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ブルノ初日、トップに立つダンロップの予選タイヤ
インテリマーク編集部
2007年8月18日

2007年MotoGPシーズンの4週間の夏休みが開けた8月17日のブルノ・サーキットには、各ファクトリー・チームが大量の新型パーツを持ちこみ、日曜日のレースに向けての作業を忙しく再開している。ここでは、チェコGP初日のMotoGPクラスのフリー・プラクティス総合結果と、各チームの作業状況などを紹介する。
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■予想外に低い路面温度となった初日のブルノ

チェコGP初日のブルノ・サーキットは前日の暴風雨により午前には路面の一部が湿っており、終日空が雲に覆われていた事から午後になっても気温はあまり上がらず、例年のこの時期のブルノに比べて低い路面温度となっている。この結果、一部のチームはグリップがあまり得られておらず、初日はサスペンションまわりのセッティングに苦しんだ様子だ。
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気象条件は、午前のフリー・プラクティス1開始時の気温は19度、路面温度は22度、湿度は75%、午後のフリー・プラクティス2開始時の気温は23度、路面温度は29度、湿度は44%だった。幸いMotoGPクラスの両セッションにおいて雨が降る事はなく、終日ドライ宣言がなされているが、午後に行われた250ccクラスの第1予選は小雨に見舞われている。


■怪我人の情報、メランドリが首に激痛を訴え午後は欠場
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前回のアメリカGPまでの転倒者や怪我人が目立った過去数戦とは異なり、今回のブルノでは大きな事故や怪我人は発生していないが、グレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリは午前のセッション終盤に突然首や左肩などに原因不明の激痛を訴え、腕や手に力が入らなくなった事から、すぐにバイクを降りてクリニカ・モバイルで検査を受けている。

なお、メランドリはアメリカGPの予選で激しく転倒しており、その際に左足首の骨にひびが入り今でも痛みが大きく残るとしているが、今週月曜日に行われたレース出場にむけての医療検診には合格しており、足の怪我についてはレースへの影響は特に心配されていない。
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午前中のクリニカ・モバイルの治療によりメランドリの首や肩の激痛は回復に向かったようだが、午後にはまだバイクに乗れる状態ではなかった事から、結局メランドリは初日のフリー・プラクティス2は欠場しており、翌日の朝に様子を見てから2日目のセッションには復帰したいとしている。


■チェコGP初日のフリー・プラクティス総合順位

以下に、チェコGPにおける初日の2回のフリー・プラクティスの総合タイムと順位を示す。
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1) シルバン・ギュントーリ FRA ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分58秒362
2) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP7 1分58秒568
3) ジョン・ホプキンス USA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分58秒868
4) ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP7 1分58秒969
5) ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分59秒064
6) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分59秒176
7) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分59秒266
8) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分59秒466
9) 玉田誠 JPN ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分59秒494
10) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分59秒508
11) アレックス・バロス BRA プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 1分59秒738
12) カルロス・チェカ SPA ホンダ・LCR RC212V 1分59秒857
13) コーリン・エドワーズ USA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 2分00秒001
14) トニ・エリアス SPA ホンダ・グレッシーニ RC212V 2分00秒271
15) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分00秒398
16) 中野真矢 JPN コニカミノルタ・ホンダ RC212V 2分00秒793
17) マルコ・メランドリ ITA ホンダ・グレッシーニ RC212V 2分01秒318
18) カーチス・ロバーツ USA チーム・ロバーツ KR212V 2分01秒725
19) イバン・シルバ SPA プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 2分01秒854


ブルノのサーキットレコード(990cc)は2006年にロリス・カピロッシが記録した1分58秒157、ベストラップレコード(990cc)は2006 年にバレンティーノ・ロッシが記録した1分56秒191。トップスピード記録は2004年にマックス・ビアッジが記録した311.239km/h。


■新型パーツの検証に慌ただしい各チーム

各ワークス勢が毎年新しいパーツを持ち込む事でも知られる夏休み明けのチェコGPだが、今年も多くのチームが初めて現場で試すパーツ類の検証に時間を費やしており、忙しい1日目を過ごしたようだ。

■ヤマハはロッシのマシンでエンジンやフェアリングを検証
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フィアット・ヤマハチームは、スズキとカワサキに続きニューマチック・バルブの採用が噂される新仕様エンジンのマッピング調整、新しいフェアリングなどを今回の初日にテストしており、日曜日のレースでの使用が有効かどうかをロッシのマシンで検証している。

■トップスピードにさらなる改善が見られるカワサキ
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カワサキは新型シャシーと新型クラッチ、および回転域の上限を増やした改良型エンジンのテストを行って良好な結果をランディー・ド・ピュニエが初日から得た様子だ。


■ドイツGP以降の新型パーツが全てに行き渡ったホンダ勢
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ホンダは内容は明かしていないものの、各種新型パーツのテストをレプソル・ホンダ勢が実施している。また、ホンダのサテライト勢は、グレッシーニ・ホンダ、ホンダLCR、コニカミノルタ・ホンダの全3チームが、ドイツ以降にマルコ・メランドリが使用していた新型シャシーと新型エンジン、ならびに排気系システムをHRCから提供されている。

■一気に新パーツが整い、調整に時間が欲しいコニカミノルタ
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なお、新型パーツ各種が今回のブルノで一気に揃ったばかりのコニカミノルタ・ホンダチームは、初日だけではセッティングの方向性がつかみ切れておらず、今後も検証作業を続けながら調整を進める模様だ。「日曜日のレースに向けての短時間勝負」だとチーム・オーナーのジャンルカ・モンティロンは語っている。


■来年もリズラブルーに彩られるスズキは合同テストから新エンジン
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たばこの巻紙ブランドであるリズラとの2008年度のスポンサー契約更新をチェコGP初日に発表しているスズキは、今回のチェコのレースウイーク中は開発が進む新型エンジンの投入は行っておらず、日曜日のレース翌日から2日間の日程で開催されるチェコ合同テストから実地テストを開始する予定だと、イギリスのロードレース誌であるMCN(www.motorcyclenews.com)は報じている。


■初日の総合トップはダンロップの予選タイヤを装着したギュントーリ

この日のトップタイムは、今年のタイヤ・レギュレーションの影響を一切受けないダンロップタイヤを履くTECH3ヤマハチームのシルバン・ギュントーリが記録している。
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■レースタイヤでのトップは今回もストーナー

なお、ギュントーリは午後のフリー・プラクティス2終盤には予選タイヤを装着しているが、ギュントーリのレースタイヤでのタイムは今回の自己ベストよりも約2秒落ちる事から、初日のレースタイヤでの順位という観点にのみ絞れば、今回もトップタイムはドゥカティーのケーシー・ストーナーが記録している。
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■低温路面ではブリヂストンがレースタイヤにおけるトップ4を独占

ケーシー・ストーナーからランディー・ド・ピュニエまでの4名は全員がブリヂストン・ユーザーであり、今年もブルノでもブリヂストンの仕上がりは高そうだが、初日は路面温度が各チームの予想を大きく下回っている事から、好天が予想され、路面温度とグリップレベルの上昇が期待される2日目以降のタイヤ勢力図にも注意が必要だろう。


■ドゥカティー勢は初日のレースタイヤでの総合トップと3番手

レースタイヤでのこの日の総合トップタイムとなる1分58秒568をケーシー・ストーナー、レースタイヤでの総合3番手タイムとなる1分58秒969を昨年のブルノの覇者であるロリス・カピロッシが記録するなど、ブルノを得意とするドゥカティーは今回も好調だ。
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■ストーナー「今回も高いレベルで戦えそう」

「またこのバイクの乗れて嬉しいです。しばらく乗ってなかったので午前中は少し奇妙な感覚がありましたが、でもすぐに慣れました。」とストーナー

「コースとタイヤ、それにバイクの全てが自分にとっては好感触でしたから、また元通りに戻ってこれてすごく満足です。今回もすごく高いレベルで戦えそうですしね。」
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「やはりここは走っていてとても楽しめるサーキットです、ただ、路面については今日の段階ではあまりいい感触がありません。多くの区間でシートから投げ出されそうになる場所がありますので、この点についてはもう少しトラクションが得られるようにしたいですね。かなり横滑りが激しいんです。」

「コーナーの出口でタイムをロスしているので、もう少しコーナリングがしやすくなるようにマシンを調整する必要もまだあります。」

■カピロッシ「馬力の必要なブルノでは標準エンジンを使用」

写真「午前中に効率よく仕事ができたので今日は満足ですね。」とカピロッシ。

「午後は色々調整しましたがそれもうまくいきましたので、多くの周回を1分59秒5のペースで走り続ける事ができました。一番いいペースで走っていた最後の周回は自分より遅いペースで走っていた中野につかまってしまいましたが、あれがなければもっと速く走れてと思います。いずれにしてもいいレースウイークになりそうな雰囲気ですよ。」

「ここではエンジン出力が重要なので、今回は標準仕様のエンジンを使っています。シャシーのセッティングはザクセンリンクの時に感触が良かったものを流用しました。」

「ピットの雰囲気はすごくいいですよ。すごく作業に集中できますし、シーズン後半に期待が持てる事を改めて確認しました。かなり満足です。」


■日曜日のレースに高い期待を示すリズラ・スズキ

写真タイトル・スポンサーであるリズラとの来期契約が完了したスズキ勢は、初日はジョン・ホプキンスがレースタイヤでのトップタイムを争い、レースタイヤでは2番手、総合では3番手タイムとなる1分58秒868を記録するなど、シーズン後半戦に向けて好調なスタートを切っている。ホプキンスは「シーズン後半戦のうちにまだ何回も表彰台に乗っておきたい」と、今回のレースウイーク直前にコメントしており、当然ブルノでも表彰台を狙っている様子だ。

また、アメリカで2位表彰台を獲得した直後にスズキとの来期契約を済ませたクリス・バーミューレンは、これで後半戦はレースに集中できるとして、ブルノに向けても高い意欲を示した。

リズラ・スズキのチーム・監督であるポール・デニングは「今日のジョンのタイムは日曜日に向けてチームの励みになりますね。クリスについては一部の区間のタイムロスを自分で解消する筈ですし、セッティングの改善点もすでに分かっています。リズラとの契約更新を日曜日のレースの結果と合わせてダブルに祝えるといいですね」と、日曜日に向けての高い期待を示すコメントを残している。

■ホプキンス「ラグナが終わった時からブルノが待ちきれなかった」

「今日は本当に調子が良かったですね。それに夏休みの後にまたバイクに乗れて最高でした。」とホプキンス。
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「先月のラグナでレースが終わった瞬間から、すぐにレース活動に戻りたくて今回のブルノが待ちきれませんでした!」

「今日はすぐに感触がつかめたのでブルノを本当に楽しめています。ここは16歳の時にテストで走っていましたから、自分にとってはグランプリ用バイクで一番長い時間走っているサーキットなんです。」
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「今日は頑張りました。チーフ・クルーのスチュアート・シェントンが最初からすぐにいいセッティングを用意してくれたので、自分は走りにのみ集中すればいい状態でした。ブリヂストンとは日曜日のレースに向けて一番いいタイヤ探しを行い、あとはバイクに微調整を何回か加えたくらいですね。」

「明日に向けてのアイデアもすでにありますので、さらにタイムは変わってくると思いますが、今の状態でも満足はできていますからレースが楽しみですね。」

■バーミューレン「ラグナの結果が大きな自信につながった」

「ブルノは自分にとってはあまり走行経験のないサーキットですが、去年もすごく楽しんで走れましたし、今日も走りだした途端に好感触が得られています。」とバーミューレン。
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「ラグナ以降、今でも自分の自信は大きいままですし、チームは今日も最初からいい状態のバイクを用意してくれました。セッティングをほんの少し調整しただけですが、かなり安定してタイムを刻む事ができています。」

「あと今の状態から0.5秒は縮めなければいけないと思っていますが、明日は大丈夫だと思いますし、いい調子で日曜日のレースには挑めそうです。」


■初日から上位につけるカワサキの新マシン

夏休みにさらなるトップエンドパワーの改善が進んだカワサキNinja ZX-RRに乗るランディー・ドピュニエは、初日からマシンには好感触が得られたとしており、総合5番手タイムとなる1分59秒064を記録している。

なお、チームメイトのアンソニー・ウエストはこの日は低温路面からくるグリップ不足に苦しみ順位は15番手と低迷気味だが、2日目以降は着実に順位を上げていく構えだ。
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■松田プロジェクトリーダー「初日から好感触」

エンジン設計などを担当するカワサキのMotoGPプロジェクトリーダーである松田義基氏は、今回から投入した新マシンの1日目の検証結果を以下の通りコメントしている。

「私たちの開発プログラムは夏季の休暇中にも続きましたが、結果を見る限りさらに使える回転数の幅が広がり、トップエンドのパワーがさらに得られるようになっています。」と松田プロジェクト・リーダー。
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「さらに、シャシーと同様に今週から導入したクラッチは新開発のものであり、いいセッティングが見つかってからのランディーはその効果を十分に見せてくれました。」

「今日のアンソニーは少し苦しんでいましたが、MotoGPバイクでここを走るのは彼にとって今回が初めてですからね。それにチームは彼のセッティングを明日にどう改善していけばいいのか把握していますから、明日は調子が上がる筈です。」

「ブルノのレースに向けてという意味だけではなく、シーズン後半戦の最初という意味でも、いいスタートが切れたと思います。」

■ド・ピュニエ「バイクには満足」

「長い休みの後ですから、ここに戻ってこれてすごく嬉しいです。」とド・ピュニエ。
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「午前は路面の一部が濡れていて他が乾いているという変な状態でした。午後にもあまり路面温度は上がっていません。」

「今日はタイヤとサスペンションまわりの作業を集中的に行いました。バイクの状態には満足です。8周から9周くらいのロングランを行いましたが、安定して速いタイムを出す事ができています。」

「ただ、もう少し速く走れるようにしないといけないでしょうね。タイムをさらに上げられるような解決策を夕方には見つけて、今の調子を明日のプラクティスでも維持できるようにしたいと思います。」

■ウエスト「まだ多くの作業が必要」

「今日はバイクからいい感触を得る事ができていません。」とウエスト。
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「理由はいくつかあります。今日は路面温度が8月のブルノとしては低かったので、リアのトラクションにいくつか問題を抱えました。明日になって路面温度が上がった時には、この問題が解消して欲しいですね。」

「2時間のセッションを通してセッティングの改善を進める事はできました。まだ多くの作業は必要ですが、最後の10分間にかなり感触が改善できています。全体的に見ればあまり速く走れない1日でしたが、明日はタイムが上げられると思います。」

「セッティングの調整をこのまま続けて、いくつかの区間での自分のライン取りを見直していきたいです。これが順調に進めば今日よりもいい順位が確保できると思いますよ。」


■馬力が欲しいフィアット・ヤマハ

馬力がレースに重要となるブルノに向けて、エンジンまわりのパーツ投入やフェアリングの空力特性の改善に取り組むフィアット・ヤマハチームは、午前中にはバレンティーノ・ロッシが4番手、コーリン・エドワーズが5番手につけるなど好調なスタートを見せている。
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午後にロッシはヤマハの新しい試みを忙しく試しながらも総合6番手につけたが、エドワーズはリアのグリップ不足が解消できずに総合13番手に順位を落とした。

■ブリビオ監督「新パーツの検証を進めてレースでの有効性を確認したい」

フィアット・ヤマハのチーム監督であるダビデ・ブリビオは、日曜日のレースに向けて新しいパーツの検証およびセッティング作業を急ぎたいとしている。

「金曜日はいつもそうですがやる事が山盛りですね。」とブリビオ。

「今朝はバレンティーノと一緒に新しいパーツをいくらか試し、今は日曜日に向けてそれらのセッティングを最高の状態に近づけようとしているところです。」

「エドワーズは彼本来の走りができるようにタイヤの問題を解決するのに、まだいくらか作業が必要です。」
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「明日の2時間のセッションを使って最大限に頑張り、ここに持ち込んだ新しいパーツの検証をさらに進めて、それれが日曜日のレースに有効かどうかを見極めたいと思います。」

■ロッシ「もっと速く走れなきゃいけない」

「今日はまあまあと言える1日目でしたね。いつもの金曜日の作業と同じように、終日の大半をM1のセッティングに費やしました。」とロッシ。
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「午前の調子は良かったです。それから午後には改善が進み、興味深い点もいくつか見つかっていますから、それが明日と日曜日の結果につながってくると思います。まだ大きくタイムを縮めていく必要はありますが、もっと速く走れる筈ですし、そうしなきゃいけませんからね!」

写真「タイヤに関しては、ここではフロントタイヤの調子がすごくいいみたいです。ただ、現時点においては加速時のリアタイヤに問題を抱えていて、数周を走り込むとグリップが低下し、スロットルを開けると大きくバイクが滑り出します。今日は一日をかけてこの問題の解決に取り組み、トラクション・コントロールの調整値に若干の変更を加えるなどの対策を行いました。このおかげで最後の10分くらいのところで状況はだいぶ良くなっています。」

「セッティングに関しては、エンジン・マッピングの調整に取り組みましたが、もう少しコーナーの進入で自信が持てるようなエンジン・ブレーキの調整をいくつかのコーナーに向けて行う必要がまだあります。」

「他にも今日は色々な新しい事を試しています。その1つとしてはムジェロで使ったフェアリング(カウル)の改良版を使用していますが、確かに少し効果があるようです。非常に微細な効果にすぎませんけどね。今日はここに持ち込んだ新しいパーツ類をとにかくたくさん試してみました。明日も同じ流れで作業を続けていけば、日曜日にはいい結果が得られると思います。」

「レースタイヤの耐久性向上に関する作業にもミシュランと一緒に集中しました。いつもと同様に、日曜日のレースではこの点が重要になりますからね。今日は路面がすごく滑りやすくて難しい状況だったので、明日はもっと天気が良くなって欲しいです。」

■エドワーズ「レースに使えそうなタイヤがまだ見つからない」

「今日の大きな問題は、基本的にグリップがあまり得られなかった事です。」とエドワーズ。
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「今回使える全てのタイヤを使って何度も試しましたが、思い通りにバイクを扱えるようにする解決策は見つかっていません。今の段階ではレースで使えそうなものは全く見つかっていませんので、明日はこの問題の解消に作業を集中するつもりですし、もっとコーナリングが楽にできるように十分なトラクションを得られるようにしたいと思います。」

「午後には少しだけタイムは良くなりましたが、他のライダー全員がさらに大きくタイムを縮めてきてしまいましたからね!かなり焦りますが、チームは信頼できるので明日には取り返せる筈ですよ。」


■2日目以降に自信を示すレプソル・ホンダ
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ホンダ勢のトップは、レプソル・ホンダのダニ・ペドロサが記録した総合7番手タイムの1分59秒266だった。チームメイトのニッキー・ヘイデンはペドロサに次ぐ総合8番手タイムの1分59秒466を記録している。2名はまだ揃って調整中といった状況のようだが、2日目以降に向けての自信は低くない様子だ。

■ペドロサ「800ccと990ccバイクの馬力の差を感じる」

「自分たちにとっては普通の金曜日の作業といった感じでした。いつも通りセッティング作業とタイヤ選びに集中しました。」とペドロサ。
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「午後には午前のタイムを大きく縮められたので期待が持てますし、明日はさらにいいタイムが出せると思います。」

「気象条件が自分たちが思っていたほどにいい状態ではなかったです。もう少し温かくなると思っていましたからね。その影響で期待したほどのグリップが今は得られていません。明日は気温が上昇するのを確認してから、残りのタイヤの選択作業とバイクのセッティングを続けるつもりです。」

「ここでは800ccバイクと990ccバイクの違いを大きく感じますね。特に上り坂のストレートでパワーがだいぶ異なります。ラップタイムに関しては800ccでも速いですけどね。」

■ヘイデン「確実にタイムは上げていける」
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「ブルノは夏休みの後にペースを取り戻すにはいい場所だと思います。」とヘイデン。

「午前と比較して午後にはかなりタイムを上げることができました。フリー・プラクティス2ではかなり速く走れましたね。ただ、路面が乾いてからは他のライダーも速くなりましたし、自分としてもまだ希望通りのペースには到達できていません。」
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「今週は色々な新しい事を試しています。まだ改善の余地は大きくありますが、今晩にみんなで議論に集中すれば、確実にタイムはこれから上げていける筈です。」

「間違いなくここでもタイヤが重要ですね。まだ試していないタイヤがたくさん残っていますので、明日はその作業に集中します。」


■プラマック・ダンティーン、バロスの右手は完治

この日の総合11番手につけたプラマック・ダンティーンのアレックス・バロスは、今回のチェコGPで実際に走ってみて、ドイツで負傷した右手が完治している事を実感したようだ。
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また、アメリカGPで負傷した左手がまだ完治しないアレックス・ホフマンに代わり、今回のチェコではスペイン選手権のライダーであるイバン・シルバがその代役ライダーを務めている。シルバの初日の順位は最後尾となる総合19番手だった。

■バロス「正しい方向性はつかんだ」

「夏休みを開けての最初の活動を今日から再開しましたが、実際に走ってみて、やっと右手が完治したと言えるようになりました。」とバロス。
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「今朝はいいタイムが出せる事に期待して作業を開始しましたが、グリップの面で少し問題を抱えてしまいました。ただ、今日はまだ1日目ですし、まだ挽回に必要な時間はたくさんありますので、特に心配はしていません。」

「実際、午後にはレースに向けてのペースをあげる事ができましたし、ラップタイムも縮まりました。これは自分たちが正しい方向に進んでいる証拠ですから、明日以降もこのまま作業を続けたいと思います。」

「今日はバイクのセッティングに集中しましたので、明日はブリヂストンのレースタイヤのテストに取り組む予定です。」

■シルバ「レースでの目標は最後尾にならない事」
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「去年にもアレックス・ホフマンの代役としてこのサーキットをMotoGPバイクで走りましたが、バイクがかなりあの時とは違いますね。ですから、今日はデスモセディチから正しい感触が得られるようにする作業を進めました。」とシルバ。

「いずれにしても、午後のプラクティスではかなり自信はつきました。メカニックの方々のアドバイスのおかげで2秒もタイムを削る事ができましたからね。今回の目標は完走する事だけではなく、最後尾よりも上の順位につける事ですから、明日はもっと速く走っていいタイムを出せるようにしたいです。」


■不満だったエンジンの出力特性が向上し満足のチェカ

今回のブルノより、ドイツとアメリカで使用した新型シャシーに加え、エンジンまわりにも新型パーツを提供されたホンダLCRのカルロス・チェカは、新しいマシンに好感触を得る事ができたようだ。前回のアメリカ以前に使用していた標準エンジンの出力の低さにはシーズン序盤から不満を述べ続けてきたチェカだが、今回のマシンのトップスピードと出力特性の向上にチェカは満足している。チェカのこの日の順位は総合12番手だった。
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■チェカ「JSBマシンからMotoGPマシンに頭を切り換えた」

「鈴鹿8耐ではスーパーバイクのファイアー・ブレード(CBR1000)に乗っていたので、今日の午前のフリー・プラクティスではMotoGPマシンの感覚を取り戻すのに時間を使いました。」とチェカ。

「今日の午後はかなり好感触が得られました。HRCから提供された新しい排気システムと最新仕様のエンジンは回転数が良く伸びますし、低速域のレスポンスとトップスピードの両面がかなり改善されています。」

「これからは予選とレースに向けて、シャシーとタイヤのセッティングに作業を集中しますが、今はまだマシンを最大限に傾けた時にはフロントまわりの感触が不足している感じです。」


■早期復帰を遂げたエリアスと突然の痛みに苦しむメランドリ

オランダGPでの大腿骨骨折から、僅か51日間のリハビリを経て現場に復帰したグレッシーニ・ホンダのトニ・エリアスは、初めて経験する新仕様のホンダRC212Vに好感触を示しており、まだ足に痛みはあるものの、2日目以降が楽しみだとしている。エリアスの復帰1日目の順位は総合14番手。
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また、アメリカGPの予選で左足を激しくひねり、レースに出場して表彰台を獲得した後に骨のひびが検出されたという、痛みへの我慢強さには常に定評のあるマルコ・メランドリだが、この日の午前中は走行中に突然首と左肩の激しい痛みに見舞われており、午後のセッションへの出場はキャンセルした。

メランドリの首と肩の痛みはクリニカ・モバイルの治療により緩和されており、本人は翌日以降のセッションには参加したいとしている。

■エリアス「今日は激しく攻めて走らなかった」

「またチームと一緒にサーキットに戻ってこれて本当に嬉しいです。」とエリアス。
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「アッセンで事故にあった直後に復帰目標をブルノに設定していました。それからは1日7時間から8時間のトレーニングを頑張ってこなし、今日のために備えてきました。体調はとても100%とはいえません。せいぜい60%といったところですが、意欲はものすごく高いですよ。」

「今回は自分自身のテストみたいな感じですね。今日は午前も午後もあまり激しく攻めてはいませんが、それでも予想よりだいぶ速く走れました。このサーキットは方向転換が激しく体力的には厳しいコースですから足はすごく痛みますので、マシンに乗る時は内側に特殊なプロテクター、外側にはカーボンを装着しています。」

「新しいシャシーと排気システム、それにいくらか改良が進んだエンジンを搭載した新しいマシンにも慣れる事ができましたので、残りのレースウイークが楽しみです。これでブルノからバイクに復帰するというまず最初のバトルには勝ちました。」

■メランドリ「明日には治って欲しい」

「午前にバイクで走り始めた時には自信があったんです。」とメランドリ。
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「特に左側の足がかなり痛むので慎重に走っていたんですが、突然首と左肩が激痛に見舞われ、腕と手のひらに全く力が入らなくなりました。」

「それでピットに戻り、すぐにクリニカ・モバイルで診てもらいました。午後にバイクに乗る事はできませんでしたが、先生たちのおかげで症状はだいぶ良くなりました。明日には治って欲しいですね。」


■新型マシンの理解を急ぐコニカミノルタ・ホンダ

今回のブルノからは、他のホンダ・サテライト勢と同じく新型シャシーとエンジンまわりの新しいパーツ類を搭載した改良型RC212Vを手にしたコニカミノルタ・ホンダ・チームだが、初日の2時間という限られた時間だけではマシンのセッティングが思うようには進まなかった様子だ。
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この日はフロントとリアのバランスが得られず、以前と同様のチャタリングも再発した事から、中野選手は今回も激しく攻めて走る事ができていないという。しかしながら、エンジン特性がスムーズになった事に中野選手は好感触を示しており、作業をこのまま着実に進めていきたいとしている。

■チームオーナー:ジャンルカ・モンティロン「まだ時間が必要」

「新しいバイクの特性を理解するのにはもっと時間が必要です。今日の作業は2時間だけですから、今回から提供された全ての新しいパーツをチームが理解するのには十分な時間とは言えません。」とモンティロン。
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「今の段階においては以前と比べてあまり状況が変わったとは言えませんし、シンヤ(中野選手)もまだ激しく攻めて走る事ができていませんが、まだ新しいマシンを受け取ったばかりですので、このままセッティングの変更を進めていけば、シンヤのラップタイムは上がっていきます。」

「全体的にマシンの印象が良くなりましたが、新しいパッケージの性能を完全に引き出せるようにするには時間がかかります。」

「タイヤの選択が重要になりそうですね。ラグナの時と同じように、今回も期待したほどに温度が上がりませんでしたから、日曜日に向けて最適なタイヤを見つけておく事が大切でしょう。」

■中野選手「データの収集ができたのは有益」

「今日は新しいバイクの調整するのにチームはものすごく忙しい1日を過ごしました。」と中野選手。
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「自分の第1印象はすごくいいですよ。今度のバイクは加速とブレーキングの両面ですごくスムーズです。ただ、何周かはいい感触で走れていたんですが、残念ながらその後にチャタリングが再発してしまいました。この問題の解決にはすでに取り組んではいますが、今のところ打開策が見つかっていません。」

「今回からは新しいバイクですので、チームは多くの以前とは全く異なる新しい事をこれから試す事になりますが、まず今日の段階で重要だったのは多くのデータを収集できた事だと思います。」

「今までの標準仕様のバイクと比べてマシンの性能はより高くなっていますから、着実に順を追って取り組んでいく必要があります。」

■技術責任者:ジュリオ・ベルナルデッレ「確実に性能の上がったRC212V」

「今日は本当にものすごく忙しい1日でした。」とベルナルデッレ。
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「新しいマシンは標準仕様のマシンよりもかなり性能が高くなっている事が分かったので、結局今回は古いマシンと交互に検証する計画は取りやめ、2台のマシンの両方に新しいパーツを装着する事にしましたが、この結果、新しいホンダのRC212Vを理解しながら最良のセッティングを見つける作業は大変に忙しくなりました。」

「シンヤの感想は、バイク全体の特性が以前よりもスムーズになり乗りやすくはなったが、フロントとリアのバランスがまだあまり完璧とは言えないとの事でしたので、明日はサスペンションの調整を行う予定です。」

「まだシンヤにとっては希望通りの速度でコーナリングするのが難しいセッティング状態なので、フロントのサスペンション調整が重要になりそうです。新しいマシンはセッティングの調整幅が広くなったので、より多くの可能性を秘めています。」

「今日は前回のラグナ・セカと同様に、気温がいつものこの時期のブルノよりも低かったのですが、明日はもっと暑くなる筈です。」


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