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BMW杯、剣を取り戻す王者
インテリマーク編集部
2007年2月26日

MotoGPクラスのIRTAテスト3日目となったスペインのヘレス、開幕前のプレシーズンテストは2月25日に最終日を迎えており、この日は通常のフリープラクティス形式のテストセッションが午前と午後に分断され、その間の40分間には2007年における初の公式テレビセッションとなった予選形式のタイムアタックが行われた。
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■恒例となったエキシビジョン、BMWアワード

写真公式予選として位置づけられるこのタイムアタック・セッションの『BMWアワード』は、スポンサーのBMWが提供する高級スポーツカーのZ4-Mが、40分間の限られた時間内に最速ラップを刻んだライダーに贈られるという豪華な賞品つきのセッションだ。開幕直前のエキシビションマッチとしては、既に毎年恒例となっている。

昨年にこのセッションは2006年の1回目のIRTAテストが行われていたスペインのカタルーニャで行われ、その時に新車のBMWを獲得したのは当時キャメル・ヤマハのコーリン・エドワーズだった。

■昨年のトップは、シーズン開幕後に苦しんだヤマハワークス

新車のキーを受け取り歓喜するエドワーズは、その場で「2006年の開幕シーズンでもキャメル・ヤマハがワン・ツーを独占する」と宣言して見せたが、その次の2006年2度目のIRTAテストが行われたヘレスでは、キャメル・ヤマハのマシンは解決できない深刻なチャタリングの問題を抱える事となった。
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シーズン開幕後もヤマハのチャタリングの問題は2006年の中盤まで続き、それが主な原因となってバレンティーノ・ロッシの990cc時代6連覇を逃すという、プレシーズン中は当時も今年と同様に絶好調と言われたヤマハ・ワークスにとって、過去最悪の1年となったのは記憶に新しいところだ。

■2007年プレシーズンでも好調なヤマハにとっては因縁のヘレス

その、深刻な問題が昨年は発覚したスペインのヘレスは、いわばヤマハ・ワークスチームとバレンティーノ・ロッシ、およびコーリン・エドワーズにとっては、2006年シーズンの不運が始まった最も因縁のあるサーキットだと言える。
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■800ccマシンが公式セッションで勝利を争うのは史上初

今年からは最高峰クラスのレギュレーション変更によりMotoGPマシンの排気量が990ccから800ccまで引き下げられている。

今回はヘレスで開催された今年のBMWアワードも、開幕後のシーズンの成績には全く関係のないエキシビションの1つには違いないが、どのメーカーのワークスならびにサテライト勢も、レギュレーション改訂により昨年までとは全く異なるニューモデルを年末からテストしてきており、それらが公式セッションで勝敗を決めるのは今回のエキシビジョンが初めての事だ。


■2007年の動向を占う上でも無視できないBMWアワード
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今年もここまでのプレシーズンにおいて最も好調と言える結果を残し続けるヤマハ・ワークスが、この勢いのまま昨年の厄払いを同じヘレスでできるかどうか、また、エンジンレイアウトがV型5気筒から4気筒に変わり、2月に入り急激にセッティングが進んで好調なヤマハの背後に迫りつつある昨年度チャンピオンのホンダや、プレシーズン開始直後はトップタイムを連発していたスズキ、2006年シーズン中から800ccマシンを公開して早期からの2007年マシンの仕上がりをアピールしていたドゥカティー、ならびに年明けのマシン本格デビューから常に好タイムを維持しているカワサキ勢など、2007年シーズン序盤の行方を占う上でも、このセッションの結果は無視できないものと言える。
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なお、2007年からMotoGPに初参戦を果たすイルモアは、順調に開幕に向けてのマシン開発を現在も続けており、徐々に他の5大メーカーにタイムも近づきつつあるが、レースタイヤにおけるヘレスIRTAテスト2日目までのトップとの1ラップあたりのタイム差はまだ4秒ある。
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■ライダーの状況、連続トップのメランドリと本当に速いロッシとペドロサ

今回のヘレスでのIRTAテスト2日目までに好調なライダーは、単純に数値比較だけでは初日から連日トップタイムを記録しているグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリという事になるが、実際はそうではない。
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メランドリは2日目にブリヂストンの予選タイヤを2本テストしており、その時に1分40秒383という990cc時代にロッシが記録したサーキットレコード(レースタイヤ)を0.2秒上回る好タイムをマークしたが、2日目の2番手につけたロッシと3番手のダニ・ペドロサは、ミシュランのレースタイヤでメランドリと互角のタイムをこの日に記録していた。
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■タイヤの状況、予選タイヤでもミシュランがブリヂストンをしのぐ?

ロッシやペドロサが3日目に予選タイヤを装着すれば、間違いなく990cc時代にカピロッシが記録したポールポジション・レコードである1分39秒064(予選タイヤ)を上回る事になるだろう。なお、2日目にはメランドリだけではなくカワサキのランディー・ドピュニエ、プラマック・ダンティーンのアレックス・ホフマン、グレッシーニ・ホンダのトニ・エリアスなどがブリヂストンの予選タイヤを装着して1分40秒台の好タイムを記録してはいるが、その時点では誰も1分39秒台には到達しておらず、メランドリ以外に、ミシュランのレースタイヤを履くロッシとペドロサのタイムをブリヂストンの予選タイヤでも上回ったライダーもいない。
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ライダーやマシンとの相性もあるため一概には言えないが、いずれにしても、ヘレスでのIRTAテスト2日目までの結果を見る限りでは、ヤマハのコーリン・エドワーズが歓喜の声を発している通り、ミシュランタイヤの仕上がりは悪くないようだ。


■路面状況が回復しBMWアワード開始

午前のセッションが濃い霧と湿った路面のために開始が遅れたこの日、午後2時5分からは現地のファンが待ちに待った2007年初のタイムアタック合戦がスタートした。空は若干雨の気配のする雲が近くにあるものの、心配された天候は快方に向かい、セッションが開始された時点での路面は完全にドライ、気温19度、路面温度34度、湿度28%という好条件のサーキットが、参加した23名のライダーを2万9千人の観客と共に迎えている。
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各ライダーは午前のセッションを終えてから午後2時5分まで、2007年シーズンMotoGP開幕に向けての写真撮影会を行っており、その直後にBMWアワードに参加したようだ。

なお、前回のカタールのIRTAテストで右足のつま先を骨折し、右手首を痛めたリズラ・スズキのジョン・ホプキンスも撮影会には参加し、その後はスズキのピットに右手にサポーターを巻いて登場し、ライバルたちの予選タイヤでの戦いの行方を観戦した。

■最初にタイムシートのトップに立ったのはド・ピュニエ
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セッション開始直後にタイムシート上のトップに立ったのは、ここまでのプレシーズン中にトップ10には必ず入る好調さを見せ、前日には「BMWが欲しい!」コメントしていたカワサキのランディー・ド・ピュニエだ。ド・ピュニエのタイムは1分42秒952。

■BMWを意識していないカピロッシが早々に1分40秒台をマーク
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5分が経過すると、今回のIRTAテスト初日から2日目まで連続してトップタイムをマークしているグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリが1分42秒061を記録してトップに立ったが、すぐに「BMWの事は考えないようにして開幕後のレースに向けての作業をしたい」と語っていたドゥカティーのロリス・カピロッシが、予選タイヤで1分40秒193という前日のメランドリを上回る好タイムを記録し、残り約30分の時点でのタイムシート上のトップに立った。

■ダンティーンの2名はレースタイヤの課題に前半は集中
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カピロッシの所属するドゥカティー・マルボロチームと同じく、ブリヂストン・タイヤを装着したデスモセディチに乗るプラマック・ダンティーンチームのアレックス・ホフマンとアレックス・バロスの2名は、セッションの前半は開幕後のレース用セッティングに集中して、この時はレースタイヤでの走行を行っている。
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■イルモアの2名はセッション序盤に揃ってトラブル

また、開幕に向けてマシンの開発を急ぐイルモアだが、このBWMアワードの前半に2名のライダーが揃ってマシントラブルを訴えており、途中で走行を断念する結果に終わった。アンドリュー・ピットは燃料循環系のトラブル、ジェレミー・マクウイリアムスはカウルに問題が生じたようだ。
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■ペドロサが年末の予選タイヤでの自己ベストを更新してトップに

トップに立ったカピロッシは10分近くそのままトップの座をキープしていが、セッション残り約25分に入るとレプソル・ホンダのダニ・ペロドサが予選タイヤを装着して1分39秒に突入し、カピロッシは2番手に追いやられた。この時のペドロサのトップタイムは1分39秒495であり、990cc時代のポールポジション・レコードまで約0.4秒に迫っている。
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なお、年末のヘレスでのメーカー合同テスト最終日にもペドロサは予選タイヤを装着して1分39秒910を記録していたが、すでにこの時点でペドロサは800ccマシンにおける自己ベストタイムを上回っており、ここまでの冬季テストでの開発作業が順調に進んだ事をアピールしている。

■前日までトップのメランドリは徐々に後退
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タイムシート上のトップにはペドロサ、2番手にカピロッシ、3番手にエドワーズ、4番手にチェッカ、5番手にロッシ、6番手にド・ピュニエ、7番手には玉田選手が名を連ね、序盤にトップだったメランドリは8番手まで後退した。
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続いてバーミューレンが4番手タイム、ストーナーが3番手タイムに浮上し、メランドリが10番手以下に後退する中、なかなかタイムを上げてこなかったニッキー・ヘイデンが1分41秒129を記録して9番手に浮上した。中盤に差し掛かり、本格的な予選タイヤでのアタックを開始した有力ライダーの順位が大きく変動する。

■ロッシがトップに
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そこから5分以内にペドロサからトップの座を奪ったのは、それまで5番手タイムを記録していたヤマハ・ワークスのバレンティーノ・ロッシだった。ロッシは残り20分の折り返し地点でペドロサのここまでの自己ベストを僅かに0.057秒上回る1分39秒438のトップタイムをマークし、ペドロサは2番手に後退。

■すぐにトップを奪い返すペドロサ
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だが、ロッシがトップタイムを奪ってすぐの残り19分、ペドロサは瞬時にトップの座に返り咲いた。ついにペドロサは2輪ロードレースでのヘレス・サーキットにおける前人未踏の1分38秒台に突入し、ロッシを約0.5秒引き離す1分38秒934の記録をタイムシートの先頭に刻んだ。さらに、それぞれのチームメイトのエドワーズとヘイデンも39秒台を記録し、タイムシート上のトップ4はヤマハワークスとホンダワークスの4名が独占。
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この時に、今年からダンロップタイヤに履き替えた玉田選手は1分41秒245の自己ベストのまま11番手に後退。また、ブリヂストンの予選タイヤの感触がこの日はうまくつかめなかったというメランドリはさらに14番手まで後退し、2日目の予選タイヤでの自己ベストを全く更新できない状態が続く。
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■新旧のチャンピオン候補が異次元のバトルに突入

セッション残り15分、ロッシが1分38秒台に突入し、ペドロサのトップタイムから0.018秒遅れの2番手タイムとなる1分38秒952を記録して先頭の2名が異次元のバトルに突入した頃、予選タイヤを今年のテスト中にはほとんど試す機会のなかったコニカミノルタ・ホンダの中野真矢選手が1分40秒476の9番手に浮上した。
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この時のタイムシートには先頭から1分38秒934のペドロサと1分38秒952のロッシ、1分39秒781のヘイデン、1分39秒793のエドワーズ、以下は1分40秒台となり、5番手にストーナー、6番手にチェカ、7番手にド・ピュニエ、8番手にカピロッシ、9番手には中野選手が並んでいる。

■予選タイヤを履いた中野選手のマシンに課題が発覚
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2日目のIRTAテストを終えた時点で中野選手はフロントタイヤとマシンのバランスに関して非常に高い満足度を示していたが、今回予選タイヤを装着した時に彼のフロントタイヤにチャタリングが再発しており、予選タイヤ使用時のセッティング、および全体的なマシンのバランスにはまだ課題がある事が判明したようだ。中野選手はこれらの問題からコーナリング速度が得られなくなり、セッション後半に向けてのタイムアップが苦しくなっている。

■秋吉選手が転倒
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なお、今回ヘレスのテストに参加しているスズキの開発ライダーであり全日本レギュラー・ライダーの秋吉耕佑選手が残り15分のこの時点でハイサイドをおこして転倒。黒カーボン仕様のマシンを起こして必死でコースの外に移動すると、そのまま走行を断念した。
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セッション残り8分、2大ワークスの4名に続き、5番手につけたカワサキのランディー・ド・ピュニエが1分39秒382、6番手のストーナーが1分39秒873を記録して39秒台に突入し、さらに1分40秒100の7番手につけたクリスバーミューレンがそれを追う形となった。8番手にはチェカ、9番手にはカピロッシとなり、中野選手は10番手に後退。

■ロッシが再びトップに
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セッション残り7分、ついにバレンティーノ・ロッシが1分38秒766を記録して再びタイムシート上のトップに立った。ここでペドロサはピットを出てタイムアタックを開始し、第1から第3までの全ての区間でロッシのタイムを上回るが、最終区間でタイムが伸びず、自己ベストは更新したもののロッシのトップタイムには及ばない1分38秒934を記録して再び2番手のポジションに。
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ここでバレンティーノ・ロッシは新しい予選タイヤを装着し、ペドロサがコントロール・ラインを通過したのと同時に最後の走行をスタート。ペドロサは直後にピットインして最後のタイヤ交換を開始した。
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■最後の5分は小雨まじりの危険なコンディションに

残り5分に入ると分厚い雲がサーキットの上空を通過して小雨が降り始めた。最後の4本目の予選タイヤでアタックを開始しようとしていたカワサキのオリビエ・ジャックは、湿った路面における転倒のリスクを避けてこの時点でアタックを断念。BMWアワードが終わった後の夕方のセッションで再びトライしている。

■ド・ピュニエは最終アタックで無念のギアチェンジミス
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また、ジャックのチームメイトのランディー・ド・ピュニエは、雨が降っても目をつぶって最後まで激しくプッシュを続けたとしているが、最終アタック中にギアチェンジをミスしてしまい、本人が狙っていたタイムを最後に残す事が出来なかった。順位には不満がないと言うド・ピュニエだが、この時のタイムロスについては悔しがっている様子だ。

■990cc時代のポールタイムをいきなり0.7秒上回ったロッシ
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セッション最後の1分、バレンティーノ・ロッシは2番手のペドロサを0.5秒、990cc時代にカピロッシが記録したポールポジションレコードを約0.7秒上回る1分38秒394という驚異的なタイムを記録した。タイムを確認したロッシは高々とフロントを持ち上げて得意のきれいなナックナックを見せると、そのまま満足げにウイリー走行を開始。

■ペドロサの最終アタックは0.13秒およばず、栄冠はロッシに

セッション残り0秒、不安げなチーム監督のアルベルト・プーチが見守る中、チェッカーのふられたコントロール・ラインに全力疾走のペドロサが飛び込んだ。
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ペドロサの最終アタックのタイムは再び自己ベストを更新する1分38秒527であり、ロッシには0.13秒届かない。この瞬間、バレンティーノ・ロッシは新車のBMWと、2輪におけるヘレスでの史上最速男としての栄冠を獲得した。
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■2007年ヘレスIRTAテスト最終日、BMWアワードの結果

以下に、2007年BMWアワードの全走行結果を示す。

1) バレンティーノ・ロッシ ITA ヤマハ・ファクトリー・レーシング YZR-M1 1分38秒394
2) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分38秒527
3) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・ファクトリー・レーシング YZR-M1 1分39秒300
4) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分39秒556
5) ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分39秒832
6) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP7 1分39秒873
7) ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP7 1分39秒887
8) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分40秒043
9) ケニー・ロバーツJr USA チーム・ロバーツ KR212V 1分40秒083
10) カルロス・チェカ SPA ホンダ・LCR RC212V 1分40秒100
11) トニ・エリアス SPA グレッシーニ・ホンダ RC212V 1分40秒202
12) 中野真矢 JPN コニカミノルタ・ホンダ RC212V 1分40秒242
13) 玉田誠 JPN ヤマハ・TECH3 YZR-M1 1分40秒307
14) マルコ・メランドリ ITA グレッシーニ・ホンダ RC212V 1分40秒396
15) オリビエ・ジャック FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分40秒551
16) アレックス・ホフマン GER プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 1分40秒681
17) アレックス・バロス BRA プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 1分41秒038
18) 秋吉耕佑 JPN リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分41秒805
19) シルバン・ギュントーリ FRA ヤマハ・TECH3 YZR-M1 1分42秒215
20) ヴィットリアーノ・グアレスキ ITA ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP7 1分43秒008
21) アンドリュー・ピット AUS イルモア・GP イルモアX3 1分43秒026
22) 伊藤真一 JPN ドゥカティ・ブリヂストン・チーム デスモセディチ GP7 1分43秒073
23) ジェレミー・マクウィリアムス GBR イルモア・GP イルモアX3 1分43秒202


■ブリヂストン勢は全体的に予選タイヤ装着時のセッティングに課題
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ミシュランタイヤを履くヤマハとホンダの2大ワークスに続き、ブリヂストンを履くドゥカティーのケーシー・ストーナーとカワサキのランディー・ド・ピュニエという最高峰クラス参戦2年目の若手ライダーが健闘したが、2日目の自己ベストをこの日に更新できなかったグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリや、プラマック・ダンティーンのアレックス・バロスをはじめ、全体的にブリヂストン勢は、予選タイヤでのセッティングにまだ課題が残ると、最終日の全ての走行後にコメントしている。

■ジャックは夕方にタイムを更新
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BMWアワードの後には通常通りのテスト走行が再開し、多くのライダーがロングランを行っているが、カワサキのオリビエ・ジャックはこのBMWアワードでの自己ベストを上回るタイムを夕方に記録している。

■夕方にストーナーが今年2度目の転倒を喫して頭を強打
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なお、夕方のロングランの途中でドゥカティーのケーシー・ストーナーが今年2度目の転倒を喫して頭を強打している。ストーナーは脳震盪を起こして一時的に意識を失い、その後は左目がぼやけるという症状を訴えたが、クリニカ・モバイルのコスタ医師の勧めにより近くの病院でCTスキャンによる検査を受けた結果、幸いどこにも問題は見つかっていない。


■上位4名のコメント

以下に、BMWアワードの上位4名のコメントなどを紹介する。

■ロッシ「当然ペドロサが来ると思ってた」

冬季シーズンを通して開発したヤマハの新型800ccマシンである新型YZR-M1の仕上りに満足し、開幕直前にBMWも獲得したヤマハ・ワークスのバレンティーノ・ロッシは、今回はペドロサとのバトルになることを当初から予期していた様子だ。

「午前のセッションを通してヤマハのマシンは絶好調でしたから、今回のバトルに勝てる可能性はあると思ってました。」とBMWのスポーツカーであるZ4Mを手にしたロッシ
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「ただ、今回も激しい争いにはなると思っていましたし、当然ペドロサが来るという確信はありました。彼とのバトルは楽しかったですよ!今年最初の本当の意味での戦いでしたからね。」

「今回試した予選タイヤにはどれもいい感触が得られて、走る度にどんどん調子が良くなり、スピードも上げる事ができました。最後の自分のラップタイムはすごかったですね!今年のヤマハは本当に飛び抜けてますよ!」

「今回の結果が証明している一番大切な事は、この冬季シーズンを通して素晴らしい仕事ができているという事です。全員が必死に頑張りましたからね。みんなに感謝の気持ちを表す上で、今回の結果をプレゼントする以上にいい方法なんてありませんよ。」

「新しいタイヤを履いた新型バイクは本当に調子がいいんです。レースタイヤと予選タイヤのどちらでも好調ですから、これが何よりですね。ミシュランには本当に感謝しています。」

「ぎりぎりまで攻めて新型マシンの限界を探るのはすごく面白かったし、その結果も最高にすごかったです。今日は本当に限界まで攻める事ができましたから、ヤマハのマシンにはものすごい自信が持てました。」

「コーリンも速く走れていましたから、そこからも今のバイクの調子の良さを証明できたと思います。もちろん、今回はレースじゃありませんし、開幕レースは次のカタールまで待たなきゃいけませんが、今の自分たちはすこぶる好調ですから、シーズンが始まるのが楽しみで仕方ありませんね!」

■ブリビオ監督「ヘレスで勝てた事に意味がある」

ロッシとエドワーズのIRTAテスト3日目の好成績を喜ぶヤマハ・ワークスのダビデ・ブリビオ監督は、今回のバトルはエキシビションにすぎないとはしながらも、昨シーズン中にマシンの問題が発覚する事になったヘレスで好位置をキープできた事がチームにとっては最も重要だったと述べ、カタールで3月8日から開幕する2007年シーズンに向けての期待を示した。

「これは開幕レースに向けてのオードブルには過ぎませんが、それでもバトルで勝利を手にするのはいつでも嬉しいものです。さらに4年間のうちに3回もこのバトルを制した事にもなりましたからね。」とブリビオ監督

「バレンティーノがトップでコーリンが3番手という結果ですが、これは本当に素晴らしい事ですし、去年は本当に苦しみぬいたここヘレスで実現した事が、今回は特に重要なんです。」

「全員にとって満足のいく結果ですね。冬季テストを通して自分たちが正しい方向性で仕事を続けて来た事への証明にもなりました。もちろん実際のレースとは異なりますので、今からはカタールに焦点をあてて、あそこでも全てが順調に進む事を期待したいですね。」


■ペドロサ「ロッシのタイムは気にしてなかった」

0.13秒差でBMWを惜しくも逃したレプソル・ホンダ2年目のダニ・ペドロサだが、予選タイヤで今回の1分38秒527という好タイムを記録した事を喜んでいる様子だ。彼はセッション中は自分の予選タイヤのテストに気持ちを集中しており、ロッシのタイムはあまり意識していなかったとコメントしている。
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「今回の40分のセッションにはすごく満足しています。実際、あそこまで速く走れるとは思ってもいませんでしたからね。」と、昨年の最高峰クラスにおけるルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得したペドロサ

「前回と比べても、ここでの予選タイヤでのタイムを大幅に縮める事ができました。今回はそれを目標にしていたので、達成できて嬉しいです。シーズン開幕に向けてタイヤをテストする時間が今まで限られていたので、今回は自分にとっていいテストになりました。」

「バレンティーノとはいいバトルができたと思います。ただ、あまり彼のタイムは意識していなくて、何本かのタイヤの限界を探る作業に集中していたのが今日の自分です。」

「有意義な3日間でした。レースに向けてバイクのセッティングも進みましたし、予選タイヤのテストもできましたので、カタールの開幕戦に向けての準備は整ったと思いたいですね。」


■エドワーズ「今年のミシュランはすごい!」

セッション終了間際にヘイデンのタイムを上回り、この日のBMWアワードを3位で終えたヤマハ・ワークスのコーリン・エドワーズは、今年のミシュランに関してはレースタイヤにも予選タイヤにもベタ惚れといった様子だ。

写真「今日のは午前のセッションはバレンティーノと自分に最高の状態が訪れた感じでしたね。午後には間違いなく激しくプッシュできる事が実感として分かりました。」と、昨年のBMWアワード勝者であるエドワーズ

「ミシュランの予選タイヤはすごいですよ。去年の色々なトラブルがあった後だけに、これはチームにとっての大きな救いですね。」

「自分はタイムアタックのセッションではバレンティーノよりも課題を多く抱えていました。それほど深刻ではありませんが、バレンティーノほどセッティングが完璧じゃなかったし、彼みたいに速いペースで走る事ができない状態だったんです。まだ色々作業が残っている事がわかりましたが、ただ、それでもすごく速く走れましたし、いずれにしてもトップ3でした。」

「本音ですが、バレンティーノも自分も今の状態の全てに満足できていますよ!何もかも調子良く感じるし、冬季シーズン中の苦労が全て実ったって感じです。やっとテストが終わって、さらにこんなにいい結果を持ってここを離れられるなんて最高ですよ。最初のレースに向けての全員の起爆剤にもなったでしょうしね。」

「カタールでの開幕レースが本当に待ちきれません。」


■ヘイデン「マシンの仕上がりにまだ不足感」

カタールでのIRTAテストから不調に陥り、前日のヘレスでのIRTAテスト2日目にやっと復調の兆しを見せたレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンは、今回の4番手の順位にはほぼ満足しているものの、異次元の1分38秒台の戦いを見せたチームメイトのペドロサとロッシからのタイム差には、今後のマシン開発への課題を感じている様子だ。

写真「まわりのみんなと一緒に何かを争ってまた戦えるのは本当に楽しいですよ。今日のタイムアタック合戦は結構スリルがあったし、開幕レースの前のちょとした楽しみですよね。」と、2007年シーズンをディフェンディング・チャンピオンとして迎えるヘイデン

「順位はそんなに悪くありませんでしたが、タイム的に見ると(予選での)1列目はちょっと遠い感じですね。ただ、冬季シーズン中はあまり予選タイヤをテストできてなかったので、今回の数周限りのアタックで速いタイムが出せたのは良かったと思います。」

「今日の何人かは本当に熱い走りを見せていましたが、あれはすごいですよ。セッションの終盤にかかて徐々に霧が出て雨も降り始めたし、少し危険な状況になっていたんですが、それがまた面白い展開を生みましたね。いずれにしも予選タイヤでタイムを争うのにはいつもわくわくします。」

「自分の望む速さで走るにはまだ少し(マシンの)仕上がりに何かが欠けた感じは否めませんが、レースはとにかく楽しみですよ。今から待ち遠しいです。」


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