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カタール夜間テスト初日、高い順応性を示す若手と慎重なベテラン
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インテリマーク編集部
  2008年3月1日

3月9日の開幕レースが目前に迫ったMotoGPの2008年シーズンだが、その約1週間前の2月28日と29日の2日間、MotoGPクラスはこのプレシーズン最後のIRTAテストを、開幕戦の舞台となるカタールのドーハ近郊の砂漠地帯に位置するロサイル国際サーキットにて実施している。

■グランプリ史上初の公式夜間セッションとなった今回のカタールIRTAテスト
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開幕レースがグランプリ史上初のナイト・レースになる事から、この2月28日からの2日間のIRTAテストもロサイル国際サーキットに設置された夜間照明の中で行われており、今回のテストが事実上のグランプリ史上初の公式夜間セッションとなった。なお、125ccと250ccの小排気量クラスも、夜間の公式IRTAテストをMotoGPクラスに続いて3月1日から3日までの3日間の日程で行う予定だ。

ここでは、夜間照明の中を初めてグランプリ800ccマシンで走ったMotoGPクラスの全ライダーや、チーム関係者の興味深いコメントと合わせて、開幕を1週間後に控えた各チームのカタールIRTAテスト1日目となる2月28日の走行結果とテスト状況などを紹介する。


■ついに全ての照明灯に電源が入ったロサイルの夜間照明施設

今年のロサイル国際サーキットには、過去2年間をかけて計画してきたナイトレースの実現に向けて、1500万ドル(16億5千万円)の費用をかけて各60個のライトを持つ1200本の照明塔が整備されている。各照明灯の高さは3メートルのものから9メートルのものとまちまちだが、これらは影が発生しないように計算され尽くして計画的に配置されたものだという。
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■サッカー競技場70個分、バスケットボールコート1300個分の光源

今回のテスト・セッションの開始時には初めて44機の大型発電機が全て稼働し、550万ワットというサッカースタジアムの70個分、バスケットボールのコートにすると1300個分に該当する人工照明に照らされ、ロサイル国際サーキットのコース全景がライトアップされた。

■MotoGPマシンが夜間照明の下をレーシングスピードで走るのは史上初

去年の11月12日には、安全性の最終確認としてロリス・カピロッシ、マルコ・メランドリ、アレックス・デ・アンジェリス、ジェームス・トーズランド、アンソニー・ウエストの5名が、MotoGPライダーを代表して夜間走行を行っているが、この時にはコーナー3つ分の1部区間の照明灯にしか電源は入れられず、彼らが走行したバイクもMotoGPマシンではなく公道用に市販されているスーパーバイクだった。
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■オープニングセレモニーの遅れによりセッションの終了は午前1時

なお、今回の2日間のテストはそれぞれ午後5時から午前0時までの予定だったが、初日の2月28日はオープニング・セレモニーの遅れから開始時間が1時間ずれ込んでおり、セッションが始まったのは午後6時、終了時刻は午前1時となっている。
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■時間とともに路面温度は低くなったが最底15度は維持

通常の日中のテストであれば、朝方に路面温度が低くても正午過ぎまでには上昇するが、今回の夜間テストはまったくその逆であり、午後6時の段階では22度あった路面温度は日が沈むと同時に冷え始め、すぐに15度付近まで下がっている。なお、初日の路面温度はずっと15度以上に保たれており、それ以下に下がる事はなかった様子だ。
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■4年前のカタールGPより40度以上低い路面温度

テスト1日目となる2月28日の最終的な気温は15度、路面温度は15度、湿度は25%だった。これは路面温度の低さに各ライダーが毎年苦しむオーストラリアのフィリップ・アイランド戦に匹敵する低温環境であり、路面温度が高すぎてタイヤが全くグリップしない事が問題となった秋口のカタールGP初年度や2年目と比較するとその温度差は40度以上だ。

■ライダーはセッティングの大きな変更を嫌い新型タイヤの検証に専念

なお、今回ミシュランとブリヂストンは、それぞれに開幕レース専用の低温対策を施した温度の上がりやすい材質のタイヤを持ち込んでおり、各ユーザーは初日から開幕戦で使用するタイヤ選びに忙しく走行を重ねている。基本的に今回の夜間テストでは1週間後に使用するタイヤ選びを中心とした作業を行うライダーが多く、プレシーズン中のマシンの仕上がりに自信を持つライダーはバイク側のセッティングを大きく変更する事を嫌っている。


■カタールIRTAテスト、1日目(2月28日)の走行結果

以下に、グランプリ史上初の夜間照明の下、気温15度、路面温度15度、湿度25%のドライ・コンディションの中で行われたカタールIRTAテスト初日の走行結果を示す。
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1) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分55秒330(61周)
2) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分56秒019(77周)
3) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 1分56秒062(88周)
4) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 1分56秒121(81周)
5) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分56秒251(90周)
6) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分56秒571(69周)
7) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分56秒614(71周)
8) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分56秒621(72周)
9) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分56秒749(82周)
10) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分56秒762(86周)
11) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分57秒007(85周)
12) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分57秒010(91周)
13) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分57秒223(79周)
14) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分57秒522(80周)
15) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分57秒551(66周)
16) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分57秒593(70周)
17) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分57秒644(66周)
18) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分57秒787(51周)

ロサイルのサーキットレコードは2007年(800cc)にケーシー・ストーナーが記録した1分56秒528、ベストラップレコードは2007年 (800cc)にバレンティーノ・ロッシが記録した1分55秒002。


■多くの関係者の疑念を良い方向に裏切った初日の夜間テスト

ナイトレースを実施にする事については安全性の面について以前から様々な意見が飛び交っており、深い疑念や不安感を抱きながら今回カタールに到着したレース関係者やライダーも実際には少なくなかった様子だが、初日のテストを終えたライダーたちの感触は総じて悪くはないようだ。
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■素早い順応を見せる若手ライダー、ベテラン勢はやや慎重な走り

1日目のタイムシート上の順位を見れば分かる通りだが、20代前半の若手ライダーほどセッション開始序盤からリズムをつかんで夜間の視界に無理なく馴染んで速いペースを記録しており、ベテラン勢になるほど最初の違和感から抜け出すまでに時間がかかっていた様子だ。
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ただし、環境に順応するまでの所要時間にそのような差はあったものの、この日のセッションが終了するまでには、ほとんどのライダーが夜間照明の下でも昼間と変わらない感覚で走れるようになったとしているので、全てのライダーが最初から照明に慣れて挑む2日目の総合順位は初日の結果とは大きく異なってくる可能性もあるだろう。


■夜間レース環境への好印象と課題を同時に述べる各ライダー

ちなみに各ライダーの夜間走行終了後の感想だが、「昼間と変わりない」、「影は全然問題ない」、「走っていて楽しい」という肯定的な意見も多くあれば、「コーナーのたびに照明塔が変わり光の向きが変化するのでブレーキングポイントがつかみにくい」、「夜が深くなるにつれて湿気が出てくるのでバイザーをウェット用にしないとだめ」、「景色が変わらないので昼間と比べると自分の位置が自然に把握できない」、「5コーナーから9コーナーにかけての区間と14コーナーの照明にはまだ改善が必要」、「路面の荒れた部分が認識しにくい」といった課題を指摘する意見もあった。
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■ストーナー「テレビゲーム風」、ロレンソ「夜は孤独を感じる」

いずれにしても、これらの課題を述べながらもほとんどのライダーはレースをするのには十分許容範囲と言える照明施設だと認めており、特に致命的な問題を指摘するようなライダーやレース関係者はいなかったようだ。特に変わった意見としては、この日のトップタイムを記録したケーシー・ストーナーは「テレビゲームをやってるみたい。良いとか悪いとかじゃなくて、これは全く別の世界」と述べ、2番手につけたホルヘ・ロレンソは「夜は走っていて孤独を感じる」と述べた。


■初日の転倒者はウエストのみ、深刻な怪我人はゼロ

1日目は特に大きな怪我人は発生していないが、転倒者が1名出ている。新型シャシーを試してマシンに好感触が得られたというカワサキのアンソニー・ウエストは、環境に慣れて少し攻めの走りを開始した直後に最終コーナーでフロントを滑らせ転倒、その時に打撲のあざを身体に残している。しかしながら、ウエストはすぐにセカンドバイクに乗り換えて作業を継続しており、幸い致命的な怪我は一切負っていない。


■回復の進む負傷ライダー

前回のヘレスIRTAテストでは過去に負った怪我に苦しんでいたライダーたちは回復が順調に進んでいる様子だ。

■ペドロサの右手の痛みはブレーキング時のみに

年明けのセパン合同テストでフロントを滑らせて右手のひらを骨折し、前回テストに復帰した直後のヘレスでは痛みのためにあまり作業ができなかったレプソル・ホンダのダニ・ペドロサは、まだ若干の腫れとブレーキング時の痛みはあるもの、常時痛みに苦しむという状況からは脱している。
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■体力トレーニングを本格的に再開したホプキンス

1月末のフィリップ・アイランド合同テストでハイサイドを喫し、骨盤から左足にかけての筋肉に裂傷を負ったカワサキのジョン・ホプキンスは、前回のテスト復帰直後のヘレスに比べれば今回からは本格的に走り込めるようになったとコメントしており、体力トレーニングも最近再開できたとしている。

■年明け以後初めて調子を戻しつつあるエリアス

また、オフ期間中のモトクロスバイクでのトレーニング中に背骨と骨盤を強打し、年明け以降の低い順位に落ち込んでいたアリーチェ・チームのトニ・エリアスだが、ここまでに体調はすっかり整った様子を見せ、今回のテストでは初日から好調な走りを見せる事ができた様子だ。


■各チーム全ライダーのコメントと1日目のテスト状況

以下にカタールIRTAテスト初日を終えた全ライダーのコメント、および各チームのこの日の作業内容などを紹介する。

■昨年のカタール開幕戦から圧倒的勝利を開始したドゥカティーは夜間でも好調
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グランプリ史上初の夜間テスト初日をトップタイムで飾ったのは、昨年のカタール開幕戦の覇者、ドゥカティーの2007年度チャンピオンであるケーシー・ストーナーだった。

■ストーナー「これは全く別世界」

ストーナーは初日から昨年に自身が記録したサーキット・レコードを1.16秒も上回り、昨年のバレンティーノ・ロッシの予選でのベストラップに0.328秒差まで迫る1分55秒330を記録している。
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「第一印象はテレビゲームの「Need For Speed」をやっているような感覚でしたね!今までに慣れ親しんできた世界とは大きく異なる事だけは間違いありません。良いとか悪いとかの問題ではなく、これは単に違う世界ですよ」とストーナー。

「最も興味深いのは視認性の低さです。少なくとも路面の荒れた部分などは見つけにくいので、本能のレベルで感知する事に普段より敏感じゃないといけないでしょうね。まあでも、悪い初日じゃありませんでした」

■メランドリ「一部の照明にはまだ改善が必要」

初日は16番手タイムの1分57秒593を記録したドゥカティーのマルコ・メランドリは、照明施設に関して一部改善提案を述べている。
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「最初はひどく難しく感じましたが次第に目が慣れてきました。いいとは思いますが、日中の光とはかなり異なりますね」とメランドリ。

「すごくしっかり考えてあると思います。ただ、自分の観点では5コーナーから9コーナーにかけて、それから14コーナーの部分など、2〜3のエリアにはまだ改善が必要だと感じました」

「グリップはいいですよ。問題は風だけですね」


■高い順応性を示したフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソ

ストーナーに次ぐ2番手タイムの1分56秒019を記録したミシュランを履くフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソは、最初は若干夜間照明に戸惑ったが、数周回を走行しただけですぐに環境に順応し、昼間と変わりない感覚が戻ったという。

■ロレンソ「夜のバイクは孤独な気分に襲われる」
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初の夜間走行を終えたロレンソは、夜間のサーキットを走ると寂しい気分になるので、普段よりも集中力を高めておく必要があるとコメントしている。

「カタールでの初の夜間テストですが、今回は何よりも夜に走るとどんな感じがするのか、そっちにばかり興味がありましたね!」とロレンソ。

「ナイトレースのアイデアは気に入りましたし、率直に言えばすぐにこの走行条件にも慣れました。もちろん走り始めたばかりの時には奇妙な感じはしましたが、数周回走ったら普段と何も変わらなくなり、目も照明に慣れました」

「一番変な感覚だったのは・・・なんだか寂しい気分になった事です。照明がどんなに明るくても夜にバイクで走るのは孤独な気持ちになりますから、集中力をすごく高めておく必要はあります。だって実際には1人っきりで走ってる訳じゃありませんからね」

「明かりが人工照明ですから影の位置は一切変わりませんが、ブレーキングの時は自分の影が近くに見えているのを意識しますね。だから他のライダーの影を見ても錯覚を起こさないように、この点については常に注意をする必要がありそうです」

「今日のタイムはとても良かったです。ただ、もう少し作業を進めればさらに速く走れるようになると思いますし、明日は照明の光や低い路面温度などの条件にもさらに慣れるでしょうから、もっといい走りができる筈です」

■ロマノーリ監督「少し大変だったが特に大きな問題はない」

ミシュラン側フィアット・ヤマハのチーム監督を務めるダニエーレ・ロマノーリは、夜間のカタールは昨年までの日中のデータとは大きく異なるとのコメントを以下の通り語った。

「非常に好調な1日でした。チームのメンバーや技術者たちにとっては普段とは全く異なるテストですし、通常よりも作業は少しばかり大変でしたが、特に大きな問題は何も発生していません」とロマノーリ監督。

「ライダーの方は日中に走る時との違いをそれほど大きくは意識していない様子です。もちろん彼も照明に慣れるまでに数周回を要しましたが、一度慣れてしまってからは昼間と変わらない走りを見せ始めました」

「今日はヘレスの時のベース・セッティングから作業を開始し、このコースに合うように若干の変更を加えた程度です。ライディング・ポジションを少しだけ変更して、その後は主に出力配分に関する電子制御の調整を行いました。今日はタイヤのテストにも集中しており、いい仕事ができたと思っています」

「今回の走行条件に関する新しいデータを収集する事もできましたが、前回のここでのレースとは大きく異なる内容になっています。明日も同じ方向性で作業を続けていけば、より速く走れるようになる筈ですよ」


■ワークス・ホンダ勢を抑えたホンダLCR

写真ホンダLCRのランディ・ドプニエは、初日は全体の3番手タイム、ワークス・ホンダの2名を抑えてホンダ勢の中トップタイムとなる1分56秒062を記録している。

■ド・プニエ「夜のカタールは涼しくて嬉しい」

プレシーズンを通して好調のド・プニエは、今回のカタールではここまでに仕上げたベースセッティングで走行を開始し、それに若干の微調整を加えた後にミシュランのタイヤテストを開始した。

「特に一番最初は奇妙な感じがしました。コースの外側が真っ暗ですからね。でも、コース内の影については特に問題を感じていませんし、夜は涼しいので嬉しいです」とド・プニエ。

「バイクとタイヤの感触は良かったですよ。いいベースセッティングがあるので、今回は特に大きな変更は加えていません。今日はミシュランタイヤのテストを何本か行いました」


■変わらぬ好調さに満足するJiRチーム・スコット

JiRチーム・スコットの面々は、プレシーズン後半に勢いに乗った好調さを、今回の最後のIRTAテストでもアンドレア・ドヴィツィオーゾの4番手タイムで誇示する事ができて満足げだ。
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■ドヴィツィオーゾ「ポケバイ時代を思い出した」

この日の4番手タイムとなる1分56秒121を記録したアンドレア・ドヴィツィオーゾは、夜間照明のコーナーごとの光の変化のために、最初はブレーキング・ポイントを設定するのに時間を要したとしているが、その後すぐに環境に慣れて順応する事ができたとコメントしている。

「ここドーハでの初めて夜間走行にはすごく満足できました」とドヴィツィオーゾ。

「最初はブレーキングのポイントなど、それぞれの目印を決めるのに少し戸惑いましたが、自分が小さい時にポケバイで走っていた頃、夜の走行時にはライディング・スタイルを少し変更しなければいけなかった事を思い出しました」

「でも今回はその頃よりもさらに大変でしたね。少し路面にアップダウンがあるし、照明が場所によって異なるので光の反射が影響して目印を見つけにくいんです」
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「バイクに関してはすごく満足できています。コース上の目印があまり決まっていない状態でも新しいサーキットに来るたび素早く順応できていますし、今日はセッションを通してずっと最初から最後まで高い順位につける事ができていたので最高の気分でした」

「今回のいい結果はチームとミシュランの親しいスタッフ、それに他のテクニカル・パートナーの方々のここまでの努力のおかげです」

「今晩はレース・シミュレーションを行いましたが、タイムはすでに安定していますし、この2日間を通してさらに改善を進める事ができると思います」

「バイクは高いレベルに仕上がっています。ただ、今晩はフロントにチャタリングを抱えて走りに少し影響が出てしまっているので、その問題をこれから解消していく必要はあります。ただ、影響といってもほんの少しですので、速さにそれほど悪影響を及ぼしている訳ではありません」

■ジャンニ・ベルティ「最初は夜間レースに疑念があった」

JiRチーム・スコットのテクニカル・コーディネーターを務めるジャンニ・ベルティは、実際に環境を見るまでは夜間照明に疑念を持っていたと以下の通りコメントしている。

「夜間レースへの疑心は極めて大きいものでした。時間帯だけではなく、路面温度の低さと照明が不安でしたね。ただ、今日の結果を見る限りでは、想像していたよりも悪くない環境のようです」とベルティ。

「今日はオープニング・セレモニーがありセッションの開始と終了時刻が予定よりも1時間遅れましたが、作業に着手してすぐに走行条件と路面温度は他のレースの時とそれほど変わりがない事に気がつきました。また、アンドレアとエンジニアたちは素早く環境に適応して、すぐにいいリズムをつかんでいます」

「ここでの主な目標はレースに向けての準備ですから、最良のセッティングを追求すると同時にタイヤの選択も行いますが、今回は実際のレースで想定される走行条件に合うように作業を正しく進める必要があります」

「この目標を達成するために、これからフルレース周回を何度も走行してシミュレーションを実施していく予定です」

■ピエトロ・カプラーラ「夜間の作業は時差ぼけみたいな感覚になる」

JiRチーム・スコットのクルー・チーフを務めるピエトロ・カプラーラは、環境面での問題は特に感じていない様子だが、作業時間帯に関する独特の印象を以下の通り述べている。

「すごく変な環境ですよ。普通に働いているつもりなのに、時間帯が夜ですから、なんだか時差ぼけのまま仕事しているような感覚になります。ただ、走行条件は悪くないと思いました。温度が15度以下になる事はありませんでしたしね」

「夜の路面にもかかわらず、グリップに悪影響を及ぼすような湿気の問題は全くありませんでしたし、晩になってからはずっと風が弱く、砂がコース上に巻き上がるような事もありませんでした」

「今日は予定の作業メニューを全て何も問題なく終わらせる事ができましたから、チームは素早くこの環境に順応できていたと思います。今晩はスタッフの全員がいい仕事ぶりを見せていましたし、また、全てのテクニカル・パートナーたちとの作業も順調でした」

「明日は今日よりもさらにいい結果を期待していますし、間近に迫ったレースへの準備が整う事を願っています」


■セッションの大半を上位で過ごしたTECH3ヤマハの2名

TECH3ヤマハの2名のライダーは夜間照明への素早い適応能力を見せ、ジェームズ・トーズランドは序盤からセッションの終わる1時間前まではずっとタイムシート上の2番手をキープしており、チームメイトのコーリン・エドワーズもセッションの大半を5番手の位置で過ごしていた。

トーズランドとエドワーズは他の多くのチームのライダーたちと同様に22周回のレースシミュレーションをこの日に実施してをり、開幕戦に向けての貴重なデータを収集している。また、この中で2名はミシュランが新開発した低温路面用のフロントとリアのタイヤを検証し、その内容に満足しているという。

■トーズランド「バイザーはレイン用の装備が必要」

この日に初めてYZR-M1の新型シャシーを試し、最終的に初日の5番手タイムとなる1分56秒251を記録したジェームス・トーズランドは、フレームが新しくなった事によりブレーキング時の安定性が増した事を喜んでいる様子だ。

「最終的に今日の自己ベストが5番手になったのは本当に嬉しいです。いい晩でしたね・・・という台詞はなんだか変な感じに聞こえますね」とトーズランド。

「照明設備が素晴らしくなりました。11月にここで走った時には3つのコーナーしか明るくない状態でしたから、あれからすごい努力を費やしてここまでの整備を進めてくれたんだと思います」

「普段よりも集中力が必要に感じますね。それと唯一問題に感じたは湿気です。セッションが夜遅くなるにつれて薄く霧が出てヘルメットのバイザーが少し湿ってきたので、レースシミュレーションの時には雨用のものを装着しなければいけませんでした。まあレースの途中で発覚するより今のうちに分かっておけて良かったですけど」

「レース・シミュレーションは安定したペースで走れたのですごく満足できています。今回見つけたフロントタイヤの調子が良かったのはすごいもうけものでした。このサーキット以上にフロントタイヤに厳しい場所なんて他にはありませんからね。あと、新しいシャシーはブレーキの安定性が改善されているので、連続した高速コーナーを以前よりも調子よく抜ける事ができます。このサーキットではその2つの要素が重要ですから、今回の結果は本当に嬉しく思いました」

「一番嬉しかったのは自分のレース・ペースが安定していた事ですけどね。レースの終盤に入ってからバイクがどういう挙動を見せるのかを知っておく事はすごく大切ですし、一度経験しておけば必ず役にたちます」

「今はタイヤのグリップがさらに落ちた時のバイクの挙動をしっかり学ぼうとしているところです。それとフルレース周回を通して全てのラップタイムが0.8秒差の範囲内にあるのは、自分がここまでに進歩した証拠だと思います」

■エドワーズ「まわりの景色に頼る事はできない」

また、最終的には10番手タイムとなった1分56秒762をこの日に記録したコーリン・エドワーズは、夜間照明下では自分の走行位置を把握しにくいと最初は感じた様子だが、レース・シミュレーションを行った時には違和感を感じなくなったとしている。

「照明の安全性の観点から見る限り全て大丈夫ですね。若干影の問題はありますが、それがどの部分にできているかさえ一度把握してしまえば問題はないし、特に気が散るほどの事でもありませんでした」とエドワーズ。

「ただ、まわりの景色に頼るような状況判断の仕方は忘れるべきですね。また、日中なら特に考えなくてもコース上のどこを走っているのかをインチ単位まで正確に把握できますが、夜間は少しそれを意識させられる感じでした。今回は縁石を目印に自分の位置を確認したりしましたが、普段そんな事はしませんからね」

「まあ、別のモードに自分を切り替えて走る必要があるという事ですが、いったんレースモードに頭を切り替えてがむしゃらに走ったら照明の事は全然気にならなくなったし、ラップタイムへの悪影響もありませんでした」

「ミシュランがすごい仕事をしてきてくれたので、今日はバイクには変更を加えていません。これまでにミシュランはタイヤが素早く温まるよう改善作業に取り組んできましたが、確実に進歩が見られますし、タイヤに関して問題は一切発生しませんでした」

「バイクはセパンとヘレスで使ったセッティングをそのまま使っています。自分の走りのスタイルに合うセッティングを見つける事ができたので、それをこのままずっと使えるようならすごいでしょうね」


■ホンダ・グレッシーニ、夜の高速道路のような感覚に驚く中野選手

サンカルロ・ホンダ・グレッシーニのアレックス・デ・アンジェリスは、昨年の11月もカタールでの夜間照明テストに参加している事から、特に照明施設に関して大きな驚きはなく、すぐに新しい走行環境に慣れる事ができたようだが、その一方で、チームメイトの中野真矢選手は、人工照明に最初は戸惑いを覚えた様子だ。

■デ・アンジェリス「影の問題があるとしたらレース開始の密集時」

この日に1分56秒571の6番手タイムを記録したデ・アンジェリスは、冬季シーズンを通して仕上げたベースセッティングに微調整を加え、その後はブリヂストンのミディアムとソフトのコンパウンドをテストしている。
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「自分は11月にもここでテストしているので、それほど大きな驚きは今回ありませんでした。あれからすごく準備が整いましたね」とデ・アンジェリス。

「走っていて楽しいし、今日は追い抜きもしてみましたが影に関する問題は特に感じませんでした。多分問題が発生するとしたらレースの開始時に全員が密集する時でしょう」

「今晩はタイヤを何本か試しましたが、その中で気に入るものをいくつか見つけました。バイクについては特に大きな変更を今回は加えていません。ベースセッティングをいじりすぎるのは良くありませんからね」

■中野選手「夜の高速道路を走ってるみたい」

写真初日はやや慎重に走行し、1日目の13番手タイムとなる1分57秒223を記録した中野真矢選手は、夜間照明に慣れるまでに2時間程度の走行を要したが、それ以降は普段通りに走れるようになり、ブリヂストンの何種類かのタイヤとサスペンションの様々な組み合わせをテストしている。

「夜の高速道路を走っているような感じでしたね!コースは明るく照らされていますが、これには慣れが必要です。2時間くらい走ってからだいぶ感覚がつかめるようになり、この新しい状況にも慣れてきてラップタイムが良くなり始めました」と中野選手。

「今日の最初はソフトタイヤを装着して作業を開始し、調子が良かったので次はミディアムに履き替えてみました。マシンのバランスを良くするためにサスペンションのセッティングも何種類か試しています」


■開幕レースに向けての方向性に自信を示すカワサキ

フィリップ・アイランドで傷つけた左足近くの筋肉の具合が回復に向かい、この日は久しぶりに激しく攻めて走ったとするカワサキのジョン・ホプキンスは1日目の7番手タイムとなる1分56秒614を記録している。また、チームメイトのアンソニー・ウエストは前回のヘレスに引き続きNinja ZX-RRの新型シャシーのテストを試し、18番手タイムの1分57秒787を記録した。
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■ホプキンス「本格的に走り込んだのは久しぶり」

ジョン・ホプキンスはこの日の7時間のセッションを通してブリヂストンタイヤの組み合わせを終始テストしており、開幕戦の使用候補となる良いタイヤを何本か見つける事ができた様子だ。この日はやや低温路面に苦しんだ様子のホプキンスだが、セッションの終わりがけには今回の7番手タイムを記録している。

「今日の最優先課題は来週の開幕レースで使うタイヤを決める事でした。レースタイヤと予選タイヤの両方について様々な組み合わせを検証しています」とホプキンス。
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「怪我があったので、本格的に走り込んでテストに集中できるのは今回が久しぶりです。まだ回復の進み具合は1日単位といった感じで、非常にゆっくりですけどね。一番大変なのは怪我が回復中の時の体力増強ですが、今週はトレーニングもいくらかできていますし、まだ痛みはあるにしても今日は多くの周回を走る事ができました」

「照明で照らされたサーキットは普段とはちょっと違う雰囲気なので走っていて楽しいですね。ただ、路面温度がすごく低いので、ここでのレースはタイヤ選びがすごく重要になるだろうと感じました」

「すでにレースで使えるタイヤの選択肢は把握できたので、明日はマシンのセッティングの方に作業を集中します」

■ウエスト「新型シャシーのおかげでリアのグリップが大幅に改善」

今回初めて試した新型シャシーの1つに好感触を示し、セッティングの改善が進んでマシンにさらなる自信が持てるようになったとするアンソニー・ウエストは、この日は16コーナーでフロントを滑らせて転倒しているが、特に大きな怪我を負う事なくその後の作業をセカンドバイクで継続している。
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「今晩の自分たちのメインの仕事は夜間照明のサーキットに慣れる事と、ここに持ち込んだ新しいシャシーの1つを試す事でした。今回使用したフレームは、以前に問題を抱えていたリアのグリップが大きく改善されています」とウエスト。

「バイクの感触がすごく良かったので、少し激しく攻めて走り始めたんですが、そこで転んでしまいました。最終コーナーでフロントを失い、身体に打撲のあざが残りましたが、それ以外は大丈夫です」

「サーキットの照明は全体的に見てすこし明るさにむらがあるように思います。それに夜走るのは少し変な気分ですね。路面の見た感じも少し印象が違いますし、自分の走行ラインを見つけるのが難しいです。ただ、日中と比較してそれほど大きな差がある訳ではありませんよ」

「明日はこの環境でさらに多くの周回数を走り込んで、今のシャシーに関する作業を続けたいと思っています」

■金子テクニカル・マネージャー「タイヤ選びの方向性はつかめた」

カワサキ・レーシング・チームのテクニカル・マネージャーを務める金子直也氏は、初の夜間セッションを終えて、開幕レースに向けてのタイヤ選びの方向性がつかめたと以下の通りコメントした。

「今回が夜間照明の下での初めてのテストでした。走行条件は非常に独特ですね。普通の路面温度は時間がたつにつれて上昇しますが、ここは逆に温度が順番に下がっていきますし、真夜中が近づくにつれて湿度の方は上がっていきます」と金子テクニカル・マネージャー。

「今日はタイヤのテストを色々行いましたが、レースタイヤについての方向性がいくつかつかめました。まだ明日にはセッティングの方を環境に適応させる必要はありますが、それができればタイヤの性能をさらに引き出せるようになると思います」

「他にもバイクの新しいパーツ類もいくつか試しています。今回試した様々なタイヤとの組み合わせを検証しましたが、何点かメリットが得られる一方、デメリットもありそうです」

「明日の主な目標はレースに向けてのセッティングを最適化できるよう、最終的な調整を行う事です」


■初日は慎重なレプソル・ホンダ、ペドロサはセッティングに苦戦
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夜間テスト初日のレプソル・ホンダの2名のライダーは、7時間のセッションを通してやや慎重に走行したという。右手の怪我が回復しつつあるダニ・ペドロサはこの日の8番手タイムとなる1分56秒621、昨シーズンのカタールではレースウイークを通して大きく苦戦したニッキー・ヘイデンはこの日の12番手タイムの1分57秒010だった。

■ペドロサ「バイクのセッティングがうまく進まない」

初めての夜間セッションを経験してやや目が疲れたというダニ・ペドロサは、まだ手の怪我は回復は完全ではないにもかかわらず安定して速いラップタイムをこの日は刻んでいたが、本人は全く1日目の作業内容には納得できていないという。
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「今日は辛い1日でしたね。いいタイムを残せなかったし、バイクのセッティングもうまく進んでいません」とペドロサ。

「前回のヘレス合同テストの時に比べれば体調はだいぶ良くなりましたが、ブレーキングの時には痛みを感じますし、前回よりはましですが手もまだ少し腫れています」

「明日はもっとうまくいくように頑張りますが、今日の作業が不調に終わったのは事実です。明日は厳しい作業になりそうですが、開幕レースはもう目前ですから来週のレースウイーク中に使えるベース・セッティングが整うように、マシンの改善作業を続けたいと思います」

「コースは見た目がいいですね。ただ、影になって紛らわしい区間も結構あって、自分自身の影を見て他のライダーが接近していると勘違いしやすいです。それと視界に神経を集中し続けるので目が疲れる事にも気がつきました。まだ今日1日走っただけなので実際のレースの時に照明がどう影響するかは分かりませんが」

■ヘイデン「もっと速く走る必要はあるが感触は悪くない」

昨年の調子の悪かったデータは使用せずに、前回のヘレスIRTAテストで好調だったセッティングをベースにしてこの日の作業を開始したというニッキー・ヘイデンは、夜間照明への素早い適応力を見せ、昼間とそれほど違わない感覚で走れたとしている。

写真「楽しかったですよ。一風変わった雰囲気でしたが面白いと思いました。もっと速く走る必要はありますが、現時点の感触はとてもいいし、すごい経験ができたと思いますね」とヘイデン。

「まだ他のライダーがどんな感じで走っているのか確認していませんが、コーナリング時の走行ラインは日中と比べてそれほど大きな差はないと思います」

「影の影響に関しては特に問題を感じていません。強いて言えば照明の放つ光が少し奇妙に感じる事くらいです。路面についてもタイヤのグリップがすごく良くなっているように感じるので、この試みは正解でしたね」

「去年はここでかなりの苦戦を強いられましたから、今回は基本的に前回のヘレスで使ったセッティングを使用して様子を確認し、微調整を加えているところです」


■低温路面に苦しむフィアット・ヤマハのロッシ
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2006年のカタールでは勝利を手にしているバレンティーノ・ロッシは、過去2年間を通して安全委員会のメンバーとして視察を続けてきた夜間照明の完成具合に高い満足度を示しており、最初から特に夜間走行に動じる様子もなく、通常通りのセッティング作業を続けてこの日の9番手タイムとなる1分56秒749を記録した。

■ロッシ「グリップが良くないのに他のライダーたちは速く走れている」

バレンティーノ・ロッシは、夜間の走行条件に合うブリヂストンタイヤを探しながら、YZR-M1の一般的なセッティングをこの日は繰り返したという。ややグリップに問題があり、あまり初日はペースが上がらなかったとロッシは以下の通りコメントした。

「この夜間テストにはずっと好奇の目を向けていましたが、すごく満足したと言わざるを得ないでしょうね。照明の整備をとてもうまく進めてくれたので、日中とさほど変わらない感覚で走る事ができました」とロッシ。
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「視認性もすごく良くて、危険な感じはありません。昼間と同じくらい楽に走れるようになったと思います。多分もう少し温度が高い時期にナイトレースを開催するようにすればさらにいいと思いますよ。ちょっと今は寒すぎますからね!」

「今日はバイクのセッティング作業に集中しましたが、加速時のグリップだまだ少し足りないのであまり速く走れていません。何本かの異なるタイヤとセッティングを試しましたが、スロットルを開ける時に少しフロントが横滑りをして大回りになってしまう感じです」

「このサーキットのグリップがあまり良くない事は分かっています。ただ、他のライダーたちは速く走れていますから、自分たちも調子を上げなければいけませんね。明日に向けてはいくつかアイデアがありますし、改善は進められる筈です」

■ブリビオ監督「もっと気温が高い時期なら嬉しいのに」

ブリヂストン側のフィアット・ヤマハのチーム監督を務めるダビデ・ブリビオは、夜間セッションの温度の低さにやや不満を感じている様子だ。

「照明に関して言えば、1時間が過ぎた頃には普段と変わらない感覚になりましたね。この新しい走行環境にもすぐに慣れましたし、全ての作業は順調に進みました」とブリビオ監督。

「問題は照明ではなく温度ですよ!もっと気温が高い時期のカタールなら夜間走行はさらにいいと思います。路面温度が気温と全く同じですし、低いままですからね。レースの時間帯の温度は15度ですから、これはタイヤが性能を発揮できるぎりぎりの状況です」

「バイクについては、ここでもっと性能を発揮できるようにするには作業がまだいります。特に低い路面温度でタイヤの性能を向上させるようにセッティング作業を進める必要があります」

「明日は新しいセッティングとブリヂストンの新しいタイヤをテストして、今日よりも速く走れるようにするつもりです」


■夜間照明に好感触を抱くアリーチェ・チームの2名
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アリーチェ・チームの2名のライダーは、今回の夜間セッションを楽しんで走る事ができたとしており、初日の作業内容にも満足できた様子だ。セッティングの方向性がつかめた様子のトニ・エリアスのこの日のタイムは11番手となる1分57秒007、マシンに数点の問題を抱えていたというシルバン・ギントーリのタイムは17番手となる1分57秒644だった。

■エリアス「間違いなく正しい方向性がつかめた」

年明け以降の不調を払拭し、正しい方向性と自信がつかめたとするトニ・エリアスは、この日の作業内容には深く満足できたと以下の通りコメントしている。
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「大きく改善が進みましたし、今後の正しい方向性も間違いなくつかめたと思います」とエリアス。

「コースの状況は十分に許容範囲内ですね。風と砂の影響は若干ありますが、走る上で特に大きな問題は発生していません。ここで一番難しいのは低い路面温度に合うタイヤを見つける事だと思います」

「前回のヘレスに比べれば、今回からバイクの感触は確実に良くなりましたし、今日の作業内容には本当に満足できました」

■ギントーリ「照明システムに大満足」

順位は17番手と決して高くはなかったが、今回の夜間照明施設には深い満足感を示しているシルバン・ギントーリは、2日目以降の路面状態の改善に向けて期待感を示している。

「コース上では夜間に走っている事に気がつかないくらいですよ。この照明システムは完璧ですね」とギントーリ。

「不満を言うとすれば、気温が低い事と、風が砂をコースに運んでくる事くらいですが、周回を重ねる度に路面コンディションは改善されてきましたし、走行条件はどんどん良くなりました」

「今日は多くの作業に取り組み、この路面コンディションに合うタイヤを正しく選択する事に集中しました。普段に慣れているレースの環境とはだいぶ状況が異なりますからね」

「明日は路面の状態がもっと良くなるでしょうから、さらに大きく改善が進められる事を願っています」


■まだ苦しいリズラ・スズキ
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1月末のフィリップ・アイランド合同テストの不調から始まり、前回のヘレスから今回のカタール初日まで続けて新型GSV-Rのセッティングまわりの問題を完全には解消できていない様子のリズラ・スズキ勢は、この日も前回のヘレスIRTAテストに引き続きセッティングとハンドリングの改善を狙って懸命に作業を続けている。

15度と低い路面温度への対策として、ブリヂストンの技術者と共にタイヤ性能の評価も実施したリズラ・スズキ勢のこの日の順位は、クリス・バーミューレンが14番手タイムの1分57秒522、ロリス・カピロッシがそれに次ぐ15番手タイムの1分57秒551だった。

■バーミューレン「早くマシンの問題を解消して本来の作業に取り組みたい」
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期待していた程には明るくは感じなかったものの、夜間照明には次第に慣れた様子のクリス・バーミューレンは、現在マシンが抱えている問題をこの日は部分的に解消できたとしている。

「最初はすごく奇妙な感じがしましたね。自分が期待していたほどには明るくなかったし、影も結構できているので慣れるまでに少し時間が必要でした」とバーミューレン。
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「サーキットはものすごい準備を進めてくれたんだと思います。MotoGPのレースを夜間に行うにはかなりの光源が必要ですが、それを実現可能にしていますからね」

「バイクについては、ここに到着した時には大きな問題を抱えていましたが、今日は部分的には解消できた様子です。それが今回のテストの最優先課題ですが、状況は正しい方向に向かって来ていますよ。問題を完全に解決したら本来のテスト作業に着手し、もっとペースを上げられるバイクにしたいですね」

■カピロッシ「もう少し時間が必要なだけ」

バレンティーノ・ロッシと同様に、過去数年を通して安全委員会として照明施設の視察を行ってきたロリス・カピロッシは、この日の照明の明るさには好印象を持った様子だ。ここまでのセッティングの不調に関してカピロッシは、まだもう少し時間が必要なだけだとコメントしている。
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「夜間に走るのは本当に面白いし、コース上でも気分がいいですよ。日中の陽射しほどじゃないにしてもすごく好印象でした」とカピロッシ。

「今日は多くの作業をバイクに施し、様々な事を試して最良のセッティングを探りました。現時点の自分たちが抱えている問題を最小限に抑える方法は分かっています。今はトラクションが得られずに少し苦しんでいますが、これは前回のヘレスの時と同じ状況です」

「チームとは密接になって本当に真剣に頑張っています。今は100%の状態に辿り着くまでにもう少し時間が必要なだけですし、開幕レースには高い仕上がりで挑める筈です」

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