い結果が狙える筈ですよ!」とコメント。

■バロス「右手が痛まなければトップ5を狙う」
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また、ドイツでは初日のフリー・プラクティス中の転倒により右手の肉を損傷し、クリニカ・モバイルで傷口を縫ってから3日間走り続けたものの、レースの途中に無念のリタイアを喫したアレックス・バロスは、「ザクセンリンクでは2回転倒してしまったので、今回のカリフォルニアにはいい体調で挑みたいです。自分たちのパッケージの戦闘力の高さは分かっているので、手さえ痛まなければトップ5を狙っていきます。ここは自分の経験上速く走れると思います」と、若干ドイツの傷の影響に不安を残すコメントを語った。


■MotoGPクラスの昨年のレース内容

最後に、2006年シーズンにおけるアメリカGPの内容を簡単に振り返っておきたい。

昨年のアメリカGPはレースウイークを通して熱波に襲われており、予選時の気温は38度、路面温度は65度近くにまで上昇して予選タイヤが正常に機能しなくなるという異常事態が発生した。
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この時の予選でポールポジションを獲得したのはリズラ・スズキのクリス・バーミューレン、2番グリッドはインフルエンザの高熱と吐き気に苦しむキャメル・ヤマハのコーリン・エドワーズ、1列目最後の3番グリッドはチーム・ロバーツのケニー・ロバーツ・ジュニアが獲得した。
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当時のポイントリーダーであるニッキー・ヘイデンは2列目6番グリッド、ヘイデンとの26ポイント差を縮めたい当時ランキング2位のバレンティーノ・ロッシはセッティングに苦しみ10番グリッドからのスタート。

■オープニング・ラップでトップに立ったロバーツ・ジュニア
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レース開始と同時にトップに立ったのはロバーツ・ジュニアとクリス・バーミューレンの2名。それを2005年のラグナ・セカの勝利者であるニッキー・ヘイデンが3番手から追う展開となった。オープニングラップの最後にバーミューレンはロバーツを交わしてトップに。

■先頭に立ち後続を引き離すバーミューレン
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トップに立ったバーミューレンはそのまま一気に2番手のロバーツと3番手のヘイデンを引き離して独走態勢に入り、ニッキー・ヘイデンは10ラップ目までにロバーツ・ジュニアを交わして2番手に浮上し、遙か先を逃げるバーミューレンの追撃を開始した。

■表彰台圏内を争うストーナーとペドロサ
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11ラップ目にはホンダLCRのケーシー・ストーナーとレプソル・ホンダのダニ・ペドロサがほぼ同時にロバーツ・ジュニアの前を奪い、この時の順位は先頭からバーミューレン、2番手にヘイデン、3番手にストーナー、4番手にペドロサ、5番手にロバーツ・ジュニア、6番手にフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリ、7番手には後方からの激しい追い上げを見せるロッシが続いた。吐きそうなエドワーズは1列目からのスタートもむなしく、ロッシに交わされて8番手を走行している。
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■トラブルに見舞われてうまく走れなくなるバーミューレン

ヘイデンのマシンがバーミューレンのマシンの背後に迫った13ラップ目、クリス・バーミューレンのマシンは燃料供給系のマシントラブルを抱えて断続的なガス欠状態に見舞われるようになり、不安定な走りのGSV-Rはまともにコーナーを攻める事ができない状態に陥っている。
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■ヘイデンが余裕のトップに、ストーナーは転倒
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ストーナーとフォルツナ・ホンダのトニ・エリアスが転倒し、カワサキの中野真矢選手がマシントラブルでリタイアした直後の17ラップ目、ここでヘイデンはマシンのコントロールに苦しむバーミューレンを余裕で交わしてトップに浮上。

■怒濤の追い上げを見せたロッシのマシンから突如白煙
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タイヤを温存していたヘイデンが逃げの体制に入った20ラップ目以降、後方からの怒濤の追い上げを続けたロッシは先頭のヘイデン、2番手のバーミューレン、3番手のペドロサに続く4番手にまでポジションをあげたが、残り4周の29ラップ目にマシントラブルに見舞われて突如ペースを落とし、メランドリ、ロバーツ・ジュニアなどに交わされて6番手に後退。
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序盤をリードしたバーミューレンが5番手にまで後退した残り2周の31ラップ目、ロッシのマシンは白煙をあげて停止し、バイクを降りたロッシはコース脇に座り込んだまま動かなかった。

■優勝は2年連続のヘイデン、2位はペドロサ、3位はメランドリ
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全32周を終えて優勝を獲得したのは、2005年からの2連覇を達成したラグナ・セカ・マイスターのニッキー・ヘイデン。2位でチェッカーを受けたのはそのチームメイトのダニ・ペドロサ、3位表彰台はフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリが獲得し、ホンダの3台がアメリカの表彰台を独占した。


■ラグナ・セカのコースレコード
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ラグナセカのサーキットレコード(990cc)は2006年にダニ・ペドロサが記録した1分23秒333、ベストラップレコード(990cc)は2005年にニッキー・ヘイデンが記録した1分22秒670。


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