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MotoGP第6戦ムジェロ、地元ワンツー勝利を画策するドゥカティー
インテリマーク編集部
2007年5月31日

MotoGPシーズンは開幕からその全体のほぼ3分の1が経過し、1ヶ月の間に4回のグランプリが開催される忙しい6月に突入する。今年の慌ただしい6月のスケジュールの最初のグランプリは、多くのチームがその本拠地を持つイタリアだ。
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ここでは、今週から開催されるMotoGP第6戦イタリアGPの舞台、エンツォ・フェラーリが深い愛情を注いだムジェロサーキットの特徴や歴史および最新の改修内容、ならびに地元イタリアでのワンツーフィニッシュを狙うドゥカティーの戦略や、昨年のレース内容などを紹介する。

■今年も地元ファンが待ちこがれたムジェロ
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今年はミサノサーキットが9月のMotoGPカレンダーに復帰した事もあり、イタリア地区(ミサノは周辺をイタリアに囲まれたサンマリノ共和国)でレースが行われるのは年間に2回となったが、6月1日から開催されるイタリアGPの舞台となるムジェロ・サーキットは毎年スペインGPと負けず劣らずの熱狂的なファンが訪れる事で知られており、今週末も現地は例年と変わらぬお祭りのようなイベントとなりそうだ。
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■昨年はドゥカティーの80周年で盛り上がったイタリアGP
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写真昨年はドゥカティー社創立80周年の年という事もあり、決勝当日のドゥカティーのマシンは通常のマルボロカラーではなく、70年代当時のレーサーをモチーフとしたスペシャルカラーに彩られたり、スズキワークスのスポンサーであるのリズラは、同社の製品であるたばこの巻紙で作られたドレスを身にまとったリズラガールズをグリッドに投入するなど、白熱のレース以外にパドックでの話題も豊富なグランプリだった。

この年は決勝当日に8万9千人の熱心なファンが現地で声援を送ったが、今年もすでにムジェロ・サーキットの観戦チケットはほぼ完売しており、運良く現地入りできたとしても、残るは芝生の上の自由席だけだという。



■美しい景観に囲まれたMotoGPきってのテクニカルサーキット

6月1日から開催され、決勝日を6月3日の日曜日に控えるイタリアGPの舞台となる全長5,245メートルのムジェロ・サーキットは、イタリアのフローレンス市から約2キロメートル北の距離にあるトスカナの街の渓谷に囲まれた田園地帯に位置している。
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美しい田園風景に囲まれたこのサーキットは、自然の渓谷の地形をそのまま活用し、1,141メートルを誇るホームストレートは渓谷の真ん中のほぼ一番低いところに位置している。また、その周辺にはいくつものテクニカルな高速S字コーナーが渓谷の丘に沿って敷かれており、コース内の高低差は41メートルと大きく、超高速でテクニカル、且つ上り下りの激しいコースレイアウトとしても有名だ。


■コースの特徴

ムジェロのコースレイアウトを見て最初に目にとまるのが、サーキット中央に位置する1,141メートルのロングストレートだ。なお、このストレートは本当の意味でのストレート(真っすぐ)ではなく、1コーナー付近の終端部分は丘を下る形となっており、微妙に折れ曲がっている。
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■トップスピードは上海以上?

ちなみに今回のMotoGPカレンダー内での最長ストレートを誇る上海よりは若干短いストレートだが、チームにより見解は異なるものの、多くの技術者はムジェロの方が800ccマシンではトップスピードが上がるだろうと予測している(ストーナーが上海で記録したトップスピードは時速337.5キロ)。
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この理由は、上海は低速ギアでバックストレートに進入し、トップスピードに至るまでは長い加速時間が必要だったが、今回のムジェロの最終コーナーは大変な高速カーブであり、スピードに乗った状態でメインストレートに進入してからは6速ギアに到達するまでの時間が短く、そこからさらに1コーナーに向けてスロットルを全開にして加速する時間が長いからだ。


■中野選手の破られないトップスピード記録

余談ではあるが、ムジェロのレースになると必ず世界中で引っ張り出されるのが2004年の中野選手の話題だ。
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2004年のイタリアGP以来、中野選手は未だに破られない記録を保持している。この記録とは、ムジェロの高速ロングストレートでタイヤのバーストによりマシンごと吹っ飛んだ中野選手のMotoGPバイクによる転倒時の速度だ。

ピット前でマシンと共に突然宙を舞い、コンクリートバリア直前まで転がって奇跡的に致命的な怪我を負わなかった中野選手の転倒時の速度は、時速280キロを超えていたと伝えられている。

この事故により、MotoGPへの新たなるチャレンジを開始していたブリヂストンはタイヤの耐久性に関する問題を深刻に受け止め、その次戦までには問題を完全に解決した新しいタイヤをレースに導入したが、あれから3年目の今年、ブリヂストンは開幕5戦中に4勝をあげるという快挙を成し遂げるに至っている。


■ストレート加速だけでは好タイムは望めないムジェロ

話をムジェロサーキットの特性に戻そう。

当然、カタールや上海の時と同様に、ムジェロのロングストレートでもドゥカティーのマシンがトップスピードで優位に立つ事は容易に予想できるが、ムジェロの特徴はこのロングストレートだけではない。
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9つの右コーナーと6つの左コーナーはどれもスムーズに流れるテクニカルなカーブであり、コース全体の大半を占める多くの高速コーナーでいかにアクセルとブレーキングのタイミングを逃さずに最良の走行ラインを選ぶかにより、ラップタイムは大きく違ってくる。

■カピロッシが最強か?

すなわち、マシンの操作に絶妙なタイミングが要求される多くのテクニカルサーキットと同様に、コースを熟知した地元ライダーが強さを発揮するサーキットと言える事と、ドゥカティー以外の各メーカーがエンジンパワーの改善をムジェロに向けて進めている事から、上海やカタールほどにストレートでの性能差に各チームが翻弄される事はないのかもしれないが、この結論は実際にレースの結果を見てみる他なさそうだ。
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この理屈からすれば、地元ライダーであり、かつドゥカティーに乗るロリス・カピロッシが最強の走りを見せる事になるが、この点も非常に興味深い部分だ。


■極めて高いセッティングの難易度、チームの総合力が勝負

なお、セッティングの面では、素早い方向転換を必要とするスリリングな高速コーナーが多い事から、精度の高いマシン調整能力が要求される。タイヤに関しては、舗装路面がフラットではなく若干がたついた表面となっており、それが逆バンクのコーナーや高低差の激しさと相まってグリップの難易度を増す事から、フロントタイヤの選択が重要になるという。
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いずれにしても、ライダーやマシン、メカニックやタイヤに多くのストレスがかかるサーキットのムジェロは、ライダーの技量やパッケージの基本性能、ならびにマシンのセッティング能力などが高いレベルで要求されるので、チームの総合力がない限り好成績の獲得は難しいだろう。


■ムジェロの歴史:伝統あるフェラーリサーキット
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ここではムジェロの歴史を簡単に紹介したい。ムジェロは他のヨーロッパの伝統あるサーキットと同じく、元もとは公道コースだった。初代のコースでは1914年に自動車レースが開催され、その当時は現在の10倍以上ある66キロメートルのロングコースを誇っていた。この当時の路面は砂利だらけだったという。
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■1921年にエンツォ・フェラーリがアルファロメオ・クラスで優勝

写真このオリジナルのロングコースで1921年にアルファロメオ・クラスで優勝したのは、イタリアの自動車メーカーであるフェラーリの創設者であり、人生をレースに注いだ事でも有名なエンツォ・フェラーリだった。後にフェラーリは何十年もの辛抱を経て、愛着のあるムジェロ・サーキットを入手する事になる。

ムジェロのコースは第一次大戦の勃発に伴い一時閉鎖されたが、フェラーリをはじめとするレース好きな自動車業界のリーダーたちにより再開され、終戦後の1929年には1000マイルレースの名でこのロングコースは知られるようになる。

■1955年にコース長は14キロに短縮

しかしながら、自動車の大衆化に伴いロードレースの愛好家が増えるようになると66キロのロングコースは人気が無くなり、1955年には14キロまでコース長は削減されたが、復興の気配のない1000マイルレースは1960年に打ち切られている。

■1970年代に安全面を配慮した大幅な改修工事に着手
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フェラーリがムジェロを購入し、自動車レースが一般化した70年代に入るとレースの安全面での問題がクローズアップされるようになり、この時にフェラーリはコースに大幅な改修を加え、ランオフエリアを多く取るようになった。

■現コースレイアウトの特徴の由来はフェラーリのテストコース
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また、フェラーリF1チームのテストコースの役割を担うようになったムジェロは、車両のテストを行う上で重要な多くの種類のコーナーやロングストレートを、高低差の激しいマシンに負担のかかりやすい地形にレイアウトしており、この時に現在のコースの原形が出来上がっている。
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■オートバイレースの初開催は1976年

なお、ムジェロで最初にオートバイのグランプリが開催されたのは1976年だが、WGP(現MotoGP)の常連サーキットとなったのは、完全にコースが現在の形に改修された1990年代の前半の事だ。ちなみに、現在もMotoGPのレギュラーライダーであるアレックス・バロスは、この時の改修直後のムジェロでグランプリを戦っている。


■今年の改修はランオフエリアと観戦施設の拡張

今年はコースレイアウトに大きな変更はないが、ランオフエリアの拡大などの安全面での改修や、観戦施設の拡張が行われている。

写真今年に入りランオフエリアが拡大されたのは8コーナーから9コーナーにかけてのグラベルだ。昨年まではそれぞれに独立したエリアとなっていたが、今年はその2つが結合されて巨大な1つのグラベルになり、より安全性が高まったという。

ちなみに、このランオフ拡張工事により、ムジェロのグラベルの総面積は11,500平方メートル(だいたい100メートル四方)、ランオフエリアの平均長さは30メートルを誇るという。

この他には、サーキット入り口のウェルカムセンターがヘルメットの形状になり、ムジェロに到着したファンを喜ばせる工夫が施された他、10コーナー前と12コーナー前に新たに合計2万人のシートを提供するグランドスタンドが建設された。


■ドゥカティーがカピロッシ専用マシンを投入、地元ワンツーを狙う

今回のイタリアでホーム・グランプリを迎えるチームの筆頭は、イタリアのバイクメーカーであるドゥカティーのワークス・チームであるドゥカティー・マルボロだ。ドゥカティーのライダーであるロリス・カピロッシにとっても当然イタリアは母国グランプリであり、今シーズンは序盤からレースでの不調に苦しんだものの、チームと本人の今回の勝利への意気込みは桁外れだ。
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ドゥカティー社とドゥカティー・マルボロ・チーム、およびカピロッシ本人の勝利への強い意欲の現れてとして、今回のムジェロからドゥカティーはカピロッシ専用の改良がなされた新しいデスモセディチGP7を投入してくる。

■ストーナーのライディング・スタイルに適していたGP7

今年のカピロッシの不調は、2006年までのGP6とのエンジン特性の違いが大きく影響しているという。現在のポイントリーダーであるケーシー・ストーナーを迎えたドゥカティーは、昨年の冬季シーズン中に低速域でスロットルを開けた場合の出力特性をマイルドにしたがるストーナーに合わせたマシンのチューニングを行っており、開幕後のストーナーの快進撃からも、そのマシン開発の方向性が是とされる傾向が強かったようだ。
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昨年までのカピロッシはリアをスライドさせながらの過激とも言える激しいコーナーリングワークを見せ、昨年のムジェロに代表されるように、スムーズなライディング・スタイルでコーナーを抜けるバレンティーノ・ロッシを暴れるマシンで追い詰める姿がファンを魅了してきたが、その「今の最強のライバルはカピロッシ」とロッシに言わしめた独特の走りが今年は影を潜めていた。

■カピロッシがドゥカティーにエンジン特性の変更を依頼

開幕から前々回の中国まで間、必死のセッティング作業でカピロッシと担当のチームスタッフは昨年のカピロッシの走りを再現しようと試みたが、ついにカピロッシはセッティングのみでの問題解決をルマンで断念しており、「自分のライディング・スタイルに合ったエンジン特性が必要」と述べ、同時にドゥカティーへの協力を要請した。
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■ライダー別に、2種類の仕様のマシンが誕生

さらにカピロッシは前回のルマンでは、チームのミスによりエンジン・マッピングがウェット走行に適した形にセッティングされていなかった事から、シーズン序盤の不調を挽回する上で貴重な得意のレインレースを台無しにされている。ドゥカティー・チームはその場でカピロッシに深い謝罪のコメントを述べ、ついにドゥカティーとチーム、およびカピロッシの本拠地のムジェロに、カピロッシ専用マシンを登場させるに至った。
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専用マシンにおける仕様の変更点はエンジン・マッピングの改善、ライド・バイ・ワイヤ(フライ・バイ・ワイヤ)のセッティングなどの電子制御部分、ならびにカムのタイミングや流体力学などのメカニカルな部分を含む。
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■ストーナーはどちらのマシンでも選択可能

もちろん、カピロッシ専用とは言っても、ドゥカティーは不公平感のないようにストーナーにも同じ仕様のマシンを用意しており、ストーナーさえ望めばいつでもそのマシンを試乗し、交換する事ができるようになっているという。

上海と61メートルしか違わない1,141メートルのロングストレートを誇る超高速サーキットのムジェロで、ドゥカティー・マルボロ勢がそのストレートパワーを活用し、昨年のベイリスが優勝したバレンシアに続く真紅のワンツーフィニッシュを地元で飾ろうと画策しているのは誰が見ても明らかだろう


■ストーナー「地元勢が強敵」
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なお、ここまでの5レースで3勝をあげているケーシー・ストーナーは、「ムジェロのロングストレートは自分たちにとって有利の筈。ただし、チームメイトのロリス(カピロッシ)をはじめ、他のイタリア人ライダーをムジェロで抑えるのは並大抵じゃないだろう」とコメントし、ムジェロを大の得意とするカピロッシやフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ、ならびにグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリを警戒するコメントを残している。


■今回ホームグランプリを迎えるチームは6チーム
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ドゥカティーと同じくイタリアを本拠地とするチームは、ムジェロでは2002年からの5年間連続して勝利を飾っている地元のバレンティーノ・ロッシを擁するフィアット・ヤマハ、イタリア人のルーチョ・チェッキネロをチームオーナーとするホンダLCR、JiR(ジャパン・イタリア・レーシング)を母体とするコニカミノルタ・ホンダ、イタリア人のファウスト・グレッシーニをオーナーとするグレッシーニ・ホンダ、イタリアの大手工業機械メーカーのプラマックをスポンサーとするプラマック・ダンティーンであり、ドゥカティーを含む合計6チーム。

■ムジェロ5連覇のロッシ「今年は楽じゃない」

バレンティーノ・ロッシにとっては、ルマンでは雨に妨害されて失敗に終わったストーナーからのポイントリーダー奪還計画を、最高峰クラスで5年間勝利を守り通し、ヤマハに過去3年連続の勝利をもたらしたムジェロで再び実行したいところだが、コメントにはドゥカティーのストレートでの優位性に対する不安が見え隠れしている。「大変な戦いになるが少なくともここでは天気の心配はなさそう。ルマンの2日間のテストで試した新仕様のエンジンパーツが効果を発揮してくれる事に期待している」とロッシは語った。
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ちなみに、ロッシがムジェロでの5連覇を達成する前の2001年にイタリアGPで勝利を飾ったのは、今年からMotoGPに復帰し、現在プラマック・ダンティーンに所属するアレックス・バロスだ。
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■ドゥカティー対策に余念がない各メーカー

なお、中国でのカワサキに続き、ルマンではホンダが排気系システムの改良、スズキがヤマハと同じく新しいエンジンパーツを導入してトップスピードの改善に努めるなど、今回のムジェロに向けての各メーカーのロングストレート対策、すなわち対デスモセディチパワーには余念がなかったようだ。

■地元で初の表彰台を狙うメランドリ
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カピロッシとロッシに続く最後のイタリア地元勢はグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリだが、メランドリはまだ一度も最高峰クラスでは地元ムジェロでの表彰台を獲得できていない。メランドリもロッシと同様に難しいレースとなる事を予想しているが、「イタリアの声援を力にして地元での初表彰台を獲得したい」とホームのレースで意地の走りを見せる意欲に燃えている。


■昨年のレース内容

最後に、昨年のムジェロでのレース内容を振り返ってみよう。
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ポールポジションを獲得したのはドゥカティーのセテ・ジベルナウ、2番グリッドはそのチームメイトのロリス・カピロッシ、3番グリッドにはヤマハが投入した新型シャシーが功を奏して久しぶりに1列目に戻ってきたキャメルヤマハのバレンティーノ・ロッシだった。
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■ロッシとジベルナウが序盤に意地の争いを見せたムジェロ

レーススタート直後にトップに立ったのはジベルナウだが、オープニングラップの序盤にロッシがジベルナウを交わしてトップに立ち、そのまま2ラップ目の終盤までレースをリードした。
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3ラップ目に入るとジベルナウがロッシを交わして再び先頭に立ち、トップの2名の背後からはフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリ、ホンダLCRのケーシー・ストーナー、カワサキの中野選手、レプソル・ホンダのダニ・ペドロサとニッキー・ヘイデンがそれに続いた。

■ホンダのマシンで過激なストレート加速を見せていたストーナー

MotoGPルーキーのストーナーがストレートで攻撃的な加速を見せるが、1コーナーでロッシを追う3番手のメランドリに抑えられるという光景が何度か繰り返された6ラップ目までにロッシは再びジベルナウを交わして先頭に立ち、2番手となったジベルナウが各コーナでロッシのインを奪い返そうと必死の追撃を重ねる。

■結局ストーナーはレース中盤に転倒

果敢なライディングでトップ集団につけていたストーナーは9ラップ目にコーナーを曲がりきれずに転倒。マシンは宙を回転しながらグラベルに激しく飛び込み、首を捻挫したストーナーはその場でレースをリタイアした。
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ホームストレートでロッシとジベルナウが熾烈な加速競争を繰り返す10ラップ目、チームメイトのペドロサなどを交わして順位を上げてきたヘイデンがメランドリから前を奪って3番手に浮上し、4番手に後退したメランドリの背後にはスタートに出遅れたカピロッシが迫る。

■順調にポジションを挽回するカピロッシ

やがてカピロッシはメランドリとヘイデンを交わして3番手にポジションを上げ、トップ2台の追撃態勢に入った。

ロッシとジベルナウが先頭で意地をぶつけ合う13ラップ目、後続のカピロッシ、ヘイデン、メランドリ、ペドロサがトップの2台に追いついてトップ集団を形成。ついにロングストレートでの加速競争はロッシとジベルナウにカピロッシを加えた三つどもえの争いに発展した。

■ロッシはミス、ジベルナウはブーツに問題を抱えて後退
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15ラップ目に3台のみで争っていると勘違いした先頭のロッシは、背後の2番手に迫っているカピロッシを一時的に先行させようとペースを落とすが、5台体制のトップグループと気がついた時にはすでに遅く、ロッシは5番手まで一気にポジションを後退してしまう。
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また、不幸にしてジベルナウはブーツの中にトラブルが発生して足の小指が出血するというアクシデントが発生し、そのブーツを無理矢理足で直した時に大きくタイムをロスして先頭集団から引き離された。

■ヘイデンとのバトルに敗れて表彰台圏内を失ったメランドリ
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メランドリがヘイデンとの3番手争いに破れてコースアウトを喫し、6番手にまで順位を下げた19ラップ目、2番手にまで順位を挽回したロッシと先頭を行くカピロッシとの激しい攻防戦が開始された。3番手のヘイデンはイタリアン同士のバトルに入り込めない。

■息つく間もないイタリアンの死闘、最終ラップでロッシがトップに
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22ラップ目にロッシはロングストレートの加速競争でカピロッシの真横に並びかけ、1コーナーのブレーキングから2コーナーにかけて2台は順位を交互に入れ替える。ここで先行したのはカピロッシだが、最終コーナー手前でロッシはカピロッシからインを奪うと先頭に立ち、最終ラップの23周目にトップで突入した。

■バレンティーノ・ロッシがムジェロ5連覇を達成
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トップの2台はミスの一切許されない緊張の限界走行を続け、コース終盤でスパートに入ったロッシがカピロッシを徐々に引き離し、最終的にトップでチェッカーを受けたのはムジェロ5連覇を決めたキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシだった。2位はレースの最後までロッシと激しく前を奪い合ったドゥカティーのロリス・カピロッシ。3位表彰台はトップの2台から大きく引き離される事なく安定した走りを見せたレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンが獲得している。


■ムジェロのラップレコード
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ムジェロのサーキットレコードは2005年にマックス・ビアッジが記録した1分50秒117、ベストラップは2006年にセテ・ジベルナウが記録した1分48秒969。


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