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ロッシに脱税疑惑、181億円の支払い命令?
インテリマーク編集部
2007年8月13日

打倒ケーシー・ストーナーを狙い、4週間の夏休みを終えた今週末のブルノから始まるチェコGPに心機一転して挑みたかった現在ランキング2位のバレンティーノ・ロッシだが、今年の夏休みはリラックスして過ごすには精神的に厳し過ぎる状況が続いている様子だ。この夏休みの後半、バレンティーノ・ロッシがイタリア国税局から深刻な内容の通知を受けた事を、イタリアの各メディアは一斉に伝えた。

■約97億円の所得申告漏れと約181億円の支払い命令?

バレンティーノ・ロッシの所得隠しと脱税疑惑を調査してきたイタリアの国税局は、ロッシがイギリスのロンドンに住所を移した最初の年の2000年から2004年までの間の所得額に6千万ユーロ(約97億円)の申告漏れの疑いがあるとしており、この疑惑が事実であった場合は、罰則として本来支払うべきだった5年間分の税総額であるの4千300万ユーロ(約70億円)に追徴課税分を加えた1億1千200万ユーロ(約181億4千万円)の支払いに応じるよう、8月3日にロッシ側に提示しており、ロッシはこの件に関する事情聴取には応じる構えを見せている。


■母国での高すぎる人気から英国に移り住んだ2000年からの疑惑

バレンティーノ・ロッシが母国のイタリアでは普通の生活ができないほどに人気が高くなった事などを理由に、イタリアを離れてイギリスに7年間移り住んでいる事はMotoGPファンには周知の事実だが、イタリア国税局は、このイギリスに住所を移した理由には脱税目的もあるのではないかと、ロッシ周辺の調査を続けてきたという。

■本来ならロッシから税収が得られないイタリア国税局

日本やイタリアに限らず一般的な国家では、ある国民が1年以上の期間を外国で生活し、その収入源が外国にある場合、すなわち給与の源泉が母国にないとみなされる場合には、その年度の税金は生活ならびに生産の拠点となる外国側に支払う事が法で定められている。

2000年にロッシはロンドンに移り住むと同時に、スポンサー収入などを一手に管理する個人のマネージメント会社をイギリスに設立している。すなわち、イタリア企業のスポンサーと言えどもイギリスのその会社を経由して全ての支払いが行われるため、イギリス在住のロッシがイギリスに所有する自分の会社から給与を得ている以上、納税義務が発生するのはイタリアよりも税金の安いイギリス側になる訳だ。

では、ロッシからの税収が本来得られない筈のイタリア国税局が、今回なぜロッシの脱税疑惑を追求しているのだろうか。


■イタリア当局の言い分「ロッシの活動拠点はイタリア」

世界で一般的とされるこの税制に従う以上、イタリア政府はイタリア人であるロッシからの莫大な税収入を得られなくても全く不満を述べる術がないわけだが、今回イタリアの国税局が目につけているのはロッシの活動拠点が本当にイギリスにあるのかどうかという点だ。イタリアの国税局は以下のいくつかの理由から、ロッシの事実上の生活拠点はイタリア国内にあるのではと見て調査をしている。

■資産の数々は現在でもイタリアに

まず第1に、ロッシの多くの資産が今でもイタリアにあり、それらがイタリア国内でのみ使用されているという点だ。今回大きく取りざたされているのがロッシ本人と家族が所有している8台の乗用車(2台のポルシェ、BMWのM5とM3、ミニ・クーパー、三菱製の乗用車、ベンツのミニバスであるメルセデス・スプリンター、フィアットのキャンピング・カーであるフィアット・マグナム)であり、ロッシ個人の名義のものから家族名義のものまで様々だが、これらの自動車保険や車両登録の手続きは全てロッシの実家がある地方自治体で行われており、イタリア国内での使用が前提にあると国税局は見ている。

自動車の他には、豪邸と称される実家およびミラノにある住居などの国内不動産、ならびにヨットなどの船舶もロッシはイタリア側に所有している。

■頻繁なイタリアへの帰国と専用ジェットの存在

さらに国税局が睨む第2の点は、ロッシのイタリアに帰国する回数があまりに多い事だ。イタリアのスポーツ紙であるガゼッタ・スポーツによれば、ロッシはイタリアの実家近くの空港に専用ジェットをリースする形で確保しており、通常では帰国が不可能な短期間の休暇でも頻繁にイタリアに戻っている事が目撃されていることから、この点も、ロッシが生活の拠点を現在でもイタリア側に置いていると国税局側が主張する根拠の1つだと報じている。


■活動拠点以外にイタリア国税局が指摘する申告漏れ

上記の生活拠点に関する納税トラブルは、日本を含めどの国でも外国を拠点に活動しているスポーツ選手などの著名人にとっては珍しくない話だが、今回ロッシにかけられている疑惑の中で最も深刻なのはこの部分だけではなく、2000年から2004年の間にロッシが高額の所得申告漏れを犯しているのではないかという点だ。

■ロッシのイギリスでの所得申告額

ロッシがイギリスで経営する会社を通して得た所得分の2001年から3年間の申告実績は、2001年が82万5千ユーロ(約1億3千万円)、2002年が100万ユーロ(約1億6千万円)、2003年が65万ユーロ(約1億円)となっているが、今回イタリア国税局がロッシの申告漏れとして別に提示した金額は、各年度においてこれらを大幅に上回っている。

■イタリア国税局が今回ロッシに追求する申告漏れ金額

8月3日にイタリア国税局からロッシに通知された内容によれば、ロッシの総所得額は2000年は604万4千ユーロ(約9億8千万円)、2001年は726万2千ユーロ(約11億8千万円)、2002年は1千266万2千ユーロ(約20億5千万円)、2003年は1千216万1千ユーロ(約19億7千万円)、2004年は2千81万9千ユーロ(約33億7千万円)に達しているという。


■5年間の未納税額内訳

この国税局が計算した所得総額に基づき、2000年からの5年間の各年度につきイタリア側がロッシに対して今回提示した滞納分の税額は、イタリアのTgcomが報じたところによると、追徴課税を抜きにすると下記の通りとなる。

・2000年度分については個人所得税が280万ユーロ(約4億5千万円)、法人税が25万6千ユーロ(約4千万円)、国税に位置づけられる付加価値税が120万ユーロ(約1億9千万円)。

・2001年度分については個人所得税が336万ユーロ(5億4千万円)、法人税が37万4千ユーロ(約6千万円)、付加価値税が145万ユーロ(約2億3千万円)。

・2002年度分については個人所得税が625万ユーロ(約10億円)、法人税が65万2千ユーロ(1億円)、付加価値税が253万ユーロ(約4億円)。

・2003年度分については個人所得税が600万ユーロ(約9億7千万円)、法人税が62万6千ユーロ(約1億円)、付加価値税が240万ユーロ(約3億9千万円)。

・2004年度分については個人所得税が1千29万ユーロ(約16億7千万円)、法人税が107万ユーロ(約1億7千万円)、付加価値税が416万ユーロ(約6億7千万円)。

■追徴課税を加え181億円をロッシに請求

これら5年間の未納税額を合計すると、総額は約4千3百万ユーロ(約69億6千万円)となる。これにイタリア国税局がロッシに対して「所得隠しと虚偽申告」の名目、すなわち脱税の罰則金として課した6千9百万ユーロ(約111億8千万円)の追徴課税を加えると、合計は1億1千200万ユーロ(約181億4千万円)となり、国税局の訴えをそのまま認める場合、ロッシはこの膨大な金額をイタリア側に支払う事になる。


■ヤマハはノーコメント、ロッシは声明を発表

現在バレンティーノ・ロッシが所属するヤマハは、ロッシのマネージメント会社との連絡がつかない事などを理由にコメントを拒否しているが、ロッシ本人はイタリアの通信社であるANSAを通じて以下の声明を発表している。

「現在は国税局が調査中だが、自分のコンサルタントもこの問題について検証している。世界中の誰もが自分は2000年からロンドンに住んでいる事は知っており、周知の事実となっている筈。休日に家族や友人に会いにイタリアに戻る事だって当然ある。」とロッシ。

■厳しい状況に追い込まれるロッシ

なお、ロッシは国税局の調査に応じているため、特に刑事責任を問われるような問題には発展しないとの事だが、話し合いの場を設けて言い分を述べるか、そのまま支払いに応じるか、場合によっては法廷闘争など、近々何らかの対策を講じる必要に迫られる事は間違いないようだ。


■カピロッシにも同様の疑惑をかけるイタリア国税局

ちなみにバレンティーノ・ロッシと同郷のイタリア人ライダーであるロリス・カピロッシも、ロッシと同様にイタリア国税局から脱税疑惑をもたれており、現在も双方の主張の食い違いから論争の真っ最中だ。

現在ドゥカティーのライダーであるロリス・カピロッシは、モナコに移住した1995年から2000年にかけて1200万ユーロ(19億4千万円)の所得申告と納税がされていない事と、2001年と2002年の所得の申告額が130万ユーロ(2億1千万円)不足している事などを、過去にさかのぼって国税局から訴えられている。

■イタリア国税局の主張に反論を続けるカピロッシ

この件に関してカピロッシ側は、1995年から2000年の所得は900万ユーロ(14億6千万円)である事と、現在の本人の活動拠点は、友人が多く住んでおり今年は第一子(長男)の誕生地にもなったモンテカルロ以外にはなく、イタリアに戻るのはドゥカティーとのミーティング目的か母親に会う時くらいであり、イタリア国税局がカピロッシの財産に対して所有権を公使できる部分は何もない事を主張している。


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