Google
UA_ZOZOTOWN
ZOZOTOWN
MotoGP速報ニュースサイト インテリマーク
最新ニュース MotoGP冬季データ MotoGP年間予定/結果 MotoGPポイントランキング 現地天候/時間等 F1情報サイト インテリワン 運営/お問い合せ
本サイトはリンクフリーです。
元のページに戻る
プレシーズンの全テストを完了したMotoGPクラス各チームの状況
写真
インテリマーク編集部
  2008年3月3日

2008年シーズンの開幕をいよいよ今週末に控えたMotoGPが、3月9日の開幕戦の舞台となるカタールのロサイル国際サーキットにて、プレシーズン中の合同テスト最終日を開幕1週間前の2月29日についに迎えた。
写真
ここでは、2008年1月のセパン合同テストから数えて最後の5回目となるプレシーズン合同テスト、カタールIRTAテストの2日目最終日の走行結果と2日間の総合順位、ならびに開幕前のサーキットでの最後の準備を終えた各チームの仕上がり状況と、全レギュラー・ライダーやチーム関係者の開幕に向けてのコメントなどを紹介する。


■今週末のナイトレースに向けて調整した2日間

今回のテスト初日の内容にも紹介した通り、3月7日から開幕するカタールでの3日間のグランプリ第1戦目は、莫大な費用を投じてロサイル国際サーキット内に設置された人工照明施設によるグランプリ史上初の夜間レースウイークとなる。
写真
なお、厳密にはこの2日間のカタールIRTAテストがグランプリにおける初の夜間セッションとなった訳だが、実際にグランプリ公式レースが夜間照明の下で行われるのは3月9日の開幕レースが歴史上初めてだ。

■カタール開幕レースウイーク中のスケジュール

以下に、2008年度MotoGP開幕戦カタール・グランプリの現地時間スケジュール、ならびにMotoGPクラス全セッションの日本時間における開始時刻を示す。

3/7金 18:00〜00:55

 18:00 125 FP1
 19:00 MotoGP FP1  日本時間:3/8(土)の午前1時
 20:15 250 FP1
 22:10 125 QP1
 22:55 MotoGP FP2  日本時間:3/8(土)の午前4時55分
 00:10 250 QP1

3/8土 18:00〜00:55

 18:00 125 FP2
 19:00 MotoGP FP3  日本時間:3/9(日)の午前1時
 20:15 250 FP2
 22:10 125 QP2
 22:55 MotoGP QP   日本時間:3/9(日)の午前4時55分
 00:10 250 QP2

3/9日 17:40〜

 17:40 125 WUP
 18:10 250 WUP
 18:40 MotoGP WUP  日本時間:3/10(月)の午前0時40分
 20:00 125 レース
 21:15 250  レース
 23:00 MotoGP レース 日本時間:3/10(月)の午前5時0分


■最終日の路面温度は13度にまで低下
写真
カタールIRTAテストの2日目最終日となった2月29日、オープニング・セレモニーの関係からセッションの開始時刻が1時間遅れた初日とは異なり、この日は予定通り現地時間の午後5時から午前0時までの合計7時間のセッションが行われたが、気温や路面温度は初日よりも数時間早めに下がり始め、最終的に路面温度は13度まで低下、テスト終わりがけの数時間はその低温となった路面の結露にタイヤを滑らせて転倒するライダーが続出している。


■低温路面と結露に苦しんだブリヂストン勢の5名が転倒

2日目に転倒したライダーは5名であり、その全員が予選タイヤの低温路面での温まりの悪さとグリップレベルの低さに苦しんだブリヂストン・ユーザーだった。
写真
■ストーナーは軽い転倒「グラベルの石が大きすぎる」

昨年度のチャンピオンであるドゥカティーのケーシー・ストーナーはこの日に2コーナーへの進入時に転倒しているが、幸い転び方は軽く怪我は全くなかった。なお、その時にグラベル内の小石のサイズが大きすぎる事に気がついたというストーナーは「石と言うよりは岩に近く、軽い転倒でも怪我をする可能性が高い」として、この問題を安全委員会に提訴している。

■カピロッシの激しい転倒によりセッションが赤旗中断

この日は3種類のエンジンの比較検証を行うという忙しい1日を過ごしていたリズラ・スズキのロリス・カピロッシは、午後9時30分頃の高速走行時に激しく転倒しており、この時にはサーキット内にレッドフラッグが提示されてテスト・セッションはしばらく中断したが、カピロッシ本人に大きな怪我はなく、その後はスペアマシンに乗り換えてテストを無事に再開している。

■グレッシーニの2名が揃って最終日に転倒し腕周辺を負傷

ホンダ勢の中では唯一ブリヂストンタイヤを使用するチームのサンカルロ・ホンダ・グレッシーニだが、この日は中野真矢選手とアレックス・デ・アンジェリスの2名のレギュラー・ライダーが、路面温度が急激に低下してアスファルト上の結露が目立ち始めた午後10時以降にフロントのグリップを失い揃って転倒した。これにより10時付近に転倒したデ・アンジェリスは右の前腕部、セッション終了間際に転倒した中野選手は左手の薬指を痛めているが、2名は揃って開幕レースウイークに影響が出るほどの怪我ではないと述べている。

■右腕を強打したギントーリはイギリスで精密検査

この日の5名の転倒者の内、最も怪我の大きかったのはアリーチェ・チームのシルバン・ギントーリだった。高速走行中に転倒したギントーリは右腕を激しく打撲しており、本人は転倒時に骨折したと思ったようだが、幸いその後のレントゲン検査では骨折などの致命傷は見つからなかった。なお、ギントーリは大事を取ってこの場で走行を中断しており、さらなる精密検査を受けるために翌朝には飛行機でイギリスに移動している。


■カタールIRTAテスト2日目最終日の結果
写真
以下に、気温16度、路面温度16度(セッション終盤は13度まで低下)、湿度26%の低い温度条件の中で行われたカタールIRTAテスト最終日、2日目の走行結果をこの日の各ライダーの自己ベスト順に示す。

1) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分54秒552(73周)
2) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分54秒592(52周)
3) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 1分54秒973(91周)
4) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分55秒464(50周)
5) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分55秒485(31周)
6) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 1分55秒550(68周)
7) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分55秒674(94周)
8) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分56秒119(73周)
9) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分56秒249(60周)
10) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分56秒256(83周)
11) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分56秒450(64周)
12) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分56秒612(55周)
13) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分56秒704(75周)
14) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分56秒792(71周)
15) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分56秒902(63周)
16) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分56秒986(69周)
17) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分57秒055(55周)
18) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分57秒459(67周)

ロサイルのサーキットレコードは2007年(800cc)にケーシー・ストーナーが記録した1分56秒528、ベストラップレコードは2007年 (800cc)にバレンティーノ・ロッシが記録した1分55秒002。

2日間総合順位
写真
カタールIRTAテスト2日間を通しての総合順位は以下に示す通り。

1) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分54秒552
2) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分54秒592
3) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 1分54秒973
4) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分55秒330
5) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分55秒464
6) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 1分55秒550
7) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分55秒674
8) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分56秒119
9) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分56秒249
10) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分56秒256
11) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分56秒450
12) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分56秒612
13) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分56秒621
14) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分56秒792
15) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分56秒902
16) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分56秒986
17) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分57秒055
18) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分57秒459


■ミシュランの予選タイヤが好調、トップ2はヤマハのMotoGPルーキー2名
写真
開幕を目前に控え、1週間後のレースとほぼ同じ条件で行われたカタールでの夜間IRTAテストを総合トップタイムで終えたのは、ミシュランタイヤを履くフィアット・ヤマハ・チームに所属するMotoGPルーキー、昨年度の250ccクラスにおいて圧倒的な強さで2連覇を成し遂げたスペイン人ライダーであるホルヘ・ロレンソだった。また、ロレンソに次ぐ今回の総合2番手タイムは同じくMotoGPルーキー、昨年度のSBKチャンピオンであるTECH3ヤマハのジェームス・トーズランドが記録している。

■ブリヂストンを履くロッシは作業の方向性を見誤り今回は時間切れ

その一方で、今年からブリヂストンタイヤに履き替えたもう片方のフィアット・ヤマハ・チーム、2005年度までに最高峰クラス5連覇を成し遂げた元チャンピオンのバレンティーノ・ロッシは、初日のタイヤ選択の誤りに気がついて2日目の後半から別のタイヤのテストを改めて開始するという最悪な流れとなった今回のIRTAテストを、総合10番手という本人のIRTAテスト前の期待とは大きく異なる低い結果で終える事となった。ロッシはこの2日間を通してレース・シミュレーションを実施する事さえできていない。
写真
MotoGPルーキー2名を含むミシュラン・ヤマハ勢の3名が総合トップ5に入る中、今年からたった1人ブリヂストンに履き替えたロッシにとって今回のテスト結果は辛い様子であり、落胆の色を隠せずにはいるが、ロッシは「今回は時間切れ。まだレースウイーク中に改善はできるし、これにより自信を失う事はない」と、開幕レースウイーク中の最終調整に向けての強い意欲を示している。

■予選タイヤが機能しないブリヂストン勢、ストーナー「別に構わない」
写真
なお、今回2日目のタイムは、ミシュラン勢が予選タイヤを履いて大きくタイムを伸ばしているが、ブリヂストンを履く殆どのライダーは予選タイヤの温度の低さとグリップ・レベルに問題を抱えており、最終的にレースタイヤでのタイムを大きく上回る事はできていない。ちなみにブリヂストン勢はレースタイヤの仕上がりについては一部のチームを除きそれほど大きな問題を抱えてはいない様子であり、ドゥカティーのケーシー・ストーナーは「予選タイヤはレースウイーク中にそれほど重要じゃないから大丈夫」と2日目の走行を終えてからコメントしている。

■サテライト勢に押されるワークス・ホンダ、ペドロサ「問題はタイヤじゃない」
写真
ミシュラン・ヤマハ勢とミシュラン・ホンダ勢が開幕に向けて好調にタイムを伸ばす中、低温路面のカタールではやや苦戦気味なのが今年もミシュランを履くホンダ・ワークス・チームのレプソル・ホンダだ。昨年は絶不調と言われたLCRとJiRの2チームが、2007年終盤のワークス車両をベースとした2008年型サテライト用RC212Vとミシュラン・タイヤでプレシーズンを通して好位置につけ、今回のカタールでもタイムシート上の上位を維持しているのを目の当たりにした今回総合13番手のダニ・ペドロサは、「サテライト勢を見ればミシュラン・タイヤに問題がないのは確か。自分の問題は何か別にある」と、1月のセパン合同テストでの怪我の影響によりマシンの調整が進まなかった事を改めて認識している。

■リズラ・スズキは最終日に大幅な進歩
写真
2008年型GSV-Rの調整にプレシーズンを通して苦しみ、好調だった昨年の冬季テストと比較べてタイムは常に低迷気味だったリズラ・スズキ勢は、今回のカタールIRTAテストが最も大きく改善の進んだテスト週間だったとの見解を述べている。実際、クリス・バーミューレンはブリヂストン勢の中の2番手となる総合8番手に最終日はレースタイヤで浮上しており、レース・シミュレーション中の走行ペースも一貫して1分56秒台の前半と、調整は決して悪くはない所まできている様子だ。ロリス・カピロッシも総合11番手と決して高いポジションではないが、カピロッシは最終日に新型エンジンを何種類も評価するなど、タイムアタックよりも開幕レースに向けてのマシン開発作業に集中していたという。

■ホプキンスの怪我により仕上がり状況が見えにくいカワサキ
写真
ジョン・ホプキンスのフィリップ・アイランドでの怪我により、期待通りのプレシーズンにはならなかったとするカワサキ・レーシング勢は、ブリヂストンのレースタイヤの仕上がりには自信を示しているものの、今回のカタールでは全体的に低温路面のグリップの低さに苦しんでおり、開幕レースに向けてはまだ改善の余地があるとのコメントを残している。なお、今回はカワサキの2名もブリヂストンの予選タイヤではレースタイヤで記録したタイムを上回る事ができなかった。


■IRTAテスト最終日を終えての全ライダーのコメントと各チームの状況

以下に、カタールIRTAテスト2日目を終え、プレシーズン中の全てのサーキットでのテスト作業を済ませて1週間後の開幕を待つのみとなったMotoGPクラスの全レギュラー・ライダーのコメント、ならびにテスト最終日の作業内容を各チーム関係者のコメントなどと合わせて紹介する。

■ロッシの昨年のベストラップを0.5秒上回ったミシュラン・フィアット・ヤマハ
写真
プレシーズンテスト最終日にミシュランの予選タイヤで総合トップタイムとなる1分54秒552を記録したのは、フィアット・ヤマハのMotoGPルーキーである昨年度の250ccチャンピオン、20歳のスペイン人ライダーであるホルヘ・ロレンソだった。

カタールでのIRTAテスト2日目、この日はレースタイヤでも終始速いペースを維持していたロレンソは、セッション終盤に実施したレース・シミュレーションの結果にも好感触を示しており、開幕戦に向けての準備は全て整ったとしている。

■ロレンソ「開幕後はさらに上が狙えるかも」

セッティングの最終調整を終え、昨年度のカタール・グランプリでロッシが記録したロサイルのベストラップ(予選タイヤ)を最終日に0.5秒上回ったロレンソは、1週間後の開幕レースに向けて自信を示す以下のコメントを残している。
写真
「この2日間を通して非常にいいリズムのまま来られたのですごく満足です。タイムはずっと安定していましたし、前回のテストで苦しんだ後にこの結果が残せたので開幕レースに向けての自信にもつながりました」とロレンソ。

「今日のレースシミュレーションは本当に順調でした。バイクのリアに関してはもう少し作業が必要ですが、それがうまくいけばさらに速く走れるかもしれません」

「非常に好調な流れがつかめてきていますが、ここで気を緩めないようにしないとだめです。他のライダーたちと実際にレースをした事はまだありませんし、今回の開幕戦は自分にとっての全く新しい経験になる筈ですからね」

「来週は多くの事が今までとは異なるでしょうから、このまま集中力を絶やさないようにして、今のいいリズムを維持したいと思います」

「自分の仕上がり状況をみんなに理解してもらう事ができたと思いますので満足です。これは自分にとって、自信を維持していく上でとても重要な事なんです」

「MotoGPクラスは初めてなので、今シーズンがどうなるかについてのコメントはできません。ただ、何も経験をしていない状態から始めた冬季テストの内容が良かったという事は、すでに少し経験を積んでから挑める開幕後のシーズンはさらにいい内容が期待できるかもしれませんよ」

■ロマノーリ監督「ロレンソのレースデビューが楽しみ」

ミシュランを履くフィアット・ヤマハのチーム監督を務めるダニエーレ・ロマノーリは、ロレンソとマシンの進歩に深く満足できたという冬季シーズン全体についての感想を以下の通り語った。

「非常にいいテストだった事は間違いありません。ホルヘのバイクのベース・セッティングを改善する事ができましたし、同時に今回予定していた全てのタイヤテストを終える事ができています」とロマノーリ監督。

「ミシュランタイヤの進歩を今回確認できたのは本当に嬉しい事ですし、カタールの開幕レースに向けて多くのデータ収集を終える事もできましたので、これから数日間をかけてそのデータを分析し、カタールの最初のレースに向けて最高の状態でここに戻って来られるように準備を進めてくるつもりです」

「今日のレース・シミュレーションのにおけるホルヘの走りとその一貫性は非常に満足のいくものでした。これで開幕戦を迎えるにあたり自分たちが高い仕上がり状態にある事への自覚が持てましたし、ここまでの冬季テストを最大限に活用できたと自負しています」

「次にここに戻った時のホルヘのヤマハからのレースデビューが今から楽しみです」


■冬季シーズン中の結果に大満足のTECH3ヤマハ
写真
開幕に向けての最後のIRTAテストを、ジェームス・トーズランドの総合2番手とコーリン・エドワーズの総合5番手という高い結果で終えたTECH3ヤマハ・チームは、今回の夜間のテスト内容に深い満足感を示している。

■トーズランド「ちょっとした気分」

トーズランドは、2日目に予選タイヤでベストラップの1分54秒592を記録した後の3時間はタイムシート上のトップで過ごしており、惜しくもセッションの残り7分のところでロレンソに抜かれる結果とはなったが、本人は今回のテスト内容には深く満足しており、最終日のタイムシート上の自分の名前の下にMotoGPのビッグネームが並んでいる事に感動している様子だ。

「このサーキットの事は非常に良く分かっているので、このバイクでも調子をつかむまでにそれほど時間はかかりませんでしたが、それにしてもタイムシート上の2番手で終われたのは本当に素晴らしい事だと思います」とトーズランド。

「スーパーバイクの時は58秒台さえ難しかったのに、そのスーパーポールのラップタイムを4秒も上回るなんてとにかくすごいですよね。おまけにバレンティーノのポールポジション・レコードを0.5秒も上回った訳ですから本当にこれは励みになります」

「今回の結果は自分のミシュランの予選タイヤに対する自信がどれだけ深まったかを示す事にもなりましたね。高いグリップ性能を最大限に使い切るにはタイヤを本当に信頼できていないと難しいんです」

「ものすごく速いラップタイムを記録したのは分かりましたが、実際にはさらにその予想以上でした。MotoGPのビッグネームたちが全て自分の名前の下に位置しているのを見るのはちょっとした気分ですよ」

「そのままトップタイムで終われたらさらに最高でしたが、この結果でも十分に嬉しいです。自分はどうしてもMotoGPに来たかったし、その中でも強くなりたかったので、今回はそれが可能だと示す事ができました」

「今は開幕レースが待ちきれない気分です。幸いTECH3チームには豊富な経験があり、ミシュランとヤマハも真剣に頑張ってくれていますから、全てが噛み合う日もそう遠くはないと思います」

「それにここまで短期間の内に自分がいい走りをできるようになったのは、まわりの方々の経験のおかげに過ぎません。チームのスタッフが予想よりもずっと早く自分をここまでのレベルに押し上げてくれたので、そのテスト期間中の勢いをそのまま本シーズンに持ち込める事を今は願っています」

■エドワーズ「ミシュランは本当に頑張ってくれた」

2日目の4番手タイム、2日間総合の5番手タイムとなる1分55秒464をミシュランの予選タイヤで記録したコーリン・エドワーズは、この日のレース・シミュレーションで使用したレースタイヤにも満足しており、ミシュランの冬季シーズン中の改善状況と努力に対して感謝の気持ちを示している。

「今日は主にタイヤテストに集中し、いいレースタイヤを探しながらミシュランに情報を提供しましたが、その中ですごく気に入るレースタイヤを見つける事ができています」とエドワーズ。

「昨日のロングランでの自己ベストは57秒3とあまり十分な速さではありませんでしたが、今日見つけたそのタイヤでは8周連続で走った時に56秒4を記録できました。リアタイヤは22周回、フロントタイヤは26周回それぞれ走り込んだ時の状態です」

「22周回目の56秒4がレースで勝利を狙う上でいいタイムなのかどうかは分かりませんが、ミシュランが来週にはさらにいいタイヤを持ち込んでくれる事だけは間違いないと思います」

「ジェームスは新しいミシュランのフロントタイヤを気に入っていますが、自分も彼より先にそれを試した時からすでにそのタイヤとは恋に落ちていました。感触が5%程度良くなったとかそういうレベルの話ではありませんよ。25%は良くなったように感じましたからね。低温路面でもとにかく性能がいいし、ミシュランは本当に頑張ったと思います」

「ここに来ていいフロントタイヤが見つかり本当に嬉しいです。ジェームスもすごく喜んでいますから、自分たちが正しい方向に進んでいるのは間違いありませんね。ここはフロントにすごく厳しいサーキットなので、通常ならフロントタイヤのグリップには常に問題を抱えるんですが、今回はミシュランのおかげで全くそういった課題はありません」

「今は開幕レースが待ち遠しいです。この冬季シーズンを通してTECH3チームとヤマハとミシュランは、全員が一丸となって本当に良く頑張ってくれたと思います」


■ホンダ勢のトップはホンダLCRのランディ・ド・プニエ

この日に総合3番手となる1分54秒973をミシュランの予選タイヤで記録し、ホンダ勢のトップにつけたのはホンダLCRのランディ・ド・プニエだった。

■ド・プニエ「開幕戦でいい結果が狙えるパッケージに仕上がった」
写真
2日目を通してド・プニエはタイヤのテストを中心に行い、最終日はベースセッティングの改善も進み課題だったフロントの接地感に満足のいく結果が得られたとしている。また、ド・プニエはこの日に試した2本のリアのレースタイヤのうち、最後に試した1本が気に入った様子だ。

「自分にとってもチームにとっても本当に仕事がはかどる2日間でした。今回は基本的にベースセッティングには特に大きな変更は加えずに、レース本番に向けてペースを上げられるよう作業をレースタイヤに集中しました」とド・プニエ。

「今日は昨日よりもさらにバイクの感触が良かったですね。それにこの環境で走るのが結構気に入っています」

「特にリアタイヤとフロントタイヤの両方に一貫性が得られる事と、レースタイヤで速いラップタイムが得られる事に特化して作業を行いました」

「来週の開幕戦でいい結果を狙う上で正しい方向性のパッケージが仕上がったと思っています。LCRチームとHRC、それにミシュランのスタッフの方々の冬季テスト期間を通しての努力に感謝しています」


■自信を示すドゥカティー勢もブリヂストンの予選タイヤには苦戦
写真
最終日は開幕戦に向けてのセッティング作業に集中したというドゥカティーの2名のライダーは、揃って今回のテスト内容、および夜間照明施設に満足しているという。なお、ケーシー・ストーナーとマルコ・メランドリの2名も他のブリヂストン勢と同じく、今回の自己ベストラップは予選タイヤではなくレースタイヤで記録したものだ。

■ストーナー「レースウイーク中に予選タイヤは重要じゃない」

ケーシー・ストーナーは最終日には軽い転倒を2コーナーで喫し、初日のタイムを更新する事はできていないが、1日目のレースタイヤでの自己ベストである1分55秒330が2日間の総合4番手タイムとなった事には満足しており、開幕戦に向けての自信を高めている様子だ。
写真
「テストしなければいけない残りの課題はもうほんの少しですし、2台のマシンのそれぞれに異なるセッティングを施してもその両方が好調だったので満足ですね。レースでどっちを使うかは来週のプラクティス中に決めるつもりです」とストーナー。

「レースタイヤにはすごく満足できています。予選タイヤに関してはもう少し改善が欲しいところですがそれほど心配はしていません。レースウイーク中に一番重要な種類のタイヤではありませんしね」

「今晩は2コーナーで転んでしまいましたが、幸い深刻な怪我はありませんでした。ただ、安全委員会に対しては伝えましたが、グラベルの中の石のサイズについては議論が必要ですね。ヘレスもそうですがちょっと大きすぎます。石というよりは岩に近いし、軽く転んだ時にも怪我をしそうです」

「何ヶ月ものテストがこれで終わり、数日間リラックスしたらついにレースですね。調子は万全ですから開幕が待ちきれません」

■メランドリ「見せてきた内容よりもずっと高い性能を確保できている」

最終日に総合15番手となる1分56秒902を記録したマルコ・メランドリは、プレシーズンを通してやや苦しんだセッティングの最終的な仕上がり状況には満足しており、デスモセディチGP8の本来性能を開幕戦で披露できるのが楽しみだと語った。
写真
「バイクのセッティングを引き続き行いましたが、昨日よりもだいぶ改善されました」とメランドリ。

「何本か種類の異なるタイヤも試してはいますが、今回はできる限り同じタイヤのまま多くの周回を走り続けるようにして作業の中の不確定要素を排除し、バイクのセッティングを仕上げる事に集中しました」

「開幕レースに向けての準備はほぼ整ったので満足です。現時点までに見せてきた内容よりもずっと高い性能を確保している自信はありますからね」


■JiRチーム・スコットは課題としていたフロントのチャタリングを解消
写真
IRTAテスト最終日はレース用セッティングの最終調整を行い、開幕戦に向けての準備は全て整ったとの自信を示すJiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾは、ミシュランの予選タイヤで2日目の4番手タイム、2日間の総合では6番手となる1分55秒550を記録した。

■ドヴィツィオーゾ「路面温度が下がってから予選タイヤを試した」

ドヴィツィオーゾは最終日にミシュランとSHOWAのエンジニアと共にマシンの最終調整を行い、冬季シーズンを通して抱えていたフロントのチャタリングを解消する事ができた様子だ。なお、今回ドヴィツィオーゾはチームの方針に従い、あえて路面温度が低い時間帯に予選タイヤでのタイムアタックを実施している。
写真
「今日はセッションを通して速く走れていましたし、タイムも安定していました」とドヴィツィオーゾ。

「チームのテクニカル・パッケージをレースに向けて最終調整し、最後は予選タイヤで自己ベストを狙いました。テストの終盤に予選タイヤを装着した時には気温が下がってアスファルトも湿り始めてしまいましたけどね。路面温度も昨日より下がってしまいましたが、予定を変更せずにそのまま走りました」

「テクニカル・パートナーの方たちの素晴らしい仕事ぶりには本当に満足しています。これでカタールを離れますが、開幕レースでも上位が狙える事を期待しています」

■ジャンニ・ベルティ「パッケージは完璧に仕上がった」

JiRチーム・スコットのテクニカル・コーディネーターを務めるジャンニ・ベルティは、ミシュランとSHOWAの協力により課題としていたフロントのチャタリングが解消できた事についての感謝の気持ちを述べている。

「今日はバイクのレース用セッティングの最終調整を行いました。作業が集中してチームにとってはすごく忙しい1日でしたね」とベルティ。

「テクニカル・パッケージの全てが完璧に仕上がったと思います。チームのメンバー全員が最大限の努力を費やしてきましたし、ミシュランとSHOWAの方々にも大変に助けて頂きました。彼らのモチベーションの高さは折り紙付きです」

「アンドレアはセッションの一番最後に予選タイヤを使用しています。今日はセッションの終盤に路面温度が急激に下がりましたが、これは昨日よりもかなり早い時間帯に起こりました」
写真
■ピエトロ・カプラーラ「わざと作業の開始を1時間遅らせた」

JiRチーム・スコットのクルー・チーフを務めるピエトロ・カプラーラは、今回のセッション開始直後は路面温度がやや高めだったので、あえてレースウイークの本番時に想定される温度に下がるまで作業の開始を遅らせたとコメントしている。

「これでついにテストの終わりを迎えましたが、チームは非常に大きな仕事をここまでに成し遂げたと思いますので、3月9日のレースを楽観的に迎える事ができます」

「今日は路面が冷えるのを待ってセッションの開始時間より1時間遅く作業に着手しました。実際のレース時よりも高い路面温度には興味がありませんからね。わたしたちのレースに向けての走行ペースは非常に安定していますので、これは非常にいい兆候だと思います」

「テクニカル・パートナーの方々のおかげでパッケージの最終調整をうまく進める事ができました。今日のバイクはフロントにいくつか小さな問題を抱えていましたが、それを解消する事もできています」

「レースの準備は整いましたし、高いレベルに仕上がりましたから、後はベストを尽くすだけです」


■最後のテストは期待外れな結果となったレプソル・ホンダ
写真
初日に引き続き2日目もマシンを夜間のカタールに合わせるためのセッティング作業に集中したレプソル・ホンダの2名だが、最終的なタイムはニッキー・ヘイデンが総合7番手タイムの1分55秒674、初日のタイムを更新できなかったダニ・ペドロサが総合13番手の1分56秒621と、同じくミシュランを履くホンダのサテライト勢よりも低い結果となり、彼らにとっては決して満足のいく2日間にはならなかった様子だ。
写真
2名の不調の原因はワークス仕様の2008年型RC212Vに装着したミシュランタイヤのフロントとリアの両方のグリップ不足が主な原因であり、HRCのエンジニアはこの2日間のデータを持ち帰り、開幕レースに向けて最後の調整を進める構えだ。

■ヘイデン「ホンダにはまだ2〜3日ある」
写真
今回のカタールでは予選タイヤでも十分な速さで走れなかったとするニッキー・ヘイデンは、開幕レースに向けてホンダが進める改善作業に期待すると同時に、数日間は自身の走りを見直す事にも集中したいとしている。

写真「夜間の走行を楽しむ事はできましたが、ここでの夜の走行条件は決して楽ではありませんよ。風があるし、路面温度も不安定です」とヘイデン。

「今晩はレースタイヤを試し、セッションの最後には何本か予選タイヤも装着して速く走る事はできましたが、十分と言えるものではありませんでした」

「前回のヘレスを離れた時にはすごく自信がありましたが、また現実に引き戻された感じです。いずれにしても、膨大なテストが終わってこれからレースに入れる事は嬉しいし、興奮してきますね」

「ただ、今もまだやるべき作業が残っていますし、いい状況を取り戻せるように何か改善策を講じる必要があります。もっとラインの維持しやすい、コーナーをきれいに抜けられるようなバイクに仕上げる事はできると思っています」

「この課題にホンダが取り組める日数もまだ2〜3日残っていますし、もう少し自分の走りについても考える時間もありますから、次の金曜日の夜までには期待通りのところまで到達できている事を願っています」

■ペドロサ「タイヤは大丈夫の筈」
写真
写真総合13番手の結果に落胆するペドロサは、今回グリップが得られなかった原因はミシュランではなく何か他の問題だろうと以下の通りコメントしている。

「この2日間はひどく難しい状況でした。ここで抱えている問題を解消するためのいい解決策が今も見つかっていません。様々な多くの事を色々試しましたが、現時点では期待通りの結果は得られていません」とペドロサ。

「一番の問題はグリップですが、タイヤは大丈夫だと思います。2007年型のホンダのマシン(サテライト勢)とミシュランは速く走れているので、問題は何か別にある筈です。夜間の走行は湿気がすごいので、それも何かに影響していると思いますが、これについては誰もが同じ条件ですしね」

「右手の方は少しずつ良くなってきています。ヘレスの後に少し静養する時間もあったので、ここではあの時よりも多くの周回を走り込む事はできました」


■IRTAテスト最終日に大きな進展が得られたリズラ・スズキ

冬季シーズンを通して2008年型GSV-Rのセッティング面での難しい問題に直面し、なかなか抜本的な改善を進める事ができていなかったリズラ・スズキ勢だが、IRTAテスト最終日のこの日は飛躍的な進歩を遂げる事ができたとしており、クリス・バーミューレンはレースタイヤでの走行時に総合8番手タイムとなる1分56秒119の好タイムを記録している。

スズキでの初のシーズン開幕を迎えるチームメイトのロリス・カピロッシは、この日は高速走行中に激しい転倒を喫しているが、幸い大きな怪我はなくその後も作業に復帰し、レースタイヤ装着時に1分56秒450の総合11番手タイムを記録した。

■バーミューレン「冬季テストの中で今回が最も大きな進歩」

最終日はマシンの微調整を繰り返し続けたというクリス・バーミューレンは、2008年型GSV-Rが今回のカタールでの2日間を通して大きな進歩を遂げた事を確信できたという。
写真
「ここカタールではいい夜のテストができました。2008年型GSV-Rに関する今年のテストの中では今回が一番大きな進展が得られていると思うのでとても満足です」とバーミューレン。

「ラップタイムを1秒以上縮めて安定した走りをする事ができましたから、この流れは来週のレースでのいい結果につながる筈です。非常に苦しい時間が続いた中でのチームのクルー全員の頑張りには本当に心から感謝しています」

「今はとにかくレースが待ちきれませんよ!」

■カピロッシ「基礎的な作業に多くの時間を費やした」

2008年型マシンの本来性能を引き出す事を目的に、種類の異なる新型シャシーと新型エンジンのテストに改めて取り組んだというロリス・カピロッシは、基礎的な作業に多くの時間を今回は取られたものの、価値のあるテストがカタールではできたとコメントした。

「今日はあまりに多くの事をテストしたので、他の作業時間をかなりロスしてしまったように思います。3種類の異なるエンジンを試したので、それぞれの全ての設定範囲を検証するのにちょっと混乱した感がありますが、いずれにしても、それらも非常に重要な作業だったのは事実です」とカピロッシ。

「今回良かったのは自分たちの目標値がしっかり把握できた事です。ただ、それに辿り着くにはまだ相当に頑張り続ける必要はありますが」

「それ以外にも激しい転倒をした事で時間をロスしていますが、幸い怪我はなかったのでその後も作業を続ける事はできました」

「今回は本当にいいテストだったと思います。非常に多くの事を学びましたからね」
写真
■デニング監督「飛躍的な進歩が今回は得られた」

リズラ・スズキのチーム監督を務めるポール・デニングは、苦しかったプレシーズンの一番最後に飛躍的な進歩が得られたとする以下のコメントを残している。

「昨日は非常に難しい状況でしたし、何も期待通りに進める事ができていませんでした。ライダーやGSV-Rの実力を全く発揮できていなかったと言えるでしょうね」とデニング監督。

「でも今日は大きな進歩が得られ、2008年型バイクの本来性能をフルに引き出すための鍵をやっと見つける方向にあります。特にクリスはいいリズムをつかむ事ができており、トップ集団の走行ペースに近い56秒台前半のタイムをレースタイヤで記録しました」

「ロリスは基礎的な部分のテストに集中しており、これはプレシーズンの一番最後に行う準備作業としては理想的な流れとは言えませんが、それでも彼が今晩やり遂げてくれたテストの内容は、改善をもう一段階推し進める上では極めて重要なものであり、今後の鍵となるものです」

「ものすごく大きな転倒があり作業に影響は出ましたが、その後もロリスは取り掛かっていた仕事を最後まで全く諦めていません。彼の熱意のすごさが改めて伝わりましたね」

「今はチームの全員が2008年の開幕レースとなる来週末を楽しみにしています。まだ自分たちの希望通りのレベルに到達するには多くの作業に取り組む必要はありますが、良い結果を狙う上で飛躍的と言える進歩を今晩は得られたと考えています」


■ホンダ・グレッシーニは最終日に2名のライダーが揃って転倒
写真
テスト最終日はレース・シミュレーションを実施し、ブリヂストンのレースタイヤでの走行ペースを上げる事に作業を集中したというサンカルロ・ホンダ・グレシーニの2名のライダーの総合順位は、1分56秒249をレースタイヤで記録したMotoGPルーキーのアレックス・デ・アンジェリスが9番手、同じくレースタイヤで1分56秒792を記録した中野選手は総合14番手だった。
写真
セッション後半に路面温度が低下してからはアスファルトの結露など、不安定な路面状態に苦しんだという2名は揃ってこの最終日に転倒を喫しており、アレックス・デアンジェリスは右腕、中野選手は左手の薬指を負傷しているが、特に1週間後の開幕レースに影響を与えるほどの大きな怪我ではないとチームは発表している。

■デ・アンジェリス「レース序盤のタイヤの温度には注意が必要」

写真2日目は路面状態が不安定になった直後に転倒を喫してしまったアレックス・デ・アンジェリスは、レースには自信を持って挑めるとしながらも、序盤のタイヤの温度には注意を配る必要があるとコメントしている。

「今晩のセッションの最初に行ったレース・シミュレーション中の走行ペースには満足できました」とデ・アンジェリス。

「ただ、問題は10時近くになってから気温が下がり湿気が増した事です。路面コンディションがものすごく不安定になり、そこで転んでしまいました。幸い深刻な怪我はしていません。右の前腕部にちょっと痛みがありますが、これは大丈夫です」

「レースには楽観的に挑めると思います。最初の数周回はタイヤが適切な温度に温まっているかどうか注意して見ていく必要があるとは思いますけどね」

■中野選手「数日間休めば体調は大丈夫」

写真この日はセッションの終盤に転倒し、そこで全てのテスト作業を終了した中野真矢選手は、指の負傷は軽い怪我なので開幕までには治るだろうと述べている。

「今日のレース用のセッティングの最終調整に取り組みました。路面コンディションが不安定になるまではいいベースセッティングが仕上がっていたと思います」

「ただ、アスファルトが湿気に覆われた後、ラップタイムを縮めようと少し激しく攻めた時に転んでいます。おかげでそこまで続けていたレース・シミュレーションが中断する事になり、少し早めにテストを終える結果になりました」

「深刻な怪我は一切ありませんし、これから数日間休めば十分にレースまでに調子は整うと思います」

■グレッシーニ監督「課題は予選タイヤ」

サンカルロ・ホンダ・グレッシーニのチーム監督を務めるファウスト・グレッシーニは、レースタイヤにおける走行ペースは問題ないが課題は予選タイヤにあると、IRTAテスト終了後にコメントしている。

写真「アレックスがレース・シミュレーション中に記録したラップタイムは満足できるものですし、彼はいい走りを見せていました。予選タイヤを装着した時に少し激しく攻めすぎた事でフロントを失い転んでしまったのは残念です」とグレッシーニ監督。

「全体的に見てレースタイヤではいいペースをつかむ事ができていますが、予選タイヤに関してはもう少し改善が必要な状況です。来週までに必要となるセッティングについての技術会議をこれから設けたいと思いますし、自信はあります」

「アレックスが順調に作業を進める中、真矢はいくつかの問題を抱えていますし、まだ改善の余地があります」

「今回はチームとして2回の転倒があり残念でした。何とも避けたかったですね」


■最終日に作業方針を変更したブリヂストン・フィアット・ヤマハ

初日の作業と開幕レースに向けてのタイヤ選びに戦略上の誤りがあった事を認め、2日目は途中から初日とは異なる種類のタイヤを選んで作業をやり直したというブリヂストン側のフィアット・ヤマハ・チームは、方針変更後には改善の兆しを得る事はできたもののレース・シミュレーションを行う時間が取れず、また十分なラップタイムの短縮も得られないままにプレシーズン最終日のテストを失意の中で終えている。
写真
この結果、バレンティーノ・ロッシが2日目に記録したタイムは今回の総合10番手となる1分56秒256に留まり、ミシュランを履く同チームのホルヘ・ロレンソや、TECH3ヤマハの2名という好調なヤマハ勢の中でロッシは大きく遅れを取る結果となった。

■ロッシ「今回は時間切れ。自信は失っていない」

カタールでの2日間のテスト結果には満足できない様子のバレンティーノ・ロッシだが、冬季テスト中に仕上げたマシンの状態は悪くないとしており、開幕レースに向けては自信を失っていないとのコメントを残している。

写真「今回のテストに満足しているとは言えませんし、正直に言えばもっとここでは速く走れると思っていました」とロッシ。

「何本かのタイヤにバイクのセッティングを合わせようと作業を進めてきましたが、残念ながらその時間は無駄になりました。というのは、当初の予定を諦める事にしたんです」

「その決定を下してからは今までとは別のタイヤを使用し、若干進歩が見え始めましたが、もうその時にはほとんど残りの時間がなく、希望通りのところまで作業を十分に進める事ができていません。このためにレース・シミュレーションをする時間も取れなくなりました」

「その後に2回ばかりいい走り込みをする事はできましたが、残念ながら本来達成できるところまで作業を進める時間はありませんでしたし、コンマ何秒か不足している状態です」

「一般的な物言いですが、いずれにしてもここまでの冬季テストは、今回のカタールを除けば全て順調に進みました。セパンでもヘレスでも速く走れていましたから、ここで同じような速さを見せられなかったのは本当に残念です」

「ただ、いくつか来週に向けていいアイデアはありますし、今回の結果がこうだったからと言って自分が自信を失うような事はありませんよ」

■ブリビオ監督「4時間のプラクティスで挽回する」

ブリヂストン側フィアット・ヤマハのチーム監督を務めるダビデ・ブリビオは、レースウイーク中の4時間のプラクティスを最大限に活用し、今回の内容を挽回してから開幕レースに挑みたいとコメントした。

「ここカタールではもっと速く走れる事を想定していました。ただ、いずれにしても今回は多くの有益な情報を収集する事ができています」とブリビオ監督。

「レースで上位を争えるようにするには、来週のここでの4時間のプラクティスを最大限に利用して作業を進める必要があります。チームのエンジニアたちはバイクを調整するためのいいアイデアをいくつか持っていますので、状況を改善できるように頑張りたいと思います」

「もっと調子を上げなければいけないのは事実ですが、まだバイクを改善するのにレースウイーク中の時間をフルに利用する事が自分たちにはできます」

「全体を通して言えば、この冬季テストには満足できています。また、最後のテストがこの結果だったにしても、開幕に向けての自信を維持する事はできています」


■開幕直前まで必死の作業を進める決意のカワサキ

IRTAテスト最終日、カワサキの2名のライダーは開幕に向けてのマシンのセッティング調整とタイヤ選びに作業を集中し、ジョン・ホプキンスは総合12番手タイムの1分56秒612、アンソニー・ウエストは総合18番手となる1分57秒459を記録している。

■ホプキンス「ドバイで3日間休息してくる」
写真
フィリップ・アイランドで負った怪我の状況は80%程度にまで回復したものの、この日は左足の付け根が痛んだ事から周回数を伸ばせなかったジョン・ホプキンスは、初日に選んだレースタイヤを装着したマシンのセッティングに最終調整を施し、1日目の自己ベストを1秒短縮する事に成功している。

「今日はバイク全体のセッティング作業を行いました。シャシーのセッティングについて一通り確認し、同時にレースに向けての最終調整もシャシーに施しましたが結果は良好です。昨日のラップタイムをレースタイヤで1秒縮める事ができましたからね」とホプキンス。

「また、テストの最初には選択肢としていたタイヤの範囲を絞り込む事もできています。今はもうどのタイヤをレースで使用するべきかつかめていますよ。レースタイヤでの速さには自信があります。ただ、今日は予選タイヤは一切試していません」

「走行時の路面は非常に低い温度条件ですが、これは誰にとっても同じですし、レースの流れを左右する最も大きな要素となるでしょうね」

「(フィリップ・アイランドで負った)怪我の具合については、昨日多くの周回を走り込んだ事で少し痛むようになりましたが、これからの3日間はアシュリーと一緒にドバイで短い休暇を過ごしますから、開幕までには静養して体調を整える事ができると思いますよ」

■ウエスト「ラップタイムにはがっかり」

冬季シーズン中を通しての低い順位とこの日のラップタイムに失望するアンソニー・ウエストだが、カタールのテスト初日から試している新型シャシーの調整状況には満足できており、この日はいいレースタイヤを見つける事もできた事から、開幕ウイーク中にタイムはさらに改善できるとコメントしている。
写真
「今日は昨日から着手しているシャシーのセッティング改善を中心に作業を進めました。ラップタイムについてはがっかりですが、確実にいくつか進歩は得られています」とウエスト。

「コースはすごく路面温度が低くてグリップがあまり得られず、今回はその点にずっと苦しみました」

「今日はレース・シミュレーションを行う中、来週のレースで使うタイヤの選択も主な目標として取り組みましたが、セッションの最後の1時間にいいタイヤを見つけた時にはすごく嬉しかったですね」

「来週の最初のプラクティスまでにまだいくらか作業は残っていますが、この2日間に収集したデータを活用すれば改善はさらに進むでしょうし、もっと速く走れるようになる自信はあります」

■ミハエル・バルトレミー「開幕までにまだ改善は進められる」

カワサキのコンペティション・マネージャーを務めるミハエル・バルトレミーは、テスト最終日を終えて以下の通りコメントしている。

「ジョンの怪我もあり、チームにとって楽な状況ではありませんでした。まだ想定している速さにも到達できていません」とバルトレミー。

「今回のテスト期間中には全体的にもっといい結果を期待していました。ただ、シーズン開幕後の最初のプラクティスが始まる来週の金曜日までに改善できるのは分かっています」

「路面温度には苦しみましたね。おかげでタイヤにもいくつか問題が発生しています。しかしながら、ブリヂストンとはこれまでにも多くの年月を一緒に頑張ってきましたから、来週のレースウイークに向けての解決策を導ける自信はあります」

「今日はすごく多くのライダーが転倒しています。ここの走行条件はMotoGPにとって理想的とは言えませんが、他の全てのチームにとってもそれは同じ事ですし、開幕レースまでにはまだいくらかの改善が進められるのは間違いありません」


■アリーチェ・チーム
写真
プレシーズンのテスト最終日も前日に引き続き開幕レースに向けてのセッティング作業を懸命に続けたアリーチェ・チームの2名のライダーの総合順位は、1分56秒986のトニ・エリアスが16番手、1分57秒055のシルバン・ギントーリは17番手だった。

■エリアス「ラップタイムは気にしていない」

写真11番手につけていた初日とは異なり、最終日にはあまりタイムを縮められなかったトニ・エリアスだが、今回の作業内容には満足できたとして、2日目のタイムについてはあまり気にしていない様子を見せている。

「今日は全てのテスト項目を試そうと頑張り、それらの作業を最後までやり遂げました。だから今日はあまりラップタイムの事は気にしていません」とエリアス。

「もっといい結果を狙っていたのは確かですが、今回の作業内容もレースウイーク中にラップタイムを改善していく中で使える1つの選択肢にはなる筈です」

「やや低い位置のまま全ての冬季テストを終える事になりましたが、まだバイクのセッティングや自分のライディング・スタイルを調整していく時間は残っています」

■ギントーリ「開幕戦は欠場したくない」

チームメイトのエリアスが年明けのオフ期間中にモトクロスバイクで腰を痛めて以来、プレシーズンを通しての自身の体調の良さを誇っていたシルバン・ギントーリだが、開幕1週間前のこの日には不運にも高速走行中に転倒、右腕を負傷してすぐに精密検査のためにイギリスに飛んでいるが、幸い致命的な怪我は免れている。

写真「レースタイヤでのペースを改善する事はできました。ただ、予選タイヤ装着時のセッティングにはまだ難しい面を抱えていますし、限界まで激しく攻め込んだら転倒して右腕を負傷してしまいました」とギントーリ。

「最初はかなりひどい怪我かと思いましたが、最初の医療検査の結果によればそれほど深刻な怪我ではないようです。このままイギリスに飛んでさらなる精密検査を受ける予定ですが、まず大丈夫だと今は思っていますし、開幕戦は欠場したくありません」

■ステルラッキーニ「レース・シミュレーションの結果は悪くない」

アリーチェ・チームのテクニカル・ディレクターを務めるファビアーノ・ステルラッキーニは、IRTAテスト最終日を終えての仕上がり状況を以下の通り説明している。

「ラップタイムに反映する事はできていませんが、今日はいい作業を進める事ができたと思っています。今年の開幕レースに向けて様々なアイデアを試しながら、バイクのパッケージ全体を見直す事に集中しましたが、昨日のタイムを更新する事はできていません」とステルラッキーニ。

「トニ自身は心身共に準備が整っていますので、チームがやるべき事はバイクをさらにいい感触に仕上げる事だけですが、来週の日曜日には彼に高いレベルのマシンを提供する自身があります」

「どちらのライダーもレース・シミュレーション中のペースはそれほど悪くありませんが、シルバンは自己ベストをさらに更新しようと頑張っている最中に転倒しました。それほど深刻な怪我ではないので、来週には彼がここに戻って来られると信じています」

この記事に関連する記事
  カタール夜間テスト初日、高い順応性を示す若手と慎重なベテラン
最新のニュース一覧へ 元のページに戻る
インテリマーク - Copyright (c) IntelliMark All Rights Reserved. -