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豪雨のバレンシアGP初日、レプソル・ホンダ勢がワンツーを独占
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  2008年10月25日

2008年度MotoGPシーズンが、ついにその最終戦となる第18戦目バレンシアGPの初日のセッションを、スペインのバレンシア・サーキット(リカルド・トルモ・サーキット)にて昨日の10月24日に迎えている。
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ここでは、今年もシーズン最終戦の舞台となるバレンシア・サーキットの特徴と、昨日に行われたMotoGPクラス初日2回のフリー・プラクティスの総合結果、ならびに1日目の作業を終えての各チームの概況やライダーコメントなどを紹介する。


■2008年度バレンシアGP3日間のスケジュール

週末3日間の日程で10月24日より開催されているバレンシアGPのタイムテーブルは以下に示す通り。なお、今年のシーズン1年間を通して不安定だった気象条件を象徴するかのように、今回のバレンシアは3日間を通しての雨天が予想されている。
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10/24(金) 時差:−7時間
  09:00 125cc FP1
  10:00 MotoGP FP1  日本時間:17:00
  11:15 250cc FP1
  13:10 125cc QP1
  13:55 MotoGP FP2  日本時間:20:55
  15:10 250cc QP1

10/25(土) 時差:−7時間
  09:00 125cc FP2
  10:00 MotoGP FP3  日本時間:17:00
  11:15 250cc FP2
  13:10 125cc QP2
  13:55 MotoGP QP  日本時間:20:55
  15:10 250cc QP2

10/26(日) −8時間 ※この日から冬時間
  08:40 125cc WUP
  09:10 250cc WUP
  09:40 MotoGP WUP  日本時間:17:40
  11:00 125cc レース
  12:15 250cc レース
  14:00 MotoGP レース  日本時間:22:00

■バレンシアのレース周回数とラップレコード

10月26日(日)に行われる最終戦決勝レースの周回数は、MotoGPクラスが30周回、250ccクラスが27周回、125ccクラスが24周回となる。バレンシア・サーキットにおける過去のラップレコードは以下の通り。

MotoGPクラスのサーキットレコード(レース中)は2007年にダニ・ペドロサが記録した1分32秒748、ベストラップレコード(予選タイヤ)は2006年にバレンティーノ・ロッシが記録した1分31秒002。

250ccクラスのサーキットレコード(レース中)は2007年にミカ・カリオが記録した1分35秒659、ベストラップレコードは2006年に青山博一選手が記録した1分35秒109。

125ccクラスのサーキットレコード(レース中)は2007年にエクトル・ファウベルが記録した1分39秒380、ベストラップレコードは2007年にガボール・タルマクシが記録した1分39秒029。


■新着トピック、ロレンソの母国スペシャルマシンと中野選手のシートの行方
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ここでは次に、今回の最終戦バレンシアGPに向けての新着トピックを数点紹介する。MotoGPクラスのライダーの中で今回のバレンシアが母国グランプリとなるのはレプソル・ホンダのダニ・ペドロサ、フィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソ、アリーチェ・チームのトニ・エリアスのスペイン人ライダー3名だが、このうちロレンソは母国グランプリをスペシャル・カラーのYZR-M1で戦う。


■公募により決定したスペシャルカラーで日曜日の母国レースを戦うロレンソ

フィアット・ヤマハ・チームはバレンシアGP初日の10月24日、ホルヘ・ロレンソにとってホームとなる今回のバレンシアGPに向けて、ロレンソが小排気量時代からのグランプリ経歴の中で優勝を果たした14ヶ国の国旗をペイントしたスペシャル・カラーのYZR-M1で戦う事を明らかにした。
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このスペシャル・マシンのデザインは、フィアット・ヤマハ・チームの本拠地であるイタリア国内での一般公募により決定したものであり、ロレンソは今週末のグランプリ初日からこのマシンに乗って走行している。

■ロレンソ「14ヶ国を征服したロレンソ王国」

「ヨーロッパに戻って来られて嬉しいが、スペイン人ライダーは母国レース中は地元ファンのために多くの時間を使うからものすごく忙しい」と述べるロレンソは、「今週末はスペシャル・カラーのバイクを用意しているがとても気に入っている。過去に勝利した全ての国の国旗をあしらったものだが、それらの国々の全部がすでにロレンソランドだしね!」と、このスペシャル・マシンについてコメントした。


■全チームの新体制が判明する中、唯一公表されない中野選手の来期動向

前日のセテ・ジベルナウをライダーとするオンデ2000チームの来期MotoGPフル参戦表明をもって、2009年シーズンに向けてのMotoGPクラスにおけるストーブリークがほぼ決着する中、現行レギュラー・ライダーの中で来期の行方が現在も判明していないのはサンカルロ・ホンダ・グレッシーニの中野真矢選手の1名のみとなったが、イギリスのロードレース誌であるMCNはそのウェブサイト上において現在の中野選手の動向に関する噂を報じている。
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このMCNの10月24日付けの記事によれば、現在中野選手は来期からSBKに復帰するアプリリア・ワークスと接触しているとの噂であり、仮にこの交渉が進展して中野選手がSBKアプリリア・ワークスに移籍する事となれば、2009年シーズンの中野選手はすでにアプリリア・ワークス入りを発表しているマックス・ビアッジのチームメイトとしてSBKを戦う事になる。


■バレンシア・サーキットの特徴
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続いて、今年でMotoGP開催10周年を迎えるスペインのバレンシア・サーキット(リカルド・トルモ・サーキット)の特徴などを紹介する。


■MotoGPカレンダーにおける2番目の低速サーキット

バレンシア・サーキットは、MotoGPバイクでの1ラップあたりの平均速度は時速155kmと低く、今年のグランプリの中では2番目の低速サーキットとなる。ちなみに、最も低速なのはポルトガルのエストリル・サーキットであり、3番目に低速なサーキットはアメリカのラグナ・セカだ。
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なお、バレンシアは低速コースレイアウトでありながら、各コーナーに設けられた適切なバンクの効果から非常に流れの良いサーキットとなっており、小排気量クラスのバイクに比べて小回りなコーナリングがやや苦手なMotoGPマシンを扱うライダーにも人気が高い。

■ライダーの技量が重要視されるバレンシア

バレンシアは5つの右コーナーと9つの左コーナーからなる全長4,005メートルのサーキットであり、ストレートはそれほど短くはなく876メートルを誇る。多くの中低速コーナーが短めのストレートに連続して結ばれるコースレイアウトとなっている事から、ライダーは休む暇なくブレーキングとコーナリング、ならびに加速を連続して繰り返す事になる。常に身体にかかる横Gは大きく、ライダーにかかる体力的負担は大きい。

左にループする13コーナーの独特のロングカーブと、スピードを殺さず高速のまま飛び込む1コーナーが最も特徴的なこのコースは、幾何学的に描かれたカーブの数々により激しい切り返しが要求されるコーナリング重視のレイアウトである事から、マシンのパワーよりも、ライダーのライディング技術がより重要視されるサーキットと言える。

■サーキットの全景を見渡せるスタジアム構造

また、バレンシアは観戦者の立場を中心に考えて設計された近代サーキットとしても知られている。15万人を収容可能な観客席は、その特徴的なコースレイアウトぐるりと取り囲み、障害物に視界をほとんど邪魔される事なくサーキットの全景を見渡せる工夫が施されており、モータースポーツの世界選手権が行われる大規模サーキットとしては他にあまり類を見ないゴーカート場を巨大化したような景観を持つ。

このレース観戦者にとって嬉しい空間設計は、1980年代後半の小排気量連続王者であり、アスパルの通称で親しまれ、現在は125ccと250ccクラスの名門アスパル・チームのオーナーであるホルヘ・マルティネス(アスパル)の考案によるものだ。


■セッティングの難易度は低め、馬力が使い切れない低速コース
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バレンシアは2速と3速を頻繁に使用するサーキットであり、このギアまわりのセッティングさえうまく行けばバイクは比較的スムーズに仕上がるため、メカニックにとっては技術的に見てそれほど難しいサーキットではないようだ。当然2速と3速の2つのギアの調整は非常に重要になるが、全体的なセッティングの難易度は決して高くはない。

また、他のサーキットと比較して高速と呼べるような個所はバック・ストレートとメイン・ストレートの2個所しか存在しないため、MotoGPマシンの場合はスロットルを大きく開ける機会はあまりなく、馬力面に優れたバイクが優位性を確保できるサーキットではない。むしろ必要なのはブレーキングと加速を休みなく繰り返すライダーの集中力だ。

■ライダーに要求される体力と集中力
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マシンのセッティングが容易なバレンシアは、タイヤの選択を間違えなければライダーにとってもそれほど難易度の高いコースレイアウトではないという。しかしながら、短いブレーキングエリアと加速エリアで細かくブレーキとスロットルのタイミングを繰り返し合わせ続けるライダーには体力と集中力が要求され、気力や体力が途切れた場合には速い走行ペースを維持するのが難しくなるようだ。

いずれにしても、ライダーにとってはブレーキング・ポイントと脱出加速ポイントにおいてミスを犯さなければ好タイムが比較的容易に狙えるコースレイアウトのため、各ライダー間のタイムに大きな差は生じにくい。エンジン・パワーの優位性のみで一部のライダーが逃げ切るようなケースも少なく、毎年接近戦のバトルとなる。

なお、タイムを稼ぐ上で非常に重要となるのが13コーナーの左ロングカーブから最終コーナーにかけてのスピードの維持であり、これに成功して十分な脱出加速をメインストレートに向けて得られたライダーが勝利の鍵を握る。

■路面温度が毎年低く、タイヤ選択も大きな勝敗の鍵に

近年の最終戦の舞台であるバレンシアGPは季節的な関係上、路面温度が毎年低くなる事が多く、マシンの性能差よりもレースタイヤの適切な選択が勝敗を大きく左右する。特に左コーナーが続いた後の右コーナーでは側面のゴムの温度が冷えている事から、転倒を招く事も少なくない。


■昨年のバレンシアにおけるMotoGPクラスのレース結果
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今回のバレンシアGP初日の結果に入る前に、ここでは簡単に昨年のバレンシア最終戦のレース結果を振り返っておきたい。昨年はレースウイークを通して気温が20度前後と低い温度条件とはなったが、グランプリ中の3日間は青空と良好なドライ・コンディションに恵まれていた。


■ロッシが予選中に骨折、安泰だった筈のランキング2位の座に危機
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2007年度の年間チャンピオンは日本GP終了時点にドゥカティーのケーシー・ストーナーが獲得していた事から、この年の最終戦で注目されたのは、ランキング3位につけるレプソル・ホンダのダニ・ペドロサから余裕の24ポイント差を保持していたフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシがランキング2位を無事に確保するかどうかだったが、ロッシは2日目の予選中に高速転倒を喫し、右の手のひらの骨の3個所を骨折する大きな怪我を負うという最悪の事態に見舞われてしまう。

■ロッシは17番グリッド、ライバルのペドロサはポールポジションを獲得
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ロッシがこのアクシデントにより17番グリッドに沈む中、4戦連続となるポールポジションを獲得したのは、フリー・プラクティスの全セッションを通して安定した走りを見せていたペドロサだった。


■レース開始、序盤からトップ争いはストーナーとペドロサの2名に
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1ポイントでも獲得すれば過去11年間のグランプリ活動を通してキープしてきたランキング2位以上のポジションを確保できるロッシが、痛み止めの注射と応急治療を施して午後のグリッドに姿を見せた最終日午後のレースは、2番グリッドからスタートしたストーナーがレース開始と同時にトップを奪い、それを2番手につけたダニ・ペドロサが追い続ける展開となった。

■ロッシが目標のポイント圏内から突如脱落、マシン不調によりリタイア
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ロッシは14ラップ目には目的のポイント圏内である15番手に浮上し、その後も着実にポジションを上げ続けるが、18ラップ目にはエンジンに不調を訴えコースアウト、その後すぐにコースには復帰するものの速度が上がらず、20ラップ目にはレース続行を断念、年間を通して度重なるマシンとタイヤの不調に苦しみながらも維持していた2007年シーズンのランキング2位を逃す無念のノーポイントリタイアに終わった。


■ポール・トゥ・ウインのペドロサが逆転のランキング2位を獲得、ロッシはランキング3位に
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その後レースは21ラップ目にペドロサがストーナーを交わしてトップに立ちポール・トゥ・ウインを達成、本人も予想外だったという嬉しい年間ランキング2位を獲得。レース序盤をリードしていた2007年度チャンピオンのストーナーは2位表彰台。そして3位表彰台はリズラ・スズキのジョン・ホプキンスが獲得し、ポイントを争っていたメランドリを逆転してストーナー、ペドロサ、ロッシに次ぐ年間ランキングの4位に輝いた。


■2008年度バレンシアGP、初日のMotoGPクラス走行結果と概況
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以下に、10月24日に行われたバレンシアGPのMotoGPクラス初日2回のフリー・プラクティス総合結果、各チームの1日目の作業を終えての概況、ならびにMotoGPクラス全ライダーのコメントを紹介する。


■1日目のフリー・プラクティス総合結果

グランプリ最終ラウンドの初日を迎えた今年のバレンシア・サーキットはあいにくの悪天候に見舞われている。前日から降り続く雨と朝方の豪雨により午前に行われたフリー・プラクティス1(気温13度、路面温度14度、湿度89%)はフルウェット・セッションとなり、午後のフリー・プラクティス2(気温15度、路面温度14度、湿度88%)の開始時に雨は上がったものの空は黒い雲に覆われ、最後までアスファルトが完全に乾く事はなかった。
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以下に、MotoGPクラス初日2回のフリー・プラクティスを通しての総合順位とタイムを示す(各セッション個別の結果はこちらの一覧表を参照)。

1) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分45秒777
2) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分45秒864
3) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分45秒959
4) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分46秒070
5) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分46秒260
6) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiRチーム・スコット RC212V 1分46秒522
7) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダLCR RC212V 1分46秒807
8) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分47秒055
9) コーリン・エドワーズ USA ヤマハTech3 YZR-M1 1分47秒314
10) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分47秒483
11) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキMotoGP GSV-R 1分47秒620
12) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分48秒015
13) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分48秒437
14) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分48秒469
15) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分48秒504
16) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハTech3 YZR-M1 1分48秒771
17) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキMotoGP GSV-R 1分49秒092
18) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分51秒871

バレンシア・サーキットにおけるMotoGPクラスのサーキットレコード(レース中)は2007年にダニ・ペドロサが記録した1分32秒748、ベストラップレコード(予選タイヤ)は2006年にバレンティーノ・ロッシが記録した1分31秒002。


■ウェットの低温路面となった初日は転倒者が続出、深刻な怪我人はゼロ
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終日の路面温度が14度というグリップ・レベルが極度に低いウェット・セッションの中、この日はMotoGPクラスの転倒者が続出している。豪雨となった午前中にはドゥカティーのケーシー・ストーナーがコーナーを曲がり切れずに転倒、午後の前半にはフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシが最終コーナーでリアを滑らせ転倒、アリーチェ・チームのシルバン・ギントーリとトニ・エリアスは2名が揃ってセッション終盤に転倒しており、他にもコースアウトするライダーの他、雨の中ではあまり周回を重ねる事なく早めにピットに戻るライダーも少なくなかった。

この中で幸い特に深刻な怪我を負うライダーは出なかったが、シルバン・ギントーリは強打した尻の激痛により、ピットに戻ってもしばらくは座る事が難しかったという。

■レース出場に向けてやや不安なド・プニエの右手首
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なお、この日には転倒していないホンダLCRのランディ・ド・プニエは、今シーズン中の度重なる転倒が原因で骨にひびの入った右手首の激しい痛みを訴えており、午前はリスクを避けて6周回のみで走行を切り上げタイムシートの最後尾に沈んだが、午後にはこの日の総合7番手タイムを記録している。


■バレンシアGP初日を終えての各チームの概況とライダーコメント

バレンシアGP1日目を終えての各チームの概況と各ライダーのコメントは以下の通り。


■レプソル・ホンダがバレンシアGP初日のワンツーを独占
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2008年度最終ラウンド初日に総合トップに立ったのは、この日の午前と午後を通してタイムシート上のトップを維持し、この日のベストタイムである1分45秒777を記録したレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンだった。また、チームメイトのダニ・ペドロサは午前中は4番手、午後には総合2番手となる1分45秒864を記録しており、レプロス・ホンダの2名が1日目の総合順位におけるワンツーを独占している。
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なお、ニッキー・ヘイデンは今回のバレンシアGPをもって2003年から所属しているホンダを離れ、日曜日の決勝レース後のバレンシア合同テストにはドゥカティー・ワークスのピットに移動し、ケーシー・ストーナーのチームメイトとしてデスモセディチでの初走行を披露する事になっている。

■ヘイデン「金曜日だけ速くても誰も覚えていてはくれない」
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「今日は終日土砂降りだったが、バイクとチームの全てが好調だったので、明日以降もこの調子を維持していきたい。金曜日だけ速くても、誰もその事を覚えていてはくれないからね。ドイツGPの時に使ったレイン・セッティングは他のサーキットでも調子がいいし、ここでもうまく機能してくれている。ただ、ここはあまりグリップが得られないサーキットなのでもう少し調整が必要」とヘイデン。

「もし週末を通して雨ならずっといいポジションが維持できそうなので自分にとって都合はいいが、本音としては晴れて欲しい。仮に明日がドライでも、ここ数戦のセッティングは順調なので、それほど難しい作業にはならないと思う。ただ、あまりドライの時間が取れそうもないのでタイヤ選択は厳しくなりそうだが、それは誰にとっても同じだから仕方ないね」

■ペドロサ「ブリヂストンタイヤの調子がいい」
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「今日はすごく難しい走行条件になり、終日雨がすごかったので路面の滑り方がすごかった。こういう日はあまりセッティング作業は進まないが、いずれにしても速く走る上でいいマシンのバランスを見つける事はできた。今日はブリヂストンタイヤの調子もすごく良かったが、レースに向けてのセッティング作業が進められるように明日の2セッションはドライになって欲しい」とペドロサ。


■フィアット・ヤマハ勢はレプソル・ホンダに次ぐ初日の3番手と4番手
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レプソル・ホンダの2名に続く初日総合3番手タイムの1分45秒959を記録したのは、今回の母国GPにおいてルーキー・オブ・ザ・イヤーの栄冠を獲得したいフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソだった。ウェットでの走行に今回も自信を深めたロレンソは、引き続き2日目以降もフロントまわりのセッティング改善に取り組み、予選に備える予定だという。
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また、今期の10勝目をかけて戦うチームメイトのバレンティーノ・ロッシは、雨が激しかった午前中には転倒のリスクを避けて9周回しか走行を行わずタイムシート上の13番手に沈んだが、午後にはセッション前半に転倒を喫したものの、最終的にはロレンソに次ぐこの日の総合4番手タイムの1分46秒070を記録している。

■ロレンソ「雨にはがっかりだが作業内容には満足」
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「スペインに戻ったのに雨でがっかりだが、いずれにしても今日はいい初日になったので満足している。午前はひどい雨で走りにくかったが、午後には少し条件が良くなりかなり速く走れるようになったし、セッティングもうまく進める事ができた。ミシュランのレインタイヤの調子がいいので、同じ天気なら明日も順調にいくと思うが、もちろん陽射しに恵まれる方が嬉しい!」とロレンソ。

■ロッシ「今週末は雨でもいい戦いができる」
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「今日は路面コンディションがとても悪く、ウェットの上に路面温度が低かったので十分なグリップがあまり得られず難しい条件だった。午前はセッション開始と同時に激しい雨が降り始めたのでいいラップ周回を決められなかったが、午後に状況はだいぶ改善した。調子自体はいいし、ブリヂストンのウェットタイヤで速く走れているので、週末を通してこの天気でもいい戦いができると思う」とロッシ。

「残念ながら最終コーナーでミスを犯してしまい、リアを失って軽く転倒したが、怪我は一切負わなかったので作業は再開できた。いずれにしても最終的には総合4位だったし、タイヤを少し硬めにして速く走れるようになったので満足」


■ドゥカティー、ややセッティングが煮詰まらない様子のストーナー
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午前中に転倒を喫したストーナーは、怪我はなかったものの作業時間をロスした影響からセッティングが納得のいくレベルには到達しておらず、初日をホンダ・ワークス勢とヤマハ・ワークス勢に続く5番手タイムの1分46秒260で終えている。
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また、今回のグランプリ終了と同時にカワサキ・レーシング・チームにに移籍する事が決定しているマルコ・メランドリは、とうとう最終戦までデスモセディチから望み通りの感触を得る事ができない様子だ。メランドリのこの日のタイムは総合13番手となる1分48秒437だった。

■ストーナー「まだ問題は解消できていないが頑張るしかない」
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「ここまではあまりうまく作業が進んでいないし、理想的なセッティングからはほど遠い状態。過去数戦を通してその以前よりもウェットでは苦しむ傾向にある。問題は毎回解決しているが、今回はまだ解決できていない。今はリアのトラクションが不足しており、コーナー進入時の挙動についても改善を進めていく必要がある」とストーナー。

「午前中は前触れが一切なく転倒したが、あそこは水がすごくたくさん溜まっていたので、多分いつもよりも外側のラインを通りすぎたんだと思う。特に怪我は負わなかったし、それに左手首への負担もウェットの時は普段より小さい。同じ天候が続くのなら、明日もバイクに変更を加えていく必要はあるが、改善できる事は分かっているので今は頑張るしかない」

■メランドリ「天気に文句は言えない」
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「今シーズンは雨が自分たちの行く場所を追いかけているようにさえ感じる。ただ、いずれにしろ今日もこれまでと同様に苦戦しているので、天気に文句は言えない。バイクから何の感触も得られないので、ここでも自分の思い通りに走る事はできない」とメランドリ。


■JiRチームスコット、ドヴィツィオーゾは初日の総合6番手
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前回のマレーシアGPでは念願だったMotoGPクラスでの初表彰台を獲得し、このバレンシアGPを終えてからのレプソル・ホンダ入りが決定しているアンドレア・ドヴィツィオーゾは、初日のフリー・プラクティス総合6番手となる1分46秒522を記録して、この日の走行を終えている。

■ドヴィツィオーゾ「明日もうまくいく自信がある」
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「今日の午後はチームとミシュランで作業をうまく進める事ができた。この気象条件で速く走るのは簡単な事ではないので、今日の結果には満足している。午前中はウェット・セッティングに取り組んだがあまりに雨がひどくなったので、必要のないリスクを避けるためにセッション終了10分前に作業を切り上げた。午後の路面はまだ濡れていたが、明日も同じ走行条件になる事を想定して走り込んだ。他のセッティングを試す時間はなかったが、いずれにしても、明日も改善を続ける自信はある」とドヴィツィオーゾ。


■ホンダLCR、右手首に激痛を抱えるド・プニエ
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骨にひびが入っている右手首の激痛を訴え、豪雨だった午前中にはリスクを避けて6周回しか走行しかなかったホンダLCRのランディ・ド・プニエは、午後にはレースに向けてのセッティングとタイヤテストに取り組み、最終的には初日の総合7番手となる1分46秒807を記録しているが、体調にはやや不安が残る様子だ。

■ド・プニエ「セッティングには満足できるが右手首の痛みが不安・・・」

「今日は天気がひどくて走り込みは簡単じゃなかった。午前中は右の手首が痛んだので不必要なリスクは避けて6周しか走っていない。午後にはリアの問題がいくつか発生したが、サスペンションに調整を施してからはウェットの中でも安定して走れるようになった。パッケージ全体の調子には満足できているが、今は右手の具合だけが心配。このコンディションの中を走るには手首が辛い状況だった」とド・プニエ。


■2名のライダーが午後に揃って転倒したアリーチェ・チーム
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午後のセッション終盤に揃って転倒し、共に打撲の痛みを抱えるアリーチェ・チームの2名のライダーのこの日の順位とタイムは、今期をもってMotoGPを離れて来期からはBSBスズキ・ワークスに所属するシルバン・ギントーリが8番手タイムの1分47秒055、来期からグレッシーニ・ホンダへの復帰が決定しているトニ・エリアスが初日のタイムシートの最後尾となる18番手タイムの1分51秒871だった。

■ギントーリ「尻が痛くて座れない」
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「転倒のせいで尻の痛みがひどく、座る事さえできない。左のひざから激しく落下した時には深刻な怪我を心配したが、ひざも強度の打撲で済んだ様子。その後の数分間に路面コンディションが回復したので、もし転倒さえなければ8番手以上のタイムを残せたと思っている」とギントーリ。

■エリアス「このままのポジションでは嫌だ」
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「今日は悪天候のせいで1日を無駄にした。別のセッティングを試したかったが、予定通りに作業メニューをこなす事はできなかった。明日は路面状況がもっと良くなる事を願っている。このまま最後尾では嫌なので、明日はいいポジションが得られるように頑張るつもり」とエリアス。


■最終戦でのランキング逆転を狙うヤマハTECH3の2名

ヤマハTECH3の2名のライダーのバレンシアGP初日のタイムと順位は、午前にマシンの重量配分を変更する事でバイクから好感触が得られるようになったというコーリン・エドワーズが初日総合9番手の1分47秒314、SBK時代に慣れ親しんだバレンシア・サーキットに戻ってきたジェームス・トーズランドはリアのグリップ不足に苦しみ総合16番手の1分48秒771だった。

なお、現在ランキング7位のエドワーズは10ポイント差のランキング6位につけるニッキー・ヘイデンとの順位逆転、また現在のランキング11位につけるトーズランドは11ポイント差のランキング10位につけるロリス・カピロッシとの順位逆転を狙って今回のバレンシアGPを戦う。

■エドワーズ「ソフトタイヤの調子はいいが耐久性には不安」
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「今日はドニントン・パークで使ったレイン・セッティングから作業を開始した。そのままではフロントへの荷重配分が大きすぎたので、リアに荷重を移動するようセッティングを変更したら感触がとても良くなった。ミシュランが用意してくれたソフトレインタイヤにはとても満足している。ただ、日曜日の30周をソフトタイヤで走りきれるかどうか、耐久性の面はまだ分からないので、もう少しリアへの荷重を増やしながら確認していきたい。このサーキットはグリップレベルが元もと低いので、グリップの低下を感じ取れずにいきなり何の前ぶりもなく転倒するライダーが今日は多かった」とエドワーズ。

■トーズランド「最終戦でのランキング10位争いは不本意」
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「今日は厳しい状況だったが、明日も予報によれば同じような天気なので、何か打開策を見つける必要がある。バイクの調子をもう少し上げたい。今日のバイクからはいい感触が得られず残念だったが、いくつかアイデアは持っている。常にこういうコンディションの時にはリアタイヤの接地感不足に苦しむが、リアの荷重を増やせばもっと自信を持って走れるようになり、改善も進む筈。シーズンの最終戦で年間ランキングの10位を争うなんて自分の最初の理想とはほど遠いが、明日には大きく順位を上げる自信がある」とトーズランド。


■雨天の中でのデータ収集を行うサンカルロ・ホンダ・グレッシーニ勢
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バレンシアGP初日のサンカルロ・ホンダ・グレッシーニ勢の順位とタイムは、難しいウェット条件の中、多くの種類のタイヤを試してデータ収集を行った中野真矢選手が総合10番手タイムの1分47秒483、マシンのセッティング変更を終日行ったアレックス・デ・アンジェリスが総合12番手タイムの1分48秒015だった。

■中野選手「明日に向けてアイデアはある」
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「雨と低い路面温度のために、今日は午前も午後も本当に難しいセッションだった。午前中は水が溜まるまでは快適に走れていたが、その後は攻めの走りが難しくなった。午後に入ってから路面状況は回復したが、完全に乾ききるには時間が足りなかった。インターミディエットを装着したら少し固すぎたので柔らかめのコンパウンドに戻したが、タイヤが新品だったので結局温め切る事ができずに終わった。これからデータを確認して対策を練る必要はあるが、すでに明日に向けていくつかアイデアはある」と中野選手。

■デ・アンジェリス「このサーキットは好きなのでうまくいく筈」
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「普段の自分なら今回のようなコンディションは得意だが、今日はトラクションに若干問題を抱えてしまった。グリップが低くて滑りやすく、ここでは過去に使用したレイン・セッティングが機能しない事が分かった。おかげで今日はタイヤ関係の作業が難しくなったが、明日に向けて多くのデータを収集する事はできたので、2日目以降には自信が持てる。このサーキットはウェットでもドライでも好きだし、作業はうまく進められる筈」とデ・アンジェリス。


■リズラ・スズキ、期待感を示すバーミューレンと不調の原因を模索するカピロッシ
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リズラ・スズキ2名のバレンシア初日の総合順位とタイムは、クリス・バーミューレンが総合11番手となる1分47秒620、ロリス・カピロッシが総合17番手となる1分49秒092だった。

■バーミューレン「バイクの感触は悪くないので今週はうまくいきそう」
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「今日は天気が悪く難しい1日だった。前回のマレーシアは高温ウェットだったけど、今回は低温ウェットだしね!ただ、バイクは午前の最初から悪くない感触だったので、ここでは全てがうまくいくような気がしている。今日はウェットのレースを想定して作業を行ったので、もし日曜日の天気が崩れても準備は大丈夫だと思う。レースがドライの場合のためにスリックタイヤで走る時間も欲しいから、明日は晴れて欲しいけどね」とバーミューレン。

■カピロッシ「リアの不調の原因がまだ不明」
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「今日は終日この走行条件に合うセッティングを探して大変だった。リアのグリップが全く得られず、バイクを傾ける度に滑りそうだったが、色々なセッティングを試した後に大きな変更をマシンに加えてからは1秒タイムを縮める事ができている。ただ、今日はそこで時間切れとなり、それ以上の改善を進める事はできなかった。リアに抱えている不調の原因はまだ分からないが、今晩データを確認する事で明日には問題を解消できる事を願っている」とカピロッシ。


■リアのトラクション不足に苦しんだ初日のカワサキ
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2名のライダーが揃ってリアのグリップ不足に苦しんだカワサキ・レーシング・チームのこの日の総合順位とタイムは、2009年シーズンに向けての新エンジンのパーツテストも雨の中で実施したジョン・ホプキンスが初日総合14番手タイムの1分48秒469、今期を限りにMotoGPを離れて来期からはホンダのマシンでWSSに参戦する事が決定しているアンソニー・ウエストがホプキンスに次ぐ総合15番手の1分48秒504だった。
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■ホプキンス「この悪天候では新エンジンの評価が難しい」

「午前のセッションはコースが水浸しになり、多くのライダーはリスクを避けて15分前には走行を切り上げたが、自分もそこで何度か危ない瞬間を経験した。午後にはバイクにいくつか問題を抱えたが、ほとんどの時間はリアのグリップ不足解消に費やした。その中で新しいエンジンパーツも評価したが、天気が悪く最大限の走りはできなかったので、特に何か言えるような結果は得られていない」とホプキンス。
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■ウエスト「最後はいい結果で終えたい」

「今日はひどく滑りやすかった。バイクの感触が機敏すぎてコーナー進入時に激しいブレーキングができないし、スロットルをあけた時にはハイサイドを起こしそうになるが、いくつか不思議な理由から2コーナーだけは完璧に攻略できている。午前中は多くのライダーが早めにピットに戻ったので、自分たちがどのくらいのポジションにあるのかは実際のところ分からない状態。最後のレースをいい結果で終えたいので、明日には改善が進んで欲しい」とウエスト。
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